禁酒法時代のアメリカ、1931年。ギャングのボス、ルーニーに息子同然にかわいがられ、その片腕として殺し屋となったマイケル=サリヴァン。彼には妻と二人の息子がいた。ある日、ルーニーの配下、フィン=マクガバンをルーニーの息子コナーと説得に赴いたサリヴァンだったが、コナーはフィンを射殺、その様子を長男のマイケル・ジュニアに目撃されてしまう。ルーニーに叱咤され、サリヴァンに嫉妬していたコナーは、サリヴァンを殺すことをたくらみ、自らはサリヴァンの妻と次男を殺すが、サリヴァンとマイケルには逃げられてしまった。サリヴァンはコナーに復讐しようとするが、ルーニーはサリヴァンよりもコナーを選んだ。新聞記者に身をやつした殺し屋マグワイアに追われるサリヴァン父子。サリヴァンはシカゴの大物ギャング、アル=カポネの金をねらって派手派手しく銀行強盗を繰り返し、それを手伝うマイケルとの間に新しい絆も生まれるが、とある町でマグワイアの待ち伏せに遭い、互いに傷を負う。マイケルが助けを求めたのは、子どものいない純朴な老夫婦だった。コナーのルーニーへの裏切りを知って、ルーニーを説得しようとするサリヴァンだったが、ルーニーはまたしてもコナーを選び、2人の道は完全に分かたれた。ルーニー父子に完璧なまでの復讐を遂げるサリヴァン。目的を果たし、終の住処と選んだパーディションの町にやってきたサリヴァンだったが、マグワイアの凶弾に倒れた...。
「全ての父と子に、忘れられない物語がある」
忘れてもいいっす。こういう話はもう手垢がついていると思います。できの悪い息子と息子同然にかわいがっていた男が対立した時に息子を選ぶ親ばか。目新しさはないです。「ハリウッド映画はもうげっぷが出る」と言いながら、見に行くたきがはもたきがはですが。
サリヴァンの悲劇は、結局は、組織に寄るしかないってところだと思うんす。自分が駒だとわかっていても、組織から離れられない。でも息子には同じ道を歩んでほしくない。そしてサリヴァンが父と慕うルーニーの上には、さらに大物のアル=カポネがいるので、ルーニーもまた駒にすぎない。どんなに美辞麗句を並べ立ててみても、駒は駒で、上に連中は駒のことなど気にしやしない。なんてことを、冒頭からずっと考えておりました。
(了)