宋家の三姉妹

宋家の三姉妹

日本・香港、1996年
監督:メイベル=チャン
出演:靄齢(ミシェール=ヨー)、慶齢(マギー=チャン)、美齢(ヴィヴィアン=ウー)、孫文(ウィンストン=チャオ)、蒋介石(ウー=シングォ)、チャーリー宋(チアン=ウェン)、孔(ニウ=チェンホワ)、他
音楽:喜太郎
見たところ:シネマ・ベティ

 清朝末期から日中戦争まで、激動の時代を第一線で生き抜いた三人姉妹の大河映画。中国映画祭でいちばんの期待作だったんですが(「山の郵便配達」はもう見てるので)、外しました。ネタが大きすぎて消化不良な感じです。監督の力不足って感じでした。

 中国に伝説となった三姉妹がいた。一人は富を愛し、一人は権力を愛し、一人は国を愛した。清朝末期に宋家に生まれた靄齢(あいれい)、慶齢(けいれい)、美齢(びれい。全て日本語読み)の三人姉妹は、先進的な父親の方針で10歳前後でアメリカに留学する。父親のチャーリー宋は聖書の印刷で財をなした富豪で孫文とも親友同士だった。やがて妹より早く中国に帰ってきた靄齢は孔子の子孫で山西省の大富豪、孔と結ばれる。1911年、辛亥革命を成し遂げて臨時大総統の地位に就いた孫文だが、袁世凱に権力を奪われて日本に亡命する。靄齢に代わって孫文の秘書になった慶齢は、父親の猛反対を押し切って孫文と結婚する。孫文の士官学校の校長となった蒋介石は、後に美齢と結ばれるが、孫文亡き後、権力者となって共産党を目の敵にし、未亡人となった慶齢とはことごとく対立する。1937年に日中戦争が始まった。戦地慰問に活躍する三姉妹だったが、日本が降伏し、国民党と共産党の内戦に突入後は二度と会えない定めであった。

なんかあらすじも尻切れトンボですね。しかし、中国4000年の歴史のなかでももっとも激しく変動したこの時代を、たとえ三姉妹に絞っているとはいえ、わずか2時間半で描ききるのは無理があるかもしれないです。話は次女の慶齢を中心に進むんですが、美齢も結婚すると比重がこちらにも移ってきて、なんか話が半端だし、だいたいなんじゃ、あのラストは。回想シーンと字幕だけで、日本降伏、内戦突入、中華人民共和国成立、蒋介石と美齢の台湾逃亡までつなげるとは観客なめとるんか。とか思ったりして。

個人的には慰問のところで「あなたたちのことは将来映画になると思いますが、女優はだれがいいと思いますか」って台詞は手前味噌な感じでいやでした。美齢の「馬鹿ね、私たち以上の女優はいないわ」って台詞も、金持ちのお嬢さんがなんだかなーだったし。結局のところ、この3人って同時代の中国の女性に比べてすごーーーーーく恵まれてるんですよね。お嬢様とかおぼっちゃまとか、特別な人びとの映画はもういいかなーって思ったりしちゃいました。

(了)

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