キューバ革命の立役者の一人であり、今もなお、革命の象徴として、世界中で英雄視されるエルネスト=チェ・ゲバラを、ゲバラをよく知る人びとのインタビューと実際のゲバラを写した写真やフィルムをもとに描いたドキュメンタリー。
「あの頃世界で一番かっこいいのがゲバラだった」 by ジョン=レノン。と言われるように、ゲバラの人気は没後35年を経た今も衰えることなく、偶像を嫌うキューバにもゲバラの像があります。
たきがは、不勉強なもので、ゲバラのことはほとんど知りませんでした。キューバ革命の立役者で、ボリビアで殺された彼がなぜこれだけ英雄視されているのか。ゲバラの近くにいた人びとの語るゲバラは、やはり英雄であり、「無惨な死」によってその名は神聖視され、不可侵のものとなっているのだと思います。今後、ゲバラを貶めるような醜聞が出てきたとしても、もはや伝説の域に達してしまったゲバラは何物にも侵されることなく、その名前だけが輝いているのだろうと思うのです。名声も栄誉も望んでいなかったというけれど、皮肉なことに死はゲバラを英雄にしてしまったのだろうと思います。
ゲバラを失った世界はゲバラの望んでいたのとは別の方向に進んでいるのでしょうか。それこそが、ゲバラを処刑した連中の望んでいたことだったのでしょうか。ゲバラは英雄になったけれど、その行動は封じられてしまいました。
英雄のいない世界で、英雄でない私たちは、自分たちにできることをしなければならないのではないでしょうか?
(了)