おじさん・おじいさん・おやじ好きに薦める。絶対に好みのおじさん・おじいさん・おやじが出てます。いや、そうじゃなくても十分楽しめますが、いた方が確実に萌えます。
ノルウェー最北端の町ベルレヴォーグには100年近くの歴史を誇る、男声合唱団があります。96歳のエイナル=ストランドさんを最年長にしたベルレヴォーグ男声合唱団です。彼らの歌声と日常と、吹雪のなかや教会のなかなどでのコンサートも一緒に楽しめるお得な映画。
実在の合唱団ですから、ドキュメンタリーと言っても良いです。その歌声がまずいい。一人ひとりは冴えない(失礼)ふつうのおじさんなのに、歌い出すと人が変わる。かっちょいい。たきがは、合唱というのは好きなのですね。自分ができないのに言うのもなんですが、2人以上だったら絶対にはもってないと許せんて思ってるんですよ。女性の合唱団も華やかで良いですが、ベルレヴォーグ男声合唱団のような男声だけの合唱団というのは、また太くて好きだったりします。その歌を聞けるだけでもお得なのに、おじさんたち個々のエピソードもなかなか味があって素敵。漁師あり、共産主義者あり、元麻薬中毒患者あり、タクシーあり、コックあり。96歳の最長老は「おっと人がいた」なんていいながら87歳の弟さんを車で迎えに行っちゃう。
おじさんの1人が「防波堤と合唱団がなかったらこの町には暮らせないね」なんて言ってるとおり、ベルレヴォーグは北極圏に入っていそうな、人口1200人の小さな町で、自然も厳しいです。町には主産業は魚の加工業と漁業しかないし、それも加工工場は減ってしまっているし、不況の波とは無縁ではありません。でも、ここのおじさんたちは、どう見ても老人ホームとは無縁ですよ。生き生きしてて、その最後の瞬間まで働いていそうな、人間としていい生き方をされていると思うんですね。確かにここには我々が簡単に手に入れられるような物や情報はない。でも、人間としてもっと大切なものを失っていないような気がする。日本の同年代のおじさん・おじいさん・おやじが失ってしまったものを、この人たちはちゃんと持ってるように思う。「便利」と引き替えに、なにをなくしてしまったのか、そういう意図でこの映画を見ることは間違いかもしれませんが、そんなことも考えさせられた映画でした。
(了)
「歌え! フィッシャーマン」とは直接つながりませんが、2002年の紅白にみゆきさんが出られましたね。たきがはの周りに「猛吹雪のなかで『つばめよ〜♪』と歌ってほしかった」という声がありました(「それやったら、だれも勝てんだろう」とたきがはは答えましたが。FC会報読んでたらみゆきさんたら「零下20度くらいでも大丈夫」みたいなことゆってる。だったら見たかった気もするが、ミュージシャンがだめだろう)。「歌え! フィッシャーマン」ではたぶん、もっと寒いだろう猛吹雪のなかで、ベルレヴォーグ男声合唱団の皆様はラストシーン、力強く「東方の地へ」という歌をお歌いでした。鼻水がつららになってんだよ。