「宝剣物語」序章
音に聞こえし五振りの剣あり
世に仇敵の現れしとき
かの剣自らの主人を選びて
われらともに戦わん
大いなる技と至高なる心もて
古の民の手と
尊き精霊王の御手になる宝剣を見よ
たとえわれらが絶望にうちひしがれようとも
たとえわれらの仇敵が一時の勝利を治めようとも
かの剣あるかぎり
いつか われらを救いたまう
いつか 仇敵を滅ぼしたまう
讃えよ 偉大なる神々を
讃えよ われらを守りし精霊王を
讃えよ これら五振りの宝剣とその主人を
地の精霊王ドリアスが鍛え
大地の母神アルダに捧げられし
〈地の剣〉とはトナルディード
大いなる癒しの力もて
その主人 疲れを覚えず
傷つき倒れし戦士をも救いたまう
水の精霊女王パイイが鍛え
清水の処女神ネフィーリアに捧げられし
〈水の剣〉とはパローリアド
大いなる浄めの力もて
その主人 毒も病も知らず
汚れ冒されたるものをも救いたまう
火の精霊王ファフィフィルフィアンが鍛え
炎の青年神ナアロントスに捧げられし
〈火の剣〉とはファナエリアド
大いなる怒りの力もて
その主人 臆することを知らず
われらが敵をも討ちたまう
風の精霊女王アチカが鍛え
涼風の二面神ヴァイワに捧げられし
〈風の剣〉とはアスティリアド
大いなる惑わしの力もて
その主人 見つけること能わず
我らが敵をも惑わせたまう
名も知られぬものが鍛え
光輝と狂気の乙女神イシルに捧げられし
〈月の剣〉とはイシリアド
大いなる力持てども
その主人 信じるに能わず頼るに能わず
われらが敵とともに
味方をも切り裂きたまう
その主人 狂いしものなり
〈月の剣〉の力
我らの手には余りぬものなり
見よこれなる五振りの剣
これぞ音に聞こえ
仇敵を脅かす
五振りの宝剣なり と