予告を見るたびに泣かされた映画。ううう、わかっているのだ、予告はおいしいところのつまみ食いなのだ、これぐらいで感動していてはいかんのだ。でも見に行きました。昼間の混雑が嘘のようで、余裕で座れました。というか、映画館狭すぎ。いちばん狭いところあてやがった。
結婚6年目でまだ子どものできないソギュンとジヌォンのカップル。仕事の方は絶好調の二人だが、子どもができないことは悩みの種だ。不妊治療に望みをかけるジヌォンは、夫を説得して最後の体外受精を試みる。最後の望みを託されたそれは見事成功した。生まれてくる子供のために、二人は引っ越し、子供部屋も愛情いっぱいで飾りつける。赤ん坊に話しかけながら、日記をつけるジヌォン。子供のことを考えながら、仕事の企画が通ったソギュン。だが、幸せいっぱいの二人に、恐ろしい告知がもたらされる。子供は悪い病気にかかっている。生まれてきても長生きはできないだろう。その治療もできないと知らされて、うちのめされる二人。しかし、ジヌォンは医師の中絶の勧めを断り、赤ん坊の命を感じて、生みたいと言い張る。最初のうちは反対するソギュンだったが、幼くして両親を亡くしたジヌォンの心情を思いはかり、二人は出産に備えることに。子供の名前は二人の名前をあわせて「ユンジン」。そしてクリスマスの日、ユンジンはこの世に生を受けた。ソギュンはその日のうちに出産届を出し、ジヌォンと二人で、カプセルに入れられて、治療を受けるユンジンを見る。生まれてきたのに赤ん坊をこの手に抱いてやることもできない。涙ながらにジヌォンのとった選択は、ユンジンの臓器を別の赤ん坊に移植してやることだった。「ユンジンはこんな選択をした私たちを恨むかしら?」そう言って、ソギュンの腕のなかで泣き崩れたジヌォンだったが、その思いに優しく淡雪が降ってきた。
韓国で好感度No.1の女優、コ=ソヨン嬢と、ちょっと頼りなさそうだけど、優しくて実は芯の強い、イ=ソンジェという二人を主役に配したところがこの映画の勝利ぽいんと。頑張る二人を素直に応援して、一緒に泣く、というのが正しい見方でありんす。生まれてきても長生きできない子供のことを知ってうちのめされた二人が、それでも生みたいと言い張るジヌォンと、医師の言う通り、中絶して、養子をもらおうとソギュンと言い合うところとか、なんか頼りなさそうなソギュンが、実はしっかりジヌォンを支えているところとか、泣けるポイントが満載。
個人的には、ジヌォンの育ての親のおばさんが、ジヌォンのことを「実の娘だと思ったことなんてない。あの子は私そのものだ」と言うシーンが好きです。ジヌォンのために結婚もせず、子供も産まなかったおばさんの愛情、子供の病気のことを知っていて、涙ながらに帰っていく二人を見送るところ、いいです。
韓国では、まだまだ子供の作らないカップルというのは認知度が低いらしく、また昔の日本のように「家」を守るために養子を迎えるより、自分の血のつながった子供、という意識が強いそうです。養子を迎えようと言うソギュンに、ジヌォンがあくまでも自分の子供がほしいと突っぱねるのはそういう事情があるからで、結婚6年目で子供がいないことを引け目に思ってしまうのも、お国柄の違いかな、と思いました。
たまにはこんな風に「泣けー」という映画を見るのもいいです。
(了)