ギルステイン

ギルステイン

日本、2002年
監督:冨永恒雄
出演:カオス(松本保典)、サビ(榎本温子)、ヌー(勝生真沙子)、オオハシ(玄田哲章)、ムデム(飯塚昭三)、ほか
キャラクターデザイン:韮沢靖
見たところ:渋谷シネマソサエティ

 3DCGのクリーチャーと、2次元のアニメキャラの融合したアニメーション。ギルステインとは、英語の「guilty(罪のある)」と「フランケンシュタイン」との造語。

 近未来。世界は株式会社ヤシロの支配下にあり、その支配を快く思わない者が地下の穴蔵にこもり、ゲリラ活動を続けていた。ヤシロのトップエリートでありながら、その倫理に疑問を抱いたためにギルステインの実験体1号となってしまったカオスは、ヤシロから逃亡し、ゲリラの元に身を寄せていた。そこに現れたのは生化学博士スアドを父に持つ少女サビ。彼女は母と妹をギルステインに殺されており、同じ容姿のカオスにも敵愾心を向けるが、人の心を失って獰猛な獣に成り下がってしまう他のギルステインと違い、人の心をいまだに残すカオスのことを知り、逆に好意さえ寄せるようになる。スアド博士はヤシロの実力者ムデムにさらわれており、彼こそはカオスの敵で、ギルステインを生み出した張本人だった。ヤシロに乗り込んで父を助けようとするサビと、彼女を助けようとするカオス。ゲリラたちも併せて蜂起することになり、最後の戦いが始まった。

最初のうちはCGとアニメがなんか違和感あるんですが、だんだん気にならなくなります。グロテスクなギルステインは各々固有の容姿を持っており、そのディテールも見所のひとつ。なんですが。

ぬるい。
展開ぬるすぎ。

人の心を持ったモンスターという設定の古さもさることながら(「妖怪人間ベム」とか。古すぎ?)話の展開が要所でぬるい。銃弾も効かないギルステインが、カオスにまとめて4体も倒されるなんておかしい。ギルステインから逃げ回っていたというサビは別に格闘技の達人というわけでもないのに無傷なのも甘い。ギルステインが人間に戻るというあたりもぬるいし、ゲリラも強すぎ。味方キャラクターが強すぎるので、戦闘での緊張感がない。せっかく「罪」と「怪物」という名前を与えていながら、その設定も生かしていない。

それにアニメーションなんだから、もっと大胆な話の飛躍がほしかった。実物ではとうていできないような暴れっぷりができるのがアニメのいいところ。妙なヒューマニズムなんかちらつかせないで、とことんやってほしいす。こういう話は敵が強いからおもしろいのだ。弱っちい敵を倒す主人公なんてただのいじめっこじゃん。修行しなおしてこい。特にシナリオ。

(了)

[ もっと映画日誌を読む | 映画日誌のトップに戻る | 五十音順一覧 | 映画のトップに戻る ]
[ トップページ | 小 説 | 小説以外 | 掲示板入り口 | メールフォーム ]