ウェストサイド物語

ウェストサイド物語

アメリカ、1961年
監督:ロバート=ワイズ、ジェローム=ロビンス
出演:マリア(ナタリー=ウッド)、トニー(リチャード=ベイマー)、リフ(ラス=タンブリン)、アニタ(リタ=モレノ)、ベルナルド(ジョージ=チャキリス)、ドク(ネッド=グラス)、ほか
音楽:レナード=バーンスタイン
見たところ:ル・テアトル銀座

 デジタルリマスター版。3時間近くに及ぶ大作ながら、その素晴らしい音楽とダンス、いつまでも色あせることのないテーマがちっとも長さを感じさせない、文字通りミュージカル映画の最高峰

 ニューヨーク・マンハッタンのウェストサイドに対立する二つの若者のグループがあった。プアホワイト系のジェット団とプエルトリコ系のシャーク団だ。ジェット団のボスであるリフは、シャーク団との抗争にけりをつけようと、兄貴分のトニーの助力を頼みにしてダンス会場に乗り込む。しかしトニーはそこでシャーク団のボス・ベルナルドの妹マリアと出会い、2人は一目で恋に落ちてしまう。トニーを愛するマリアはジェット団とシャーク団の対立を望まず、トニーにその決闘を止めてくれるよう頼むが、ベルナルドのナイフがリフの命を奪い、逆上したトニーはベルナルドを殺してしまった。それでもトニーを愛するマリアは、2人でだれも知らない土地へ逃げようと言い、ジェット団にもシャーク団にも良き理解者であるドクの店で落ち合うことにする。トニーへの復讐を誓って、シャーク団のチノが銃を持って追いかけ回していることを知ったジェット団はトニーを保護しようとする。ドクの店にマリアの使いで現れたベルナルドの恋人のアニタは、ジェット団に陵辱されそうになり、トニーに「マリアはチノに殺された」とうそぶく。絶望したトニーは町をさまよい、「チノよ、殺してくれ」と叫ぶが、当のマリアと再会する。しかし抱き合った2人を引き裂いたのは一発の銃弾であった...。

原案が「ロミオとジュリエット」であるのはあまりに有名ですが、たきがは、「ロミオとジュリエット」を元ネタにした話では、この「ウェストサイド物語」がいちばんできがいいと思います。ディ・カプリオ主演で「ロミオ+ジュリエット」ってやったけど、台詞はそのまんまで舞台だけ現代に移したので、すげー無理がある。ディ・カプリオ人気におんぶしているのが見え見えで、製作者の想像力とか熱意とか意図が欠片も感じられない駄作でした。シェイクスピアの時代には「ロミオとジュリエット」ってよく理解できたのかもしれませんが、今時「対立する両家→悲恋」では観客も納得せんやろう。不自由なお国柄でならばともかく、西側諸国でそういうことをやられても、「だったら逃げればええやん」と思うのが、自然というもの、説得力がなくては悲劇のラブストーリーもお笑いになっちゃいますよ。

という話はさておくとしましても、やはり「ウェストサイド物語」は音楽がええですな。ダンスも光ってる。ミュージカルというのは突然、登場人物が歌って踊り出してると思わせたらあかんと思います。そこのところ、「ウェストサイド物語」は台詞・心情としてうまいことのせているし、話も切れない。特に終盤、「クインテット」というナンバーがあるのですが、トニー&マリアのカップルと、決闘に向かうジェット団、シャーク団の、対立しあうようなシーンをからめたあたりなどは「さすが!」と言いたいような名シーンでございます。「トゥナイト」とか「マリア」とか傑作ナンバーも満載。

ジェット団とシャーク団の対立も、テーマとして古くさくないばかりか、今もって世界から消えてしまうことがない。しかしたきがは、映画には描かれておりませんが、この両者の対立も、やはりそれを作り出してうまい汁を吸っているやつがいるんだよな、と思いました。どっちも貧しいのに対立しあう。それが古くからの習慣だったとしても、利するのは権力者と相場は決まっております。江戸時代に農民と非人を対立させて、幕府が農民の不満の矛先を別に向けていたようにね。そこんところ早く気づかないといかんのだと思いますが、それに気づくにはやはり知識が要るわけで、「貧しい」ということがその邪魔をするのだとしたら、彼らが貧しいことで利を得ている連中をこそ、憎むべきなんじゃなかろうか、と思っておりました。

ハリウッドも昔はこんなすごい映画を撮ってたんだよん。リメイクとか続編の話題ばかり伝わってくるようでは、どうも先が見えてるような気がしますよね。

(了)

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