今年最初の拡大系。死刑囚のえん罪を晴らすために動いた男たちの物語、というネタで「おもしろそーだなー」と思って行ってきました。山崎努さんに萌え。この方を語りたかったら、「天国と地獄」(黒澤明監督)は決して外せませんぜ、旦那。反町隆史はまぁ、どっちでもいいです、えへ。大滝秀治さんが意外な脇役で出られててちょっとお得でした。以下、例によってネタばれしておりますのでご注意を。
刑務官南郷は、何者かの依頼で、死刑囚樹原のえん罪を晴らすため、事件の再調査に挑む。パートナーに選んだのは過失致死で人を殺し、仮釈放の身となった三上だった。依頼人の反対を受けながら、三上と、もう一人の弁護士杉浦とともに調査を進める南郷。しかし樹原には事件当時の記憶がなく、いわば状況証拠だけで死刑の判決を受けていた。調査直前になって樹原が思い出したのは階段の記憶。わずかな手がかりをもとに、やがて意外な事実が明らかになってくる...。
日本の死刑は絞首刑ですが、実際に13階段なんてものはないんだそうです。確か由来はキリスト教だったかと思いましたが、単に13という数字が不吉ってところにからめた話なんでしょうかね。
という話はともかくとしまして、どんな凶悪犯罪だろうが、状況証拠だけで人を死刑にするな! とたきがはまず言いたい。正直言って、死刑制度の存続にはたきがはは全面的に賛成もできないし、反対もできないのです。しかし、仮にも法の下に人を裁こうというのなら、ちゃんと人が納得できる証拠を打ち出さんかい。この点、この映画は大失敗していると思います。説得力なさすぎです。
また、終盤、依頼人と真犯人がわかったところで場面が完全に南郷と三上に二分されて並行して話が進むんですが、これがえらくたるいシーンでして、寸評読んだところでは原作と同じ展開なんだそうですが、小説と映画で同じ演出というのはかなり無理があるんじゃないかなと思いました。いいところで南郷と三上に場面が切り替わっちゃうので緊迫感に欠けるのですな。
江戸川乱歩賞をとったという原作ですが、この程度のものなのか、賞自体が大したものじゃないのか、少なくとも原作でちゃんとした証拠で死刑を求刑しているのなら、映画もそれに倣っているでしょうし、映画で状況証拠で死刑を求刑しているということは原作もそうだと思われるので、ネタとしておもしろいだけにやはりもっとちゃんと書いてねん、てことで。
(了)