いわゆる「在日」を扱った、青春グラフィティ。その割に役者が日本人ばっかやんと思ったたきがはの方が、そういう概念に縛られているってことかもしれない。まぁ、そんなことを考えさせてくれる映画。
「在日」の杉原は、元ボクサーの父親の仕込みもあって、喧嘩に強いがおつむはさっぱりな高校3年生。ある日、友だちの加藤の誕生会で不思議な少女、桜井と出逢ってつきあい始める。杉原にはまた、民族学校時代からの親友、正一(ジョンイル)がいて、彼の見せてくれる世界にも新鮮な魅力を感じていた。だんだん桜井が好きになっていく杉原だが、どうしても自分が「在日」であることを言い出せなくていた。
おもしろいのです。しかし、時代考証が無茶苦茶という、たきがはの許せない欠点があります。どう見ても今時の女子高生の桜井が「パパが」って言うのは変なんですよ。今時の女子高生への偏見かもしれませんが、「パパが言うからだめなの」って、普通言わないでしょう。携帯がないから、今じゃないんだけど、服装は今風。頭も今風。いっそ、舞台を現代に置き換えればいいのに、それぐらいもしていない。
おもしろい映画なのに、その1点が惜しいです。「画竜点睛を欠く」と言う。そんな映画が日本の各賞を受賞したそうですが、だいじょぶか、日本映画界。まさか、誰も気にしなかったなんてはずはないだろうし、気にならなかったと言うほどの傑作じゃねぇべ。
(了)