父よ

父よ

フランス、2002年
監督:ジョゼ=ジョヴァンニ
出演:ジョー(ブリュノ=クレメール)、マニュ(ヴァンサン=ルクール)、グランヴァル(リュフュス)、エケ(ニコラ=アブラハム)、エミリー(ミシェル=ゴデ)、ほか
見たところ:関内アカデミー

 去年見逃したのが関内アカデミーでかかるというので喜び勇んで出かけました。小説家としてもならす監督の自伝的作品。

 上の息子バルティーは脱獄後に殺され、下の息子マニュは死刑を宣告された。息子たちに軽蔑されてきた賭博師の父ジョーは、マニュを救うため、11年間奔走し続ける。出獄後、作家として成功したマニュだったが、ジョーは自分の努力などおくびにも出さず、ひたすら陰のように息子の成功を喜ぶ。「父さん、あなたにありがとうを言いたくて、この映画を作ったのです」。あの当時の父よりも白髪の目立つ歳になったマニュは、万感の思いをこめて亡き父に語りかけるのだった。

お父さんがすべてです。まぁ、主役ですから当然ですが、不器用で古くて頑固で、という親父がつぼを押さえまくってまして、お父さん役が失敗したら皆こける、というところで見事にはまりまくってます。

ではこの映画もつぼをついているかというと、それが少々難しいところでして、「息子を死刑から救うために、陰になって献身的に働く父の姿」というネタだったらもっと泣けてもいいような気がするのですが、かといってそういう過剰なお涙頂戴な演出はたきがはすこぶる嫌うところがありまして(某大作RPGとか)しみじみと心に染みいる父親の愛情に静かに感動する映画であるのか、と評価が真っ二つに分かれるところだと思ったのでした。

また気になったところの一つに、監督のナレーターが合間合間に入るんですが、マニュは監督自身でもあるので当然かもしれませんが、これがどうも説明調でいかん。ナレーターって元来が説明調なのよ。それが「これから泣くぞ、泣くぞーっ」と身構えているところに入られると白けるんです。「あ、そ」て一歩引いちゃう。特にラスト、華やかな人気作家になったマニュのサイン会に、昔と変わらぬ、陰の立場を貫き続ける父がこっそり訪れて去っていく。そこにかぶさる「これでいいんだ」と自分に言い聞かせるような独白など、ナレーターなんぞ省いてもっと映像だけで見せてくれてもいいと思います。今や息子にとって世界一尊敬できる人となった父親が、それとは気づかず、あるいはそうと知っても陰に徹するところなど、涙なくして見られないシーンではないかと思うのですが。

なにはともあれ映画見ているうちに観客にこんなことを考えさせてはあきません。もっと没頭させてくれよ。

(了)

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