交通法規厳守の、ストレス性(と思われる)頭痛の持ち主、朝倉はとある薬品会社の営業マン。ある日、いつも1時きっかりに交差点に現れる憧れのマドンナに見とれていた朝倉の車を、1台の黒い車が信号無視して追い抜いていき、その直後、3人の覆面強盗が乗り込んできた。「あの車を追えっ!」ドスを出してすごんでみせる3人だったが、交通規則を無視できない朝倉は制限時速きっかりに走り、右折禁止では右折できない。銀行強盗犯だった3人と朝倉の、「縁」で結ばれた奇妙な一夜が始まった。
「殺し屋1」で金子を演じてたSABUさんは俳優出身の監督。その最新作で、おもしろそーだなーと思って行きました。
たきがはも運転免許持ってるからわかるんですが、制限時速って守らないよねー。いや、免許を取得する際に教官に教わったのが、「+10km/hオーバーまでなら速度違反の切符は切られない」ってことでして、以来たきがはは時々制限時速+10km/hで走る、はた迷惑なドライバーであります(時々ってのがミソ)。
ですから、主人公の朝倉が制限時速きっかりに走る、でもそこに乗ってきたのは一刻を争っているような銀行強盗っていうんだから、これは設定勝ちです。
40km/hきっかりに走るメーターを映し、次に制限時速40km/hの看板を映すというスラップスティックさもおもしろいのですが、銀行強盗4人組の個々のキャラクターも書き込んであって、笑わせたり、しみじみさせたり、ほろりとさせたりと多様で、基本的にはみんな「縁」で結ばれてハッピーエンドってところもいいです。
げらげら笑いながら、みんなで見る。見終わった後に、寺島進さんの坊主(でも強盗。でもパンク)の台詞に、監督のメッセージがこめられていたのだなーと「縁」というものを実感しましょ。
(了)