チョムスキー 09・11 Power and Terror

チョムスキー 09・11 Power and Terror

日本、2002年
監督:ジャン=ユンカーマン
音楽:忌野清四郎
製作:SIGRO
見たところ:渋谷ユーロスペース

 ノーム=チョムスキーさんはアメリカのマサチューセッツ工科大の教授で、著名な言語学者。その一方で、ベトナム戦争以来、一貫してアメリカの外交政策を批判してきた反骨の知識人でもあります。昨年の9月11日の同時多発テロ以来、アメリカで講演していて、ユーモアも交えつつ、断固とした態度で政府のやり方を批判するところはかっちょいいの一言に尽きます。わかりやすい言葉で語られて頷かされつつ、その広範な知識に驚かされるとともに、「世界の警察」を自称したがっているアメリカがいかに世界で自分勝手なことをしてきたかを知らされるわけです。

9月11日のテロが起きた時に、たきがはが思ったのは、「確かに何千人もが殺されたけれど、もっとたくさんの血がパレスチナでは流れているよな。アメリカ人は自国のことになると大騒ぎするけれど、もっとたくさんベトナムで殺してるよな」ということでした。まだビン=ラディンの犯行声明とか出る前にね。たきがはは、あれだけ虐げられて、痛めつけられているパレスチナが、イスラエルの裏にいる、イスラエルに武器とか金をやってやらせ放題に黙認しているアメリカに、遂に最悪の形で報いたのだな、と思ったのでした。確かにあれはそういうパレスチナとは無関係の人びとがたくさん殺されたテロではあったけれども、じゃあ、アメリカはそんなことをされて、報復と言えるほど、他の国でなにもしていないのか、と言ったらそれは大嘘だと思ったわけで。でも、まるで当たり前のようにアフガニスタンへの報復攻撃が始まって、あの国はめちゃくちゃになって、今度はイラクにまで攻撃しようとしている。なにかが違う。なにかが間違っている。アメリカがしなければならないことは、他国への報復ではなく、自国の政策を見直すことであって、日本とかロシアとか、ヨーロッパがそれを言わなければいけないわけであって。でもアメリカは逆の方向に進んでいるし、日本も追従している。ヨーロッパもそれに近い。だとすれば、これからも9月11日のようなテロは何度でもどこでも繰り返されるわけで(すでにバリ島とケニアでもあったし)、それにまた報復をして、その繰り返しで、第三次世界大戦なんて呑気なことは言わない。人類はそうやって滅んでいくのではないだろうか、と思った回答が小説書きに100の質問の44で答えたことになってるわけなんですけど。

チョムスキー教授も言ってるとおり、権力者に話してもしょうがないから、みんなでもっと「違うよ!」って声をあげないといけないのだろうな、と思いました。

とは言うものの、さて、なにをしたものだろうとも思います。でも、チョムスキー教授も言ったように、「あなたのことはあなたにしかわからない」わけでありまして、その回答を見つけるべく、小説書いたりサイト開設したりして、もがいているわけですけど。

(了)

どうでもいいけど、金曜日の新宿・最終電車は無謀な選択でした。乗り過ごさなくてよかったーって感じです。

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