妻をレイプされ、殺害された衝撃で10分したら記憶を失ってしまう障害に悩まされるレナードは、妻を殺した犯人を追って、メモをとり、体中に入れ墨を残している。レナードがテディと名乗る男を殺した瞬間から、10分ずつ物語を巻き戻してゆく、一風変わったタイプの映画。ちょっと気を抜くと、話の筋がわからなくなってしまいそうな展開なので、見る時は集中してんのがおすすめです。
10分経ったら記憶を失ってしまうということは、単なる記憶喪失とは違います。会った人を忘れ、自分が何をしていたかを忘れ、なぜここにいるのか、手に持っている物がなぜ持っているのかを忘れてしまう。記憶が連続することがないので過程を忘れてしまう。
ところがこの映画がおもしろいのは、話が謎解きに終わってないところです。10分ごとに記憶を失うレナードはそれをつなぎ止めるためにポラロイド写真にメモを書いたり、入れ墨をしたりします。それを信じて行動するしかない。メモは次第に増えてゆくけれど、それが意図的に書かれたものだとしたら?
二重三重の危険性をはらんだ映画なのです。
(了)