韓国のトップスター、ハン=ソッキュ氏を、スターダムに駆け上らせた記念的な一作。6年も前の映画ですが、やっとこ日本公開となりまして、初日に駆け込みました。この作品が大ヒットして、以後、ハン=ソッキュ氏は韓国では「興行不敗神話」を持つトップスターとなったのです。全部見せてくれ。見たいぞ、「ドクター・ポン」。「ナンバー・スリー」も見たことないぞ。
32歳の誕生日を迎えたばかりで、女医のスニョンともいい感じの美術大学講師スヒョンは、ある日、銀杏でできたベッドを拾ったことから、謎の男に追われ、ミダンと名乗る古代の服装を着た女性にも助けられる。導かれるように田舎へ向かったスヒョンは、初めて会う木彫りの老人から、自分が一千年前の宮廷楽士ジョンムンの生まれ変わりで、ミダンはその時の恋人、ファン将軍が恋敵であることを知らされた。かなわぬ恋に心焦がし、ジョンムンを殺したファン将軍は、ミダンとともに憎悪と愛の象徴として永遠の命を与えられた。ジョンムンとミダンが銀杏の木に生まれ変わった時も、その化身は鷲に姿を変えてジョンムンの生まれ変わった木を折るほどの嫉妬ぶりだった。命をねらわれるスヒョン。ミダンのために、女医の地位が危うくなったスニョン。果たして銀杏のベッドにまつわる悲しい物語は、終わりを迎えるのだろうか。
「シュリ」で一躍その名を知られるようになったカン=ジェギュ監督、実はけっこうロマンス好きかも。引き裂かれる男女、というシチュエーションが「シュリ」でありましたが、これもそういう映画です。
なんというか設定がすごいダイナミック。始まったらジェットコースターみたいにかっとんで、理屈も屁理屈もなしに「おまえは一千年前の宮廷楽士ジョンムンの生まれ変わりだ」とか言われても困りますがな。ファン将軍の妄執ぶりもすごい。どうしてこういう話の男って、「この女一筋っ」みたいに猪突猛進するんですかね。で、そのファン将軍とミダンに「永遠の命が与えられた」って無責任な神様もいたもんだ。一方的に二人ともかわいそうじゃん。
でもけっこうおもしろかったす。個人的にはスニョンが勝ち気でけなげで、ついでに美人で良かったす(「グリーンフィッシュ」のミエさんですね、この方)。ファン将軍は、ちょっと線が細かったかも。で、ミダン役のジン=ヒギョンさんが「シュリ」にカメオ出演してたらしいんですけど、い、い、い、いったい、どこに出てたんだーっ! 今度見る時はぜったいに見つけてやるぞぉ(まだ、見るのか)。
ハン=ソッキュ氏って、「シュリ」を最初に見た時、目立たない人、主役にしては派手じゃない人だなぁと思ったんですが、その何気ない存在感がくせになります。こういうタイプの役者さんて珍しいと思うんですよ。日本とかハリウッドじゃ。主役をはる人って、どっか目立って、派手じゃないですか(かつての三船敏郎とか、最近だとディ=カプリオとかって、すごい比較だね)。でもそういうタイプじゃないの。そこにいることが当たり前の存在感、これって実は真似しようとしても真似できないすごいことじゃないかと思います。いても浮かない、当たり前のように、ごく自然にそこにいる。やっぱりハン=ソッキュ氏はすごい役者なのであって、そういう役者がトップスターとして認められている韓国映画界はただもんではない、そう思わせる映画でした。
前売り買ったら、生写真くれました。笑ってるところのが良かったけど、うれしいので大事にしよう。
ついでに、「銀杏のベッド」の続編、「燃ゆる月」も6月15日から公開です。前売り買ったら、フィルムのしおりをくれました。うひー、ソル=ギョングが写ってるー。彼もハンサムじゃないけど、かっこいいです。「公共の敵」を早く公開してもらえませんかね。「聖徳太子」(NHK。もっくん主演)で彼にミーハーして見たのはわしだけではあるまい。レビューではくそみそに言われている映画ですが、二年越しの「見たい」なんで、期待たっぷりで見に行きますとも(決してやけくそで言ってるのではありません)。
(了)