怒濤の二日間で映画8本の始まり〜。
にしてはすごいハードなオープニングでしたわ。ホロコースト物としては古典的な映画に入ると思ったので、タイトルだけ知ってる人も多いかも。お目当ては次の「ナチ収容所の素敵な生活」だったんですが、これも同時上映。30分の短さとは思えない、濃厚な映像です。
同名のノンフィクションは読んだことがありました。事実だけを積み上げた冷徹までな心理分析のルポとも言うべきノンフィクションでしたが、同タイトルの映画は死体を積み上げて、視覚的にナチの非道さを訴える古典的な作風です。心臓の弱い方にはまじでお勧めできません。
つい数年前に行ったポーランド・オフィシエンチムは今でこそ牧歌的な光景が広がっていますが、かつてナチス・ドイツの絶滅収容所があったのも厳然たる事実。そこに強制的に連れてこられ、押し込められ、閉じ込められ、殺されていった何百万という人々の姿をこの映画では見ることができます。
画面いっぱいの髪の毛。それから作られた毛布。
眼鏡の山。靴の山。
人の肌から作られたランプの傘。人間から作ろうとした石鹸(「人間石鹸、良い石鹸♪」って知ってる?)。
収容所。トイレ。ガス室。焼き釜。
これでもかこれでもかと見せつける無言の証人たち。収容所を解放した連合軍でさえ積み上げられた死体をブルドーザーで片づける。
この映画の問いかけは1つです。かつてこんな時代があり、狂気にかられた人たちがいた。けれどもそれは、明日の私たちの姿かもしれない。その時、私はどうすることができるだろう?
(了)