「機動武闘伝Gガンダム」今川泰宏総監督、Gガンダムを語る! 第5回

「機動武闘伝Gガンダム」今川泰宏総監督、Gガンダムを語る! 第5回

あのときのドモンは本気でサイ・サイシーを殺そうとしてます。あれは本気で殺そうとしている話なんですよ!

−−−香港ではガンダムの事を「高達」と書きますが何故なんでしょう?
「高達」っていう文字の意味は私にも分からない。例えばジャイアントロボだと「鉄鋼人」なんですよ。昔ねぇ、随分昔に香港で見たんですけど、「機動戦士ガンダム0080」が「機動戦士高達」ってタイトルだったんですよ。香港関係の人もガンダムの事を「高達」って書いてるんで、私はそういうもんだ(笑)と思って。「高達力士」とか「Z高達」ってのもあるしね。「高達」って書いてガンダムと発音するのか、向こう独特の発音があるのかどうかって言うのは私にもわからないんですよ。逆に調べてほしいぐらいなんで…*1
−−−アレンビーが「うっげー、変な味ィー」と言って飲んでいる緑色の飲み物はなんですか?(33話)
これは僕と南(雅彦)プロデューサーと音響監督の浦上(靖夫)さんの3人で香港に取材に行ったときのこと。日本で言うデパートの地下で売ってる果物ジュースの感覚でね、大通りの店先にジュースだけを出して売っているんですよ。僕は臭い食べ物が結構好きなんですよ。例えば野菜だったらセロリとかね。あの飲み物は、ジュースじゃないんです。日本の飲み物に例えるなら何だろうなぁ。向こうではあたりまえなものだと思うんですよ。僕らが飲んだところには、こういった飲み物が6種類ぐらいあったんですよ。それをねぇ全部飲んでみたんですよ。もちろん3人で回し飲みしてね。この臭い、この苦み、何とも言えない薬臭さ! ドクター・ペッパー嫌いな人っていますよね? あの感覚なんでしょ。僕はどれもいいなと思って飲んでいたんですけど、南さんなんかは「こりゃ飲めん!」とか言ってて。そこから、あのアレンビーのシーンを入れたんですよ。
あのシーンの中でね、僕はシーンの転換を気にするほうなんだけど、ああいうリアクションから入っていくと注意を引くし、香港らしさが出せるのではないか。少なくとも日本とは違うと思わせることが出来るだろうと思って入れたシーンです。
−−−再登場したチャップマンが喋らないのは何故ですか?(33話)
単純に一度死んで、DG細胞で生き返った人間だから…。あれは喋れないんじゃなくて、喋らせなかったんですよ。だからネオエジプトのダハールと同じなんですよ。チャップマンのように強烈に強い人間が甦ったときに、喋るよりは喋らないほうが強く見える、恐く見えると思ったんですよ。何故生き返ったんだ?っていう疑問で始まる話だから徹底的に喋らせないでおこう。最後までチャップマンは戦うマシンなんですよ。本当に機械になっちゃってるけどね(笑)。考えてみてほしいのは最初のターミネーターってあんまり喋らないでしょ? 強ければ強いほど喋らせないほうが演出的には正解だっていうのが僕にはありますね。チャップマンの場合はマノンの一件があるんですね、喋らせるとそういうところからボロが出てくる。喋る相手だったらドモンが聞く筈なんですよ。そのときにチャップマンはどう答えるか? 答えようがないんなら、喋らせないでおこうというのもあります。逆にミケロは、あれが幸せな奴なんです(笑)。よく喋る奴と、全然喋らない奴に分けてるんですよ。そのほうが四天王のバリエーションも出せるんですよね。四天王に新しいキャラクターをドン!と並べるのも面白味があると思うんですよ。ただし、後半のシリーズで1話完結のスタイルをとるためには、新しいキャラクターだと話に絡ませなければならないから、それは出来ないんですよ。それなら過去のキャラクターを甦らせて個性を利用していくほうが良いであろうと思うんです。
今だにひとつだけ残念だと思っているのが、香港の安〜い、汚ぁ〜い飲み屋に四天王が4人集まって悪巧みっていうか「デビルガンダムはどうだ?」とかって報告をしあってるシーンを作りたかったんですよ。チャップマンをドモンが付けて行くとスラムの中の安宿、安いバーの中でミケロと、もうひとり謎の4人目の四天王がシルエットだけでいる、そこで報告しあうっていうようなシーンを実は作りたかったんですよ。
−−−もしかして、それが32話の奇人変人大集合になったわけですか?
(笑)ちょっと、ちょっと違うんだけど近いものはありますね。それですね、たしかに。とにかく悪い連中が酒場で悪巧みっていうのが好きなんですよ。あの中にね、シジーマの蛇まで居るのはどういう訳なんだ!ってみんな喜んでましたよ、奇人変人だぁ〜って。ああいう絵を真面目にやるのがGガンダムですからね。
−−−アシュラガンダムとスカルガンダムはコンテストの優秀作ですよね?(34話)
講談社の「コミックボンボン」と「テレビマガジン」でやったコンテストのそれぞれの1位です。凄く辛かったのは、子供がせっかく描いて来てくれたガンダムなんだけど、敵なんですよ。せっかく応募してくれたものだから大切にしてあげたいんだけど、ごっつう(←大阪弁)悪いガンダムになっちゃった(笑)。その子たちに申し訳ないと思ったんだけど。元々、悪役っぽく描いてきてくれてるから、それはそれでいいかと思ってね。
−−−コンテストの優秀作だってことは後から知ったんですけど、何故こんなにこの世界にはまるガンダムを描ける子供たちなんだと驚いて…。
恥ずかしくないでしょ? その前に私のレベルが子供だったのか(笑)って言うのはあるんだけど。例えばネーデルガンダム自体が子供たちに対して、あなたたちが描いたガンダムと大差ないでしょ?っていうものじゃないですか。この世界はこんな凄いガンダムしか出てこないんだよ。あなたたちが考えるガンダムと、僕たちが作りたいガンダムは近くにあるんだ。そのためのネーデルガンダムや、コブラガンダムでもあるんですよ。だから子供たちは素直に楽しんでもらえる分、そこが分かってくれたんじゃないかと思うんですよ。
−−−シャイニングガンダムやゴッドガンダムのボディが金色に輝くのは、感情エネルギーシステムによるものだと思っていたのですが、他のシャッフル同盟も金色になるのは何故なんでしょうか?(35話)
ドモンがスーパーモードになった後の話って言うのは、どうあがいたってレギュラー同士が張り合えないじゃない。やるんだったら敵のガンダムも強くしてあげたい訳。それで、金色対金色っていうのを考えたんですよね。ほかのレギュラーもアピールしたい。ドモンっていうのはたしかに主人公だけど、回りの4人も同等の主人公なんだと。そこを忘れたくない。みんな主人公と同じ立場、能力であって欲しい、っていうのは僕の願いでもあるわけなんですよ。もちろんウェイトは違いますよ。だから35〜38話の話っていうのは接戦の末、決着がつくっていうやり方をしているつもりなんですけどね。もちろん主人公を勝たせないとしょうがないっていう理由もあるんだけど。最後に来てね、オモチャがもう一度、売れて欲しいじゃないけれど、一年続いてまたドラゴンガンダム欲しいね、マックスター欲しいね。と思ってもらいたいように、それぞれのガンダムをさらにカッコ良く、スケールアップしたかったって言うのはあります。正直言ってうまくいったなと思うのは、バンダイがハイパーモードのシリーズを出したでしょ。あの商品は発売してくれて凄く嬉しかったんですよ。
たしかに感情エネルギーシステムから来るものなんだけど、僕は金色って言うのは、さらにその一段上の物だと思っているんです。メカニズムとしてはボディの変形までを言うんですよ。真のスーパーモードって言うのは、個人の精神が、意志がメカを光らせているんだ。って考えたいんですよ。だから、そういうシステムがなくても本人がその精神的な領域に達すればメカは光るんだと考えてますよ。
−−−この4本ではやはり、サイ・サイシーの話がいい感じですよね?(37話)
特にこの中では、本当に困ったのはこの話なんですよ。コンテの内容に関しては須永(司)ちゃんと競作した部分があってね。須永ちゃんの元のコンテも最後までスッゴイ残っていたんですよ。須永ちゃんも「これサイ・サイシー負けられないよね」って言ってたんです。絵コンテを描いてる人間としてサイ・サイシーを負けさせたくないっていう感情が凄く働くんですよ。で、それをチェックして直している僕自身、サイ・サイシーの負けっていうのは描けなかったんですよ。やられても、やられても、そこからさらに奥の手の真・流星胡蝶剣を出すんだと。最後の手を出すのが、もうボロボロになった後なんですよ。負けられない負けられないで、コンテが終わらないんですよ。何回やっても、どこまでいっても決着が着かない。それで悩んだあげく、あの流れでスラッと出て来たのが「なら、いま楽にしてやろう」っていうドモンのセリフでしたね。あのときのドモンは本気でサイ・サイシーを殺そうとしてます。あれは本気で殺そうとしている話なんですよ。自分でも本気でそう思ったのが認識出来たとき、総師が「そこまで!」ってね。あっ! 水入りにしてくれたって感じなんですよ。あれぐらい自分でチェックして興奮したコンテってないですよね。
僕は基本的に少年物を書くのが好きなんですね。人はショタコンと私のことを呼びます(笑)。少年の成長を描くのが好きなんです。あのサイ・サイシーっていうのは描きやすいって訳じゃないけど、自分の好きなキャラクターではあるし、ああいう成長っていうのをドタンバまで追い込めたのも久しぶりだなって思いましたね。
それと、やっぱり野沢那智さんですね。「東邪西毒*2」の登場人物にいくつか合わせたのが、サイ・サイシーのお父さんのイメージなんですよ。逢坂(浩司)さんが東京に出て来ているときでね。この1本はお父さんで決まるんだと。この1本が成立するにはこのお父さんに掛かっている。シナリオも絵コンテも演出も作画も、このお父さんの存在が全てなんだよっていう話をしたんですよ。これは僕が「東邪西毒」っていう映画が好きだからって言うことじゃなくて、逢坂さんに色々言って描いてもらったものに、プラス自分の最も熱く感じたキャラクターのデザインを、自分が感情移入したものを加えたい。当時、香港でこの映画を見たときの思い…。全部広東語だし、英語の字幕もついてなかったんで話も分からなかった。ただ、あの映像を見たときの虚空のイメージ。それとあのお父さんのイメージがクロスしたんですよ。
セイットにしろ、マスター・アジアにしろ、逢坂さんと直接会って頼んだキャラクターには秀逸なものが数多くありましたね。それも一緒に作り上げたものだからっていう感じはありました。あの中で今まで見たことのないような雰囲気のキャラクター。これで一発かましたかったんだと。
声優さんもみんなが、えっ!って思える存在の重さが出る人が必要だったんです。いきなり、このお父さんは出てくる訳なんですよ。今までの話と何の関係もありませんから。そこで出てくるお父さんが、サイ・サイシーの夢の中で見るように、見る人が存在を感じてくれるような、そんなキャラクターにしたかったんです。浦上さんに「この一本は、この一言、この声優さんが支えるんだっていうぐらいのキャスティングでお願いします」と言ったところ、「野沢那智さんでどうでしょうか?」って電話がきたときにね、僕は「幸せでございます」と答えたんです。この時は浦上さんのベストキャスティングだったんですよね。
こういうとき、アニメーションというのは総合芸術だなって思うところですよね。例えば、誰が演じるかは、コンテ描いてるときは分からない。ただ、誰が演じるのであっても、その役者さんの持っているものに賭けたいって言うのはあるんですよ。だから、役者さんがモノ凄く力を入れてくれるだけの台本を書かなきゃなっていうのはありますね。
アニメーション的には真・流星胡蝶剣の作画、演出があった。色々な声優さんの力に負うところもあった。脚本も面白い。コンテもうまくいった。全体のバランスから言えば最終回と張り合うぐらいの1本でしたよね。
演出やってるときっていうのは1年で1本、監督のときはシリーズで1本出来ればいいなって思ってるんですよ。Gガンダムの場合は何本もありましたけどね(笑)。もし1本上げろと言われたら全体のバランスを重視して考えた場合、おそらくこの37話だろうなって思いますね。この話に関しては言い尽くせないものが非常にありますね。
この話の中で当時面白かったのが、恵雲、瑞山が般若心経を読むんですけどね。少林寺が果たして般若心経を読むのかって言う疑問があったんですよ。それでアフレコのときにね文芸の北嶋(博明)くんに四国の総本山まで電話して聞いてもらったんですよ。そしたら、昔は読んでいたって事なんでOKしたんですよ。
−−−各国家の国旗の中央にあるマークは何ですか? アルファベットの“N”にも見えますけど? もしかしたら「スタートレック」の…?(35話)
(笑)。そう。当時は凄く困ったんですよ。各国共通で何か入れたかったんです。ただ、十字マークとかね、簡単な形っていうのはいろんなところで既に使われているんですよ。凄い国旗をデザインする訳にもいかない。しかし各国家をストレートに表現したい。そこで、どの国の国旗にも共通して入れられる簡単なマークを考えたんですよ。最初はあれをそのまんま使ってたんだけど、日本に入れたらそのまんまじゃないか(笑)。こりゃマズイって言うんで、ふたつ重ねてあるんですよ。これならちゃんと“N”になるからいいなと思ったんですよ。誰かに言われたら最後だなとは思ってたんですが…。
−−−マスター・アジアの使う「酔舞・再現江湖デッドリー・ウェイブ」ってのは何ですか? 調べたんですけど“酔舞”と“再現江湖”っていうのは映画「風雲再起」の挿入曲のタイトルですよね?(35話)
当たり! 本当はデッドリー・ウェイブって言うのを出したかったんですよ。ただマスターの場合カタカナの名前って言うのは合わせづらいんで漢字をつけたんです。この漢字も僕なりに意味があって、純粋に内心を表すっていう意味で酔って舞うっていう字を使っています。再現江湖っていうのは漢字のとおりで自然を再現する。だから、この時に45話で言うマスターの目的を既に言ってるんですよ。江湖って言うのは武術者が行き着く先っていう意味もあるんですけど、現世の自然、一番最初の美しい自然を表す言葉で日本語にもあるんです。“デッドリー・ウェイブ”っていうのはGガンダムのファミコンソフトの中でマスターが使う技の名前なんですよ*3。この中には本編には登場しない技がいっぱいあってその中のひとつなんですよ。これをゲームが発売された後なんでテレビにも入れてあげたんですよ。別に頼まれた訳でも何でもないんですけど、そのゲームで遊んでいる人たちが本編の中でもその技が出て来たらうれしいんじゃないか。それを見た人がもう一度プレイしたときに、その時の気分で出来るんじゃないかと思ったんです。このゲームは一種のシミュレーションなんですよ。自分がキャラクターに成り切れる。僕自身はあまりゲームはやらないんですけど、テスト版が届いた時に何度かやったんです。このゲームは番組をトレースすることが出来るんですよ。自分がマスター操りながら成りきって叫ぶんです「バカ者、バカもの! だからおまえはアホなのだっ!!(笑)」ってね。僕はいつもマスターしかやらないんですけど…(笑)。
−−−アルゴのガイア・クラッシャーは、どうやって敵を倒すのでしょう? ゴッド・フィンガーを両腕で挟み込んだあの使い方が本来の使い方なんですか?(38話)
ガイア・クラッシャーに関しては非っ常に難しくてね(笑)。僕の解釈としては、ちょっと他の技と違うのは確かなんですよね。相手の自由を奪うための技、決め技の準備のための技なんですよ。ただし、それはなまじっかなものではない。相手の自由を奪ったあとでの必殺技というのは一番効くと。むしろ、直接的でないだけに他の連中の技より質の悪い技なんですよ。ただし、それ自体に非常にパワーがある。そのパワーをアルゴはいろんなところに流用が出来たって事なんですよね。
−−−足を挫いて跳躍もままならないマスターが、ビル一本押し上げて地上に出て来れるほど元気! あれはドモンの気を引くための芝居だったんでしょうか? その後、風雲再起に跨ったまま闘っていたところを見ると、ケガは負っていたんですよね?(39話)
うん。だから「我が足となって闘え!」って言うのは、たしかにケガはしていたのかもしれませんね。ケガのレベルはウソついていたのかも知れませんけどね。ただ、あの話でひとつだけ欠点があるのは、石破天驚拳使うよりも二人でビル蹴っ飛ばしているほうが凄いよな(笑)。しまった! こいつら普段の方が凄いぞ!!ってね。だからね、相手に意識があるものとないものとでは威力は変わるんですよ。あと、あの話でみんな驚いたのは馬の装着のシーン…。誰もがそうじゃないかと思っていたが、まさか本当にやるとは思うまい(笑)。でも俺は敢えてやる! ヒヒ〜ンだって(笑)。あそこは作画も秀逸でね、非常に良く出来てるんですよ。
−−−次にレインが「ネオドイツの女」(笑)になりますよね?(40話)
好きなんですねえ、あのセリフは(笑)。これもねえ、自分の演出の変なところなんですよ。理屈じゃないんですよ。別にねえ、笑わせようと思ってやってるんじゃないんですよ。あれは私の中でちゃんと成立しているセリフなんですよ。ところがねえ、みんな笑うの! 何か異常な味があるでしょ? いつも僕は自分の演出を説明するときに納豆だって言うんですよ。臭いけど、一度食べて馴れれば病み付きになる。納豆って離れる部分と、引き付ける部分があるじゃないですか。例えば、このご飯、腐ってるよ!って言われたら匂い嗅ぐでしょ? 臭いと言われると、思わず匂いを嗅いでしまう。分かるでしょ? そういうのってあるじゃない! トイレ行って尻拭いたら紙見るでしょ? 鼻咬んだら、開いて見るでしょ? あれなんですよ、私の演出は! ネオドイツの女っていうのはそれに近いものがあるかも知れない…。
−−−スゲエ例えだなぁ(笑)。それでは本題ですけど、マスクを被ったシュバルツの正体は見破れないのに、どうしてレインはすぐにばれちゃうんですか?
いやあ、本当はあそこで「誰だあの女は!」って言わせる予定だったの(笑)。でもね、尺が足らなくてダメだったの。これが心残りなの(笑)。分からないのがGガンダムの世界なら、分かるのもGガンダムの世界だと思ったから。こりゃ両方いけるなと! 笑いながらやる漫才はダメだっていうのと同じでね、あの世界ではみんな真剣なの! 誰もあのマスクを見て笑いはしない訳。だから視聴者は笑うのよ(笑)。だからあそこでレインがあの声で、あの芝居で、真剣に「ダメ! 私は今ネオドイツの女」っていうからみんな笑うワケ。でも、あそこには、そそる何かがある筈。一種の緊縛感がある筈なの。SMじゃないけどね(笑)。何かがそういうものを絶対みんな感じてる筈なの、あそこは。あの格好だし(笑)。そういう人間の深い本能に関わりたがるんですよ。それが俺の演出の根本だと思いますね。
あと、40話ではレインが写真を撮るところ。臭いでしょ(笑)。あそこはね、あの時思いついたの(笑)。コンテチェックしてるときに、描き足したの。結構いい加減なんですよ。でもね、いつかはちゃんとやらなきゃいけないと思っていたところで、シリーズ後半は写真が出てこなくなって、ドモンが初めて兄さんとの思い出をって時に、しめた! 今こそあの写真の決着をつけるべきだと思ったんですよ。レインが撮ったっていうのは一か八かでしたけどね。ただ、1話から続けたあの写真のやりとりが、あの40話を見て初めて1話からの穴埋めが出来る。ふとね、40話でやったとき、1話からの写真はああいうことだったのかって言うと、二度おいしいんじゃないけれど、シリーズの土台を後から作る効果っていうのがあるんじゃないか。一年間で40話まで見たものが思い入れじゃないけど走馬灯のようにね、視聴者にグッ!と迫ってくる。1話から39話までがあっての40話だって思って見てもらえるんじゃないかと。これも私が好きでよく使う手なんですけれども(笑)。ここでやっと出来たと思いましたね。いくつかあるんですけど、このシーンが出来てよかったっていう一本ですね。あれだとあの写真が納得してもらえるかな。
40話っていうのは、このシリーズで本当にラブストーリーをやりたかったっていう部分のね、いよいよやることを腹に決めた一本でしたよね。かなり臭い話ですよ。自分でもよくあのセリフを恥ずかしげもなく書いたなと思ったんだけどね。
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調べました。英語、外来語を使用している場合は語意、造語の場合は言葉の音を元にするようです。この場合は「ガンダム」と言う言葉自体が造語なので後者に当たります。ちなみに、広東語での発音を日本語風に書き示すと「カゥタッ」。カとウを特に強調する発音で、ッも促音というよりは気持ち小さめに発音したほうが、よりそれらしく聞こえます。みなさんも声に出して読んでみましょう!
2 東邪西毒
'94 香港 製作:ジェフ・ラウ 監督:ウォン・カーウェイ 出演:レスリー:チェン、レオン・カーファイ、ブリジッド・リン 他 スウォーズマン・シリーズの原作者、金庸の同名小説を2年半掛けて映画化した古武装者の超大作。刺客を生業とする東邪と、凄腕の剣客である西毒との友人関係を中心に話は展開する。ある日、東邪の元を別々に訪れた兄妹の依頼は、共に西毒を殺すことだった! しかし、この兄妹、実は二重人格の同一人物で…、と言うのは物語の冒頭部分に過ぎず、現在と過去が交差する難解な展開を見せていく。何故か原作で描かれる以前の世界を映画化したことで、評価は賛否両論まっぷたつ! 「その映像美は見る者全てを魅了する。しかし…」「これは孫悟空が出てこない西遊記だ!」「これぞ香港版の羅生門(芥川の小説ではなく、黒澤の映画の方)」等々。ちなみにこの年の第51回ベネチア国際映画祭にてオセラ・ドール(芸術貢献)賞を受賞。痛快娯楽時代的として製作された筈の作品が何故芸術賞なのか? '94年5月現在日本公開予定あり! 真実は是非、自分の眼でご確認ください。
3 機動武闘伝Gガンダム
スーパーファミコン対応の対戦型格闘ゲーム。4つのゲームモードが選択出来るが、中でもバーサスバトルではガンダムと搭乗者を別々に選べるので、ガンダムローズにアルゴを乗せるなんてことも想いのまま。さらにストーリーバトルではカトキハジメ氏によるオリジナルデザインのデビルガンダムがボスキャラとして登場。 発売元:バンダイ
(以下、第6回に続く)
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