キス★キス★バン★バン

キス★キス★バン★バン

イギリス、2000年
監督・脚本:スチュワート=サッグ
出演:フィリックス(ステラン=ステルスガルド)、ババ(クリス=ペン)、ジミー(ポール=ベタニー)、ダディー・ズー(ピーター=ヴォーン)、シェリー(ジャクリーン=マッケンジー)、ビッグ・ボブ(アラン=コーデュナー)、ほか
見たところ:渋谷シネマ・ソサエティ

 ハードボイルドなコメディー・ファンタジー。かなり評判がいいらしく、場内はほぼ満員。

 50歳を目前にした殺し屋フィリックスは腕の衰えを感じて引退を決意するが、組織はそれを許さず、フィリックスの愛弟子ジミーに殺害を命じる。父親の養老院の費用の支払いを迫られたフィリックスは、大金につられてビッグ・ボブの息子、ババの子守を引き受けるが、なんとババは33歳になるのに一度も外に出たことのない男だったのだ! 一度はババの子守を断ろうとしたフィリックスだが、組織の差し向けた殺し屋に追われてババを守ることに。ババを本当の男にしてやろうとウィスキーを教え、煙草を教え、男のジョーク本を与えるフィリックス。キリンの人形なしでは外に出られなかったババも次第に慣れていき、フィリックスの恋人のシェリーがやってきたフィリックスの誕生日には、ディスコで彼女までゲットする成長ぶり。その間にも組織の魔の手はフィリックスに迫りつつあり、その影で暗躍するジミー。やがてババを溺愛するビッグ・ボブが帰り、ババは元の部屋に戻されかけるが、外の世界を知ったババにはもう元の生活に戻る気はなく、フィリックスの元に帰ってしまう。けれど...。

いい話だなーと感動したですね。粗筋には書いてませんが、フィリックスのお父さんがいいキャラクターで「あと数ヶ月の命」とか言われながらなかなか死なないしぶとさも愛すべきじじぃで、けっこうここらへんもぽいんつ高かったんです。

で、最後は一応めでたしめでたしと幕が下りるのですが。ちょっと待ってよ。フィリックスって殺し屋じゃん。冒頭のシーンなんて、殺しの現行犯逮捕されてもおかしくないし、フィリックスが何度か殺されかけるところでも、警察が駆けつけたっておかしくない。それぐらいの銃撃戦やってる。でも、この映画には警察は出てこないんですよね。だから、腕利きの殺し屋で、何十、何百人と殺したはずのフィリックスが、めでたしめでたしって、なんか納得いかないんですけど? で、ジミーはああで、ババはこうで。ネタばれになるからおおっぴらに書けないけど、なんか違わないすか? いいのか、これで? 殺し屋ってそんなに大っぴらに殺していいんか、というレベルの話ではなくて、罪の償いってどうなのよ? 「キス★キス★バン★バン」もいいけど、なんか登場人物のなかでいちばん悪いことして(そうな)フィリックスが幸せになっちゃっていいのかよ、おい?

だからこれはファンタジーです。おもしろいんだけど、おもしろかったんだけど、なんかしこりが残りまくってしまいました。

(了)

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