プレッジ

プレッジ

アメリカ、2001年
監督:ショーン=ペン
出演:ジェリー=ブラック(ジャック=ニコルソン)、ロリ(ロビン=ライト=ペン)、スタン(アーロン=エッカート)、トビー(ベニチオ=デル・トロ)、他
見たところ:恵比寿ガーデンシネマ

 これは珍しく、このまんまの題でもいいかと思った映画です。プレッジというのは約束のほかにもっといろいろな意味があるので、なんか訳しきれないタイトルじゃないかなと思います。そこをうまいところ訳すのが翻訳者の腕前なんだと思いますが、最近そういうのって要求してもだめなんすかね。ださいと思わないんですかね。

名優ジャック=ニコルソンを主役に迎えて、俳優としても知名度の高いショーン=ペンが撮った映画。脇役陣も芸達者な役者ばかりで(脇役にミッキー=ロークとかいる)、すごーく贅沢なつくり。なんだそうですが、あのー、たきがは、ジェリーの言い分かなり正しいと思うんですけど。スタンのが、ずっとへぼで加えて自信過剰でお馬鹿な刑事だと思うんすけど、間違ってるんでしょうか。

 定年を6時間後に控えて、ジェリー=ブラック刑事は、少女暴行殺人事件の現場に赴き、彼女の死を両親に伝える役目を引き受けたばかりに、その母親に必ず犯人を見つけだすと誓いを立ててしまう。事件発覚直後に見つけられた、知的障害のあるインディアン・トビーを犯人だと断定した警察だったが、尋問後、トビーは罪の意識にかられたかのように衝動的に自殺をしてしまい、事件は永久に解決したはずだった。引退後は趣味の釣りをして過ごすつもりだったジェリーだが、トビー犯人説に納得できず、またその誓いに自ら縛られるかのように捜索を続ける。その結果、周辺の村で同様の少女暴行殺人事件と行方不明事件が起きていることが判明、捜査をやり直すよう、かつての同僚に申し出るジェリーだが、警察はけんもほろろに断る。ジェリーの執念は、少女ジニーが目撃した「ヤマアラシの巨人」と「黒いワゴン車」に的を絞り、精神科医の助言で犯人が近いうちに事件を起こすだろうと推定、3つの事件を結ぶルートにガソリンスタンド兼雑貨屋を構えるフランクの店を買い取り、引退後の刑事が趣味の釣りも兼ねながらという名目で網を張り続ける。行きつけのバーのウェイトレス、ロリが暴力的な夫から逃れて娘のクリシーとともにジェリーの店に同居するようになり、ジェリーもそのまま引退するかに見えたが、犠牲者の少女と似たクリシーの周囲に、犯人の影がちらつき出す。果たして犯人は見つかるのか?

と、かなり長いことあらすじを書きましたが、まぁ、これはサスペンス映画なわけです。ところが、監督としては、なんかジェリーの、誓い(プレッジ)に縛られて徐々に狂気に陥っていくところを書きたかったらしいんですよ。最初と最後なんてもろにそうなんですけど。映像も音楽もそんな雰囲気をかき立てようとしてるみたいなんですけど。

しかしだがしかし。そうは見えんぞ。どう考えてもトビーが犯人だと決めつけたスタンはへぼだ。火サスだって、もうちっとましな刑事出すぞ。金田一ものの轟さんじゃないんだから、その一方的な決めつけはいかんぞ。刑事失格だぞ。ジェリーの推理から、真犯人は別にいると考えるのがまっとうな刑事ってもんだろうが。怪しいんだから捜査しろよ。「魔法使いはいない」なんてそんなことはわかってるよ。当たり前じゃん。でも、そっから推理するのがあんたらの仕事だろうが。

と考えてたたきがはには、ラストがすごーく唐突。いや、確かにジェリーのやり方は強引だった。でもさ、警察のあの態度、ないんじゃないか。トビーを自殺に追い込んでおいて、反省のかけらもないぞ。そのせいでジェリーがいかれたって見方もできるんだぞ。そう考えると、これはなんか元刑事の悲劇って映画になります。周りに理解されない悲劇。

ぬるいぞ、ショーン=ペン。シナリオ勉強しなおせ。推理物もっとちゃんと勉強しろ。ラストの落ちなんて強引すぎ。すごくご都合主義。何が言いたかったんだか全然わからん。誓いに縛られて陥る狂気なら、もっと説得力ないと納得せんぞ。ジャック=ニコルソンの演技も、狂気に陥っていくというにはなんかほど遠い。そんな恐ろしさは全然感じなかった。それぐらいまともな推理に見えた。現にそういうドラマってあるじゃないすか。引退刑事の執念で解決するような話。「飢餓海峡」(古すぎ? 伴淳三郎さん好きなんす)とかそうじゃないか。2時間ドラマでだってあるじゃないか。犯人いたと決めつけるのは早すぎるのかもしれないけど、いないってのもおかしいよ。

うう、今年は映画不作だ。なんか「シナリオが悪い」って映画が多すぎる。勘弁してくれよ。「ワンス・アンド・フォーエバー」も、どうして感動しちゃうんだよ。いい加減にしてくれよ。

(了)

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