90年代初頭の中国。一度は解散された女子サッカーチームが、カオ監督の帰国とともに復帰する。再就職などで悩んでいたメンバーが勢揃いしたが、黄金の右足と呼ばれたフォワードのティエンだけが、出産直後という身体の事情と夫の反対によりチームに戻らない。子育てと引き替えにサッカーをやめたティエンだったが、サッカーへの情熱は捨てきれず、「おまえはサッカーをやめられない」という祖母の言葉とカオ監督のたっての頼みもあり、チームに復帰する。チュー工場長という監督の理解者のバックアップもあって、順調に再出発を始めたかに見えたチームだったが、女子サッカーへの社会の認知度や理解度は低かった。夫との確執と子育ての板挟みに悩むティエンは再度チームを離脱するが、祖母の強い説得により、またチームに戻る。カオ監督の縁あって日本に凱旋したチームは勝利を飾るが、帰国した彼女たちを待ち受けていたのは、支持者チュー工場長の更迭とチームの解散という事実だった。1999年、中国女子サッカーチームはワールドカップで優勝した。そこにカオ監督やティエン、シャオらの姿はない。けれどその優勝の影に彼女らの情熱があったことも忘れてはならないのである。
おばあちゃんのキャラクターがすごくいいです。優しいんだけど肝っ玉太くて、愛情にあふれてて、女手一つでティエンと妹を育てたのにそんな苦労は感じさせない、凛とした格好良さがあります。対するティエンの旦那最低。ティエンが昔、カオ監督が好きだったこといつまでもうじうじ引きずってるし、田舎馬鹿にするし、事業がうまくいかないからってティエンに八つ当たりするし、子育ての責任、ティエンに押しつけてるし、いい加減におばあちゃんの爪の垢でも煎じて飲めいとか思っちゃいました。
カオ監督も信念の人だけどちょっと頼りないんすよね。男性が見ると、扱い物足りないかも。圧倒的に女性のが輝いているもので。それだけにラストシーンには切ないものがあります。
ワールドカップって男の方が圧倒的に盛り上がってるけど、その権利を当たり前のものだと思ってんなよ、とか思ってしまいましたね。
(了)