ノー・マンズ・ランド

ノー・マンズ・ランド

フランス・イタリア・ベルギー・イギリス・スロヴェニア、2001年
監督・脚本・音楽:ダニス=タノヴィッチ
出演:チキ(ブランコ=ジュリッチ)、ニノ(レネ=ビトラヤツ)、ツェラ(フィリプ=ショバゴヴィッチ)、ジェーン=リビングストン(カトリン=カートリッジ)、マルシャン軍曹(ジョルジュ=シアティディス)、他
見たところ:渋谷シネアミューズ

 その日、東京は暑かった。「エンジェル・スノー」と「ノー・マンズ・ランド」を見るつもりで新宿・渋谷に赴いたたきがはは、かつてないピンチに直面した。「エンジェル・スノー」立ち見。え? そんなに人気あるんすか? 2時間立ったままで映画を見る根性はたきがはにはなかった。予定を変更して「ノー・マンズ・ランド」を見に渋谷に行くことにした。上映時間の問題で「エンジェル・スノー」を見た後に「ノー・マンズ・ランド」見た方がよかったのになぁ。じきにたきがはは、この選択を後悔する羽目になる。

で、渋谷。「ノー・マンズ・ランド」公開のシネアミューズは東急文化村の向かい(この近所に、凝ったインド風カレーを食べさせてくれる店がありました。ナンとか出て、雰囲気もばっちり。消息をご存じの方、いらっしゃいませんか?)駅からちょっと歩く。今日は暑いぜ。やっとたどり着いたシネアミューズ。え? 「ノー・マンズ・ランド」も立ち見なんすか? これだったら予定通り、「エンジェル・スノー」見てから来れば良かったかも。とほほー。しかし、もう1度新宿に戻るのは愚の骨頂。たきがはは立ち見でも構うまいと入った。椅子のない通路に座り見でした。でも、2時間座ってるのはかなり辛いっす。

ボスニアの戦争のエピソードを描いた映画。特ダネ追っかけるマスコミ、事なかれ主義の国連、共通の知り合いがいても、憎み合ってしまうセルビア人とボスニア人。戦争には善も悪もなくて、単に格好悪くて、馬鹿みたいなだけなんだ、そういう映画。決してそんな台詞は吐かれないが、見ていると思う。戦争に「正義の」なんてない。「聖戦」てのもない。戦争は人と人とが殺し合うだけの、格好悪いことなんだと思います。

ノー・マンズ・ランドとは、セルビア軍とボスニア軍の中間地帯のことで、なんかタイトルもうちょっと考えても良かったのでは、という気がします。あと、この映画の予告も再三見たのですが、派手に作りすぎたのではと思います。「ノー・マンズ・ランド」は、決して派手な映画ではないのです。チキとニノという二人の兵士の愛すべきところ、正義感ぶってるけれど、結局は自分勝手で、特ダネほしいだけのマスコミ、存在そのものが無駄のような国連軍上層部、そういうものが地味に、丁寧に描かれた映画なので、予告編の派手さはなんか、濃縮果汁みたいな味わいでした。

「Loveの反対は無関心」マザー・テレサの言葉が、実感させられた映画でした。

(了)

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