「機動武闘伝Gガンダム」今川泰宏総監督、Gガンダムを語る! 第1回

「機動武闘伝Gガンダム」今川泰宏総監督、Gガンダムを語る! 第1回

ロックにおけるビートルズのように、ガンダムはアニメに対して、ガンダム自身に対しての呪縛を持っていると思うんですよ。

Q 従来のガンダム・シリーズを踏まえた上でのGガンダムの方向性についてお聞かせください。
Gガンダムはガンダムじゃないといわれますよね。いわれると同時に自分でもガンダムじゃないと思ってますし。Gガンダムというのはガンダムじゃなくて、『Gガンダム』だと。Gが付いてひとつのタイトルになっている。ただ、そう割り切っていえるのは、ここ最近になってからの事なのかも知れないですね。
このシリーズがスタートした当時の作り手側の気分と、視聴者が感じた事が同じ方向に成長しているんじゃないかと思うんですよ。みんなが迷ったように、僕も違う意味で非常に迷ったし。作りはじめた当初はアクション性にせよ、キャラクターのポーズにせよ、無意識の内に影響されている部分っていうのはありました。今までとは違う“武闘伝”の筈なのに、武闘ロボットではなく、機動ロボットのポーズをとっている。そんなことは多々ありましたよね。今までのガンダムと比べて、といわれても聞かれる時期によって答えが全然違ってきちゃうんですよ。だから、Gガンダムをはじめた頃の印象と、シリーズ大詰めの今とでは全く違っていて、以前のガンダムというものは僕の頭の中のどこにもないと。今となっては、比べること自体が意味のない事だとしか思えないほど、僕にとってのGガンダムは全く独立した作品になったといえますね。
Q 過去のガンダムシリーズとの設定的な関連性はどこまで追及できるのですか?
Gガンダムと、過去のシリーズとの設定的な繋がりはまったくないですね。あのコロニーのデザインを見てもらえればわかりますよね(笑)。Gガンダムのはじめの頃に考えた事ですけど、例えばSDガンダムを最初のガンダムとして体験した子供達が、今はじめてファーストガンダムを見た場合、僕らが見たときのようなショックを受けるかっていうと、全く違ったものを感じると思うんですよ。僕らにはガンダムに対する呪縛があると。ロックにおけるビートルズのように、ガンダムはアニメに対して、ガンダム自身に対しての呪縛を持っていると思うんですよ。それは、そろそろ取り払っていいものではないかと。呪縛を感じない今の子供達にとっては一つのブランドなんだと。それを考えればGガンダムのような作品があっても、SDガンダムと同じように存在できる筈なんだと。Gガンダムが今までのSDガンダムのような別路線のシリーズと違うところは、正規のテレビシリーズで大幅に変わったのはこれがはじめてでしょう。例えばビデオシリーズでGガンダムを作っていればファンの反発もなかったと思うんですよね。
Q 各国はどのような方法でMFを輸送しているのですか?
僕らにもガンダムが持つブランドイメージから抜けきれない部分があって、作っていくうえでの思考錯誤があるんです。例えば、『今週はどこからガンダムが出てくるだろう』シリーズっていうのが初期にはあって。2話の自由の女神の他にも、4話で凱旋門が開いてガンダムがでてくる(笑)っていうのがあったんですけどね、いつの間にガンダムを隠したんだっていう。見た後なら指差して笑えるんだけど、僕らが見ていたマンガ、テレビマンガっていうのがそうだったと思うんですよ。子供向けっていうのを意識した分、子供がカッコイイと思える絵を作る事を前提にしたんですよ。自由の女神からガンダムが出てきてもいいんじゃないかって。変にガンダムの輸送手段などを考えると作品の内容が堅い方向にしか考えられなくなるんだと。昔、そういうのを考えなくてよかったのは基地となる研究所があったからですよね。しかし、今回は研究所が設定できない。基地もないのに世界を行脚しなきゃならない。しかも、ホワイトベースもない! それなら、どうでもいいやァ!っていうのが解答ですよね。考えてないんだけれど、視聴者にも考えさせないぞっていうね。おもしろければいいじゃないか!っていうので押しちゃえって感じですよね。

花の中からガンダムだ! 小林幸子だ! 紅白だ!!っていうのをやってみたかったんですよ!

Q それでは、ネオジャパンのMF輸送用カプセルは何故、花の形をしているのですか?
最初に目指した物として、カッコイイガンダムっていうのと、美しいガンダムっていうのも考えていたんですよ。ガンダムの登場シーンを親指姫に例えて考えていた時期がありましてね、花びら型のカプセルからシャイニングガンダムが出てくるのはそれの名残なんですよ。でも本当は小林幸子なんですけど(笑)。ガンダムの登場シーンをカッコヨク見せようとしたときに、花の中からガンダムだ! 小林幸子だ! 紅白だ!!っていうのを(笑)やってみたかったんですよ! 昔、冷凍のうどんか何かのCMで、冷蔵庫を開けると小林幸子が出てくるっていうのがあったんですよ。小林幸子が、♪冷凍だ〜か〜ら〜って唄いながら冷蔵庫から出てくるっていうね。それがスッゴイ好きだったんですよ。何故かっていうと、私が「ミスター味っ子」をやってたときのイメージがあって、そのCMを見たときに「こりゃあ、味っ子見て作りやがったんじゃねェか」っていうようなCMで。実は味っ子の中でも味皇様が、花の中から出てくるっていうのを既にやってて。その味皇様のイメージから、花びらっていうのも考えたんですけどね。だから、元ネタは味皇様と小林幸子です。
Q ガンダムファイト11回大会と、12回大会の空白が意味するものは?
4年に1回開かれているガンダムファイトが何故、第11回と第12回の間だけ8年開いているのかっていうのは、実はGガンダムが上手くいったら、ここで何かあとで話し作れるよね…、っていうのは後で考えた事で(笑)。実はね、ガンダムファイトが提唱されてから今回の事件が起きるまでに、何回ぐらいガンダムファイトが開催されているべきか、提唱されてから何年ぐらい経過しているのがいいかと考えた場合、だいたい60年と設定したんです。今回はどうしても13回大会にしたかったんで、逆算していった場合に60年だと時間があまるんですよ。それで第1回大会を未来世紀8年として、あと4年ブランクを置けば13回になると。で何故、ここを開けたかというとチャップマンが3連勝してから、マスターが優勝する第12回までの8年の間で、ネオイングランドが3回連続優勝しているのがひとつの原因となって、誤解の戦争が起こりかける時代があったと想定しておこうと。マスター達の先代のシャッフル同盟が出てくるきっかけにもなると。13っていうのは嫌な数字だし、デビルガンダムで、悪魔が出てくるから。とっても良くない1年がこれから起きる訳ですから。やっぱり、アポロ13号ですよっていうような。印象的にも13回大会っていうのは引っ掛かる数字になりますからね。

亡霊の街でガンダムが、巨大ロボットが闘うんだっ、っていうイメージでいきましょう。

Q シリーズ前半に於て描かれる各国の設定はかなり難題だったと伺いましたが?
ガンダムの世界を行脚して闘うんだっていったときに、リアルな世界を描かなきゃいけないんだと。やっぱり、アメリカに行ったらアメリカに、中国に行ったら中国らしく見せたいと。つまり、絵のなかで如何にお国柄を見せるかっていうのが、絵を作るときの重要なテーマになる筈だと考えました。最初は観光案内の本見りゃ、なんとかなるわっていうのがあったんですよ。もちろん、ロケハンなんて世界各国毎週毎週行ってるわけにもいかないし。できりゃイイんだけど(笑)。ただ観光案内の本を参考にするうえでひとつだけ問題があったのが、景色や建物を見せようとしているので、人間の視線とはまったく違うものを伝えようとしているわけなんですよ。僕はフィルムの絵にした場合、人間がリアリティを感じられる視線が必要だと思ってるんです。で、代わりに何があるかっていうと、これは映画だと。映画っていうのは1本撮る上で必ずロケハンをしてますよね。その結果、非常に良い絵があります。クレーンのカメラの視点ていうのは人間では絶対ありえない高さまで行くかも知れない。でもね、それは人間の気持ちの目になるから、そこには空間があらわれるんですよ。なおかつ、映画のカメラの視線っていうのは人間の視線に近いものがあると思うんですよ。その中で、その絵を選べばリアルな視点で描ける、良い絵がきっと出来る。そういう事から映画を参考にしましょうと。映画で見る最も風景描写の自然なものを選んで、ナチュラルに見せてくれる映画を感じ取って切り取ろうと。描き写すんじゃなくて、その映画で感じたものを写しましょうと。これが逆に苦労の種になっちゃったんですけどね…。
1話のイメージとしては「フェリーニのローマ*1」なんですよね。ところがこの時に、僕はまだ「フェリーニのローマ」を見てなかったんですよ。一番参考にしなければならなかった「フェリーニのローマ」を見てなくて、実は参考にしたのが「ジンジャーとフレッド*2」なんです。この映画の中でやたらローマの街中にゴミがあるんです。汚いんですよ。1話の設定に合うモラルのローマは、汚くて雑然としたこのローマじゃないかと。僕がこの映画を好きなのは、自分の国をきれいに見せようとするんじゃなくて、悪いところを敢て絵にしていこうという考え方。悪い所も絵になるんだなっていうのを見せてもらったんですよね。あと、やっぱりフェリーニの「世にも怪奇な物語*3」の中の一編で「悪魔の首飾り」。その中のローマのイメージなんですよ。特にこれは強いです。怪奇物だっていうせいもあるけれど、ローマって歴史のある街ですよね。背景美術の東(潤一)さんと相談していった中に、国それぞれをキャラクターとして捉えるというのがあります。そこで、ローマは亡霊の街なんだと。亡霊の街でガンダムが、巨大ロボットが闘うんだっ、っていうイメージでいきましょうと。
2話の時はスタッフに、アメリカ! ニューヨーク!っていえばここよ! っていう絵を作りなさいって良く言ってたんですよ。みんなが良く知ってる所でいいから、っていうのでブルックリン橋だと。ブルックリン橋の中で一番いい演技をしたのってな〜に? って考えると、僕の中ではウディ・アレンの「マンハッタン*4」。この映画のビデオジャケットを持ってきて、ここでいいんじゃない? ここでドモンが倒れるのよォー!って。僕らはニューヨークの朝焼けなんて実際に見たことがない。しかし、見たことないものをここで表現しなくちゃいけないんだ、ドモンが目を覚ましたらニューヨークの朝焼けが見えるんだと。しかし、わからんもの描きようがない。でも演出的にはその気分が欲しい。それならウディ・アレンの映画でアメリカを体験すればいいじゃないか! って事ですよね。2話の最後のほうで、何故ブロードウェイで闘ったかっていうと、ジェネシスの「眩惑のブロードウェイ」っていうアルバム。冒頭の歌詞で、映画館からでると、ブロードウェイが朝靄に包まれていて、その中で羊が一匹こちらを見ている、という非常に印象的な歌詞がありまして。そこから、行ったことがない人間がブロードウェイを勝手に感じる訳ですよ。そのイメージを頼って絵を作ってみようと。あそこで一人立っているバニーはこの歌詞に出てくる羊ちゃんなんですよ。全然、本編に対しての意味はないんだけど。ここの絵を作るときに、何でこういう絵を作るのかっていうと自分の感じていたブロードウェイ感を出してみたら、朝靄の中に立つバニー。これが「眩惑のブロードウェイ」なんだ。そこで戦闘が起こるから面白いんじゃないか。そこからはじまる面白さっていうね。
2話ではさらに、ドモンの部屋にやってくるレインのシーンですね。あそこはホテルの部屋の構造からして「裏窓*5」のアパートなんですよ。ドアの方を見るとレインがオーバーラップでやってくるところは、映画では後ろに下がりながら電気をつけていくんですよね。そのあと「裏窓」の場合はいいキスシーンなんですけど、ドモンの場合は薬飲まされるっていうね。ホテルだと、どうしても描いてしまうのが四角い部屋なんですよ。ニューヨークのダウンタウンの安ホテルに泊まっているのであれば、きれいな四角の部屋というよりは、ドアがあって、2、3段の階段があってから床があるような作り。それがどれだけアメリカらしく見える事か。というより、日本とは違っているでしょうと。僕がやりたかったのは「裏窓」のパロディではなくて、「裏窓」のアパートは凄くアメリカを感じさせるなと。それはどこなんだろうと思ったときに、入口の階段じゃないかって事なんですよね。後は、窓側を切り返すと、「めまい*6」のワンシーンで女が緑の看板を逆光にするシーンがあるんですけどね、窓の外にはホテルのネオンが見えてるんだっていうね。窓の外にそういうものを置くことで幾ら安ホテルとはいえ少しはアメリカらしく見えるんじゃない、って所ですよね。だから、2話については楽しんでそういう設定を作ったりしてましたね。
3話っていうのは私の大好きな世界ですから。中国っていうと、のどかな街が多くて描きにくいんですよ。それで、場所を特定するんじゃなくて、私の好きな所にしちゃえっていう事にして。当時、日本版がまだなくて個人的に輸入して見て喜んでいたのが、ウォン・フェイフォン・シリーズ*7。ちょうど、香港で中国古武装物と呼ばれるウォン・フェイフォン・シリーズや、「東方不敗*8」など、いろんな時代物の映画がたくさん作られていた頃で、それがめちゃくちゃ参考になってます。もっと昔のキン・フー監督の映画からも取ってきたりして、中国っていうみんなが持ってるイメージを、もっとリアルに捉えている映画ってあると思うんですよ。その辺から設定起こしまくってます。あとは万里の長城をちょっと置いときゃいいかと。街中の雰囲気はウォン・フェイフォン・シリーズからで、後半、田舎に行くと山水画の世界だと。山が高くて滝があって松の木が生えてるのよ。これが3点セットで大丈夫(笑)っていってね。後は岩壁に山道がありゃイイのよって。そういうところをBパートの頭の方で印象的に置いとけばね、あとはいい絵を最初にポーンと見せてしまいましょうと。山水画のきれいな絵を見せておいて、後はアップで捉えていきましょうと。あと街中では小物に気をつけたなっていうのはあるんですよ。どこまで上手くいくかっていうのは別にして、必ずぶら下げて置いていったのが鳥篭。僕も理由はよく分からないんだけど、中国の街並みには鳥篭がよくあるんですよ。何のためか分からないけど、あるのと無いのとでは、あるほうがそれらしく見える。後は家の裏側、2階の在り方とか、テラスの造り。大したものじゃないにせよ、やるのとやらないのとではこんだけ違うなっていうのが出た話だ思うんですよ。特に東さんには苦労かけた頃でしたけど、特に中国の街並の設定には、一発で“参りました”のOKを出しましたね。
4話、フランスはね、フランス映画っていうのはなかなか絵にしづらいなってのがあったんで、スイング・アウト・シスターズの初期のビデオクリップの中で、二人がパリの街を遊ぶコンセプトで撮ったビデオクリップがありましてね。その絵の中で見たのが他所の国には無い絵だなっていうのを見せてくれるんですよ。手摺りだとか、きれ〜に並んだ階段だとか非常に参考になりました。後はマリアルイゼが木に縛られていた所。丘のいい所にテラス付きのレストランがあって、景色のいいところでおいしいものを食べさせるっていう、景色を利用している店ってあると思うんですよ。あそこは荒れたレストランのつもりなんですよ。まぁ、日本でいやぁ、青山通りにあるような店の気分を出したいなと。フランスは元々きれいな所がボロボロになっているんでやりにくかったですね。
次がロケハンの大切さや、場所を設定することで教えられたのが5話の刑務所。これ何でロシアにあるのっていわれるけどモデルにしたのはアルカトラス。偶然にもGガンダムを作る前の年にアメリカに行って時間が余ったときに、俺はどうしてもアルカトラスに行きたいんだ、って我がまま言って。実はジャイアントロボのある1話のためにどうしてもアルカトラスを見ておきたかった。実際に見て、写真いっぱい撮って、頭の中に放り込んどいたものが役立ったなと。ロシアの刑務所っていったときに、やっぱりこれぐらいの場所でないとアルゴが捕まってて面白くないよなってのがあって。ジャイアントロボで使う前の練習だと思って使ってしまいました。だから、自分が覚えている限りのアルカトラスの場所を設定して…。アルゴとドモンが出会う場所とかは、本当にああなってますから。だから、向こうで買ってきたビデオやパンフレットを総動員して作ってます。写真はもちろん役に立ちました。でも、行った経験、見た経験がね。やっぱり演出稼業なんですかね、絵になるのはどこかなって考えてるんですよ。そういう記憶が一番役に立ちましたね。参考にしたのが、お持ち帰りのアルカトラスってのがありましてね、土台がプラキャストで出来たペーパーモデルをお土産売り場で売ってたんですよ。階段1段1段を紙で張り合わせるっていう精巧なモノ。お土産にしてモデラーの小林誠さんに差し上げたら凄く喜んでくれて。で、小林さんがつくったそれを借りて、作画や美術とかに店ながら、ここでアルゴとドモンがこうやってるのよとかね。あと、カメラの視線ですよね。テーブルの所に自分の視線を置いて見てもらって、アルカトラスの気分てこんな感じだよって指示しましたね。だから、自分でアルカトラスを見た経験によって、ロケハンの重要性を実感できました。(結局、実際のロケハンができないので映画でロケハンをしていたということです)
6話の冒頭でドモンがお茶を飲んでいるところは、京都の石庭で有名な竜安寺。コロニー内のドモンの家やなんかは、やっぱりウディ・アレンの「スリーパー*9」。あの美術のイメージなのね。日本ていうのはね作るとき凄く問題だったんですよ。コロニーの中をはじめて見せる訳でしょ。その中で日本の家が立っていていいのっていうようなね。住んでるのは博士達でしょ。藁葺き屋根や、お寺みたいな所に住んでる訳にもいかない。やっぱり研究所っぽい所に居て、未来なんだと。そこで、まず「スリーパー」の屋敷を置いて。部屋の中も「スリーパー」なんですよ。ただ、ひとつだけいたずらしたのが、日本を舞台に設定した外国映画の中に「うそだろ〜?」っていうのがあるでしょ。それをわざとやりました。家の前から海に向かって桟橋があって鳥居が建ってるんですよ。これが何の映画か解かったら偉い!*10 パロディは内容に影響しなければ、解からないものであれば使っちゃえ!っていう感じですよね。だから時々いたずらする事あるんですけどね。ある映画と同じ芝居やってるゾ!とかね。
7話は担当演出さんに全面的に任せてましたね。7話はとにかく、あのネオメキシココロニーなんで(笑)、あれしかないですよ。
8話はね、非常に偶然だったんですよ。次はカナダかって、ナイアガラの滝を出さなきゃいけないなって思ってたんですよ。それで家に帰ってテレビをつけたら何故かNHKのBSで30分ぐらいかなァ、ナイアガラ写してるんですよ。その場でそれをビデオに録って、それを参考にしたんですけどね。でね、ポイントになるのはどこかっていうと、これはほかの番組で覚えてたんですけど。滝の下に足場が組んであって、滝の下を歩いて行けるようになってるんですよ。そこでドモンとレインに芝居をさせようと…。滝をどう見せるかっていうのがポイントだったですよね。あとは森の中をどう描くか。これは私の好きなマグマの「MERCI」というアルバムジャケットの裏に、凄く印象的な森林の写真があるんですよ。これをイメージに使おうと。陽が差し込んでて、水があって、ちょっと奥には霧が張っていて。これが果たしてカナダの森かどうかは知らんけど、ウン、森だ!っていうね。
Q 地球の周りに張り巡らせたリング・ロープは何のためにあるのですか?(1話)
リング・ロープは、なおかつバリヤが張ってあるんですけどね。1回地球に降りたガンダムを逃げられないようにしている。逃亡ができないようにしているんです。地球がリングだ!って所から来てるんです。6話で1度ドモンがコロニーに上がるのは本来、違反なんですよ。あれは日本が秘密裏に行なった事であると。あるいはカラトが特別許可を得てコロニーに上げたんだと。本来、あれは違反です。

お願い! この役は青野さんにしてって、頼んじゃった。一発、我がままかましたキャラですよね。

Q チボデー役の大塚芳忠さんが、アニメのレギュラーなのは非常にめずらしいと思いますが、スタートレックのデータの影響ですか?(2話)
僕の大塚芳忠さんのイメージは、逆にこういうタイプの声なんですよ。私が演出の仕事をはじめて、しばらくしてやった「重戦機エルガイム」。あれの主役3人組のひとりのキャオが大塚さんなんですよ。キャオはちょっとお調子者の役だったんですよね。あの声っていうのはアメリカのヤンキーの人にはピッタリの声でしょ。あとは「ミスター味っ子」の陽一くんのお父さん役。スケジュールの関係でお父さん役が3人ぐらいいたんですよ。出番が少ないからレギュラーとして押さえられないポジションなんですよ。でも初代お父さんは大塚さんですよ。だから大塚さんと仕事をする機会は割と多くて、変な固定観念はなかったですね。非常に好きな方です。僕なんかが逆に意外だなと思ったのが、大好きなチョウ・ユンファを「誰かがあなたを愛してる*11」の日本語吹替版で大塚さんがやってましたね。これがピッタリだったんですよ。これはちょっとしたオトボケキャラ、楽しい役だったんですけど。最後のセリフの一言が、大塚さんって凄いなァって再確認する名演技でしたよ。まあ今、大塚さんっていったらスタトレのデータ*12の声だけどね。
Gガンダムの場合は若い方で占めたい。全員新人でもいいんだっていう気分でした。大塚さんていうのはその5人の中でポイントとして締めてくれる方として、ベテランの方を一人だけ置きたいっていうのがイメージだったんですよね。
Q フェイロンフラッグに元ネタはあるのですか?(3話)
フェイロンフラッグ自体に元ネタはないんですよ。ただ僕が旗そのものが好きだっていうのがあるんですよ。中国って旗が好きでしょ? あれはイメージなんですよ。「茶流彩彩」っていうお茶のCMがあるじゃないですか。あれで、旗振り回して走ってるCMあったでしょ、あれですね。だから香港映画の中でも旗持ってよく走りますよね? あの旗のなびきが大好きなんですよ。
Q グラビトンハンマーって、ガンダムハンマーからのフィードバックなのですか?(5話)
メカのデザインにはあんまり元ネタとかはないんですよ。ただロシアのガンダムに何を持たせようかなって時に、ロシアはガンダム化しやすいですよね。その時に、罪人っていうのがあったんですよね。アルゴのキャラクターから来てるんですけど、囚人には鎖と鉄球だと。強そうだしイイんじゃない、っていうね。アメリカといえばボクサーだから、ボクサーモードで殴れるようにしようとかね。中国は、お願いだからドラゴンの口を付けてネって(笑)。これだけは是非やりたいのよってお願いしてね。
Q バードマンってゲストキャラにしては凄く存在感がありますが?(5話)
バードマンは絵コンテの段階で青野武さんの声のイメージで描いてるんです。あれだけの長ゼリフを気分よく聞かせてくれる人で。何ていうか自然に出てきたキャラクターが、青野さんのイメージだったんですよ。だから、お願い! この役は青野さんにしてって、頼んじゃった。一発、我がままかましたキャラですよね。本当は後半にも出したかったんですけどね。あの人だからこそ、最後の去って行くときのセリフが生きてくるんですよ。シリーズとしてキーになるセリフですからね。逆に声優さんの力に我々が頼ってしまう部分なんだろうね。
Q デビルガンダムはファイト用に造られたものではないようですが、何故ガンダムなのでしょうか?(6話)
デビルガンダムっていうのは、ああいう怖い型をしている、ある目的のために造ったメカなんだと。難しいところなんですけど、最強の敵として設定する以上は、そいつにもガンダムの顔が付いていなければならない。作品世界では基本的な人型のメカを造る場合のノウハウがあるものは、やっぱりガンダムタイプなんですよ。ファントマなどのMAに比較してノウハウが確立されていて、内蔵しやすいというか、基本形態にしやすいものであると。ある要素をメカに加えたいと思えばファントマに組み込むよりはガンダムに組み込むほうが効率が良いと。そういう意味でガンダムを使用していると。
Q テキーラガンダム、MSペスカトーレともに水中戦を想定した兵器ですが、ネオメキシコが水中専用MSに力を注いでいるのは何故ですか?(7話)
ネオメキシコのMSペスカトーレ、僕はダックちゃん(笑)って呼んでますけどネ。ダックちゃんは水中戦用ではなくあくまでも水陸両用に設定してます。テキーラガンダムにしてもどうしても国柄を出したいんですよね。
Q ランバーガンダムはいかにも対ボルトガンダム用のデザインですが、シャイニングGとの闘いまで公にされていなかったボルトガンダムの仕様を、グラハムは何故知っていたのですか? また、個人的な復讐心でファイトに参加したグラハムの意見を、ネオカナダ政府は何故受け入れたのでしょう?(8話)
カナダの場合は、グラハムという人間に合わせたメカを造ったんだと。グラハムは筋骨隆々になったんでね。ファイターの特色を生かすメカなんです。メカに合ったファイターを選ぶのか、ファイターに合ったメカを造るのかっていう二つの考え方が国によってあって、この場合はファイターに合ったメカを造ったという事です。何故グラハムはアルゴと対抗できるのかというと、グラハムは昔アルゴを見てるんで、昔の、なよっちいグラハムは、アルゴに勝つためには俺も筋肉隆々にならなくちゃいけないと思った。で、体を鍛えてあのような熊になってしまった。当然、メカもそれに匹敵するものになったと。逆にドモンのシャイニングガンダムは標準機として全く違ったラインで造られていたもので、ファイターを限定しているメカではなかった。ただ、あの機能を最大限に発揮出来るのは恐らくドモンであろうと。感情エネルギーシステムにはドモンが一番売ってつけだったという理由は、後からミカムラ博士達によってつけられていったわけですよね。
1 フェリーニのローマ
'72 伊 監督・脚本:フェデリコ・フェリーニ イタリアの都市ローマをフェリーニが独自の手法で描いた幻想的な作品。
2 ジンジャーとフレッド
'85 伊・仏・西独合作 監督:フェデリコ・フェリーニ TV産業に対する批判的姿勢をコミカルに映像化したフェリーニの集大成ともいえる作品。
3 世にも怪奇な物語
'67 仏 原作:エドガー・アラン・ポー 監督:ロジェ・バディム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニ 幻想作家ポーの小説を3部からなるオムニバスとして映画化。フェリーニ演出による「悪魔の首飾り」は3部目を飾る傑作。
4 マンハッタン
'79 米 監督・脚本:ウディ・アレン ニューヨークと、そこで暮らす人々の悩みをほろ苦く描いたW・アレンの代表作。
5 裏窓
'54 米 製作・監督:アルフレッド・ヒチコック 足を骨折したカメラマンが覗き見をした事で殺人事件に巻き込まれていく。ヒチコックの冴えわたる演出!
6 めまい
'58 米 製作・監督:アルフレッド・ヒチコック 高所恐怖症のため警察をやめた男が、友人から妻の監視を頼まれた…。ヒチコック代表作の一本。
7 ウォン・フェイフォン・シリーズ
'91〜 香港 製作:ツイ・ハーク 監督・脚本:ツイ・ハーク他 ビデオタイトル「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズ 中国に実在した医者にして拳法の達人・黄飛鴻の大活劇!
8 東方不敗
'92 香港 製作・脚本:ツイ・ハーク/監督:チン・シュウタン 日本公開名「スウォーズマン/女神伝説の章」 今更、説明不要の香港製中国SFX大時代劇。Gガンダムファン必見!
9 スリーパー
'73 米 監督・脚本・音楽・出演:ウディ・アレン 冷凍睡眠から目覚めた男の見た200年後の世界は…。独特の諷刺のきいたSFコメディ。
10
監督からのお願いでクイズ!とします。解答は第2回にて。
11 誰かがあなたを愛してる
'87 香港 監督:メイベル・チャン チョウ・ユンファ主演のラブストーリー。香港人の視点で描くニューヨークでのほろ苦い男女の出会いと別れ。
12 データ
米TVシリーズ「新スタートレック」に登場するアンドロイド。トレッキーにはお馴染みの宇宙連邦艦隊少佐。とてもイイ奴。
(以下、第2回に続く)
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