元気の出る青春映画。予告編からおもしろそうだったけど、はずさなかったなー。
芦原太一はボクシングに夢中な21歳。最愛の恋人チカを招いての新人王準決勝戦で辛勝した太一に、天地のひっくり返るような運命が襲いかかる。交通事故による脊髄損傷、下半身麻痺。太一は残る一生を車椅子で生活しなければならなくなったのだ。事故を起こした相手は自殺し、自暴自棄になった太一は友人たちもチカも遠ざけてしまう。しかし、同じ脊髄損傷の先輩常滑に「とりあえず一年がんばってみろ。それでもおもしろくなかったら、俺は止めない」と自殺を思いとどまらせられるのだった。それから一年後、太一は毎日酒を飲む自暴自棄の生活を続けていたが、強姦しようとしていたちんぴらに立ち向かって逆に打ちのめされたことで、テキ屋の権水に出会う。権水は太一のことを気に入って、就職したくてもできなかった太一に屋台の仕事を紹介してくれた。その初仕事で、太一は「イカサマのサマ子」と名乗る女性と出会い、風のような彼女に強く魅かれるようになっていく。「ただ生きているだけじゃ駄目なんだ」と思っていた太一はやがて、サマ子の勤める神社で合気柔術の模範演武を見て、その平石師範に入門を申し込む。車椅子の太一を受け入れる道場はなく、集団行動の苦手な太一は車椅子のバスケットにも興味がわかなかったのだ。太一を受け入れる平石のもとで、合気の修行が始まった。「人生はクソだ」と、自分の運命に絶望していた太一に、希望の道が開けてきたのだ。
ともさかりえさん、「クロエ」に続いて好演です。サマ子のキャラクターがいいなぁ。飄々としていて、さりげなく強くって、いい女だなー。予告でも台詞回しが魅力的やなーと思ってたけど、これはなかなか買いですなぁ。
主演の加藤晴彦くん。いい太一でした。太一が前半で自暴自棄になっちゃうところとか、常滑さんじゃないけど、「人生に平らな道なんてないんだぜ」とか言って、背中を押してやりたくなんのよ。お姉さんがまたいいキャラクターで、太一にいらいらしつつ、でも優しいし、甘くないし、でも心配、って、ほんとにいいお姉ちゃんだぞー。
常滑、権水、平石のおじさまーずもぐーです。車椅子だからと太一を差別していない。ちゃんと正面から向き合ってる。大人のつきあいが格好いいです。平石師範がまたかっちょええ役所で、最初から最後まで襟ずまいを正して、でもユーモアもにじませて、とおいしいです。さりげなく脇役で永瀬正敏とか我修院達也とか佐野史郎とか出てて、地味なようで贅沢な作り方。たきがはは、一瞬の出番ながら、すげえ濃ゆいビデオ店の店長が誰か、すごーく気になる。
こういう映画見ると、日本映画もまだまだがんばってると思う。ハリウッドなんぞに尻尾振らないで、我が道を進んでほしいものですね。
(了)