この映画の予告を10回以上見た。それだけ映画の傾向と対策が単館系に偏っているというわけでありますが、この春いちばんの期待作。特に「チング」がすっ転んでから、否が応にも高まる期待。
回りくどくてすんません。勘のいい方はお気づきかもしれませんが、要するに大きすぎた期待が空振りしたのです。ううう。いや、最初と最後は良かったんだ。でも途中でだれた。思いっきり中だるみした。最初と最後が良かっただけにもう少し枝葉を切り落としてほしかった。「長いな」と思わせたら映画は負け。気がついたら3時間経っちゃった、というのが理想です。最近は観客が飽きないように2時間を切る映画が特にハリウッドは多いらしいんですが、本末転倒って言うんじゃないのかな。
第2次大戦末期の中国の寒村。麻袋に入れられた皇軍兵士花屋と中国人通訳がやってきたことから始まる。5日後に引き取ると言って二人の捕虜を置いていった「私」。面倒を見るのは馬大三とその愛人。5日のはずがいっこうに「私」は表れず、半年以上が経った。最初のうちは頑なな態度の花屋も馬の献身的な世話を受けて恩義を感じるようになり、ついに身の釈放と引き替えに穀物を与えると持ちかけて、それが悲劇の幕開けになろうとは花屋も村人も思いもしなかった。
前半、言葉が通じないが故のコメディから、いつまでも花屋たちを引き取りに来ない「私」に村人が困ってしまうあたりの描写がたるい。思いあまった村人が刺客を雇おうとするところなんて、ラストの伏線ではあるのだがエピソードは完全な蛇足という感じで、花屋が日本軍に戻ってからもやたらに長かったような。
なかなか傑作にはお目にかかれないものです。
(了)