たきがはの映画を見に行く基準の1つにホロコーストものというカテゴリーがある。「聖なる嘘つき」「ショアー」「コルチャック先生」「遙かなる帰郷」そして「シンドラーのリスト」というあたりがそう。もっと広い範囲で、第2次世界大戦もの(十五年戦争も含む)でも可です。今回もそれで行きました。「天才子役 ハーレイ=ジョエル=オスメント主演」というのに引っかからなくもなかったんですけど、やっぱり自分の引っかかりというのは大事ですわ。
結論から先に書くと、これっぽっちも泣けなかった。これでもか、泣けとばかりに流れるBGMにはうんざりした。なんというかマイナス要素ばかり目立ってしまって、とりあえず、ハーレイ=ジョエル=オスメントで見に行くことは二度とないだろうな、と思います。
この映画の舞台はポーランド。いいところよ。もっと行ってみたいところだよ。でも、ハーレイくんはユダヤ人には見えないし、子役3人もポーランド人には見えんのよ。これがマイナス。顔立ちがきれいすぎるの。ポーランドの田舎の子どもには見えない、嘘っぽくなるんだよ(決してポーランドの子どもが汚いとか、そういうわけではない。都会的すぎるの。泥くささがないの)。せっかく大人はポーランド人の俳優さんが多いんだからさ、子どもがそうじゃなきゃいけないわけはないでしょう?
BGMが鬱陶しい。ここが泣き所ですよっていうのは大きなお世話なの。「余計なお世話」って思った時点でBGMって雑音になるの。「千と千尋」がそうだったね。「ここで不安がれ」うるさいっていうの。逆に「ビヤ樽ポルカ」でだって泣けるんじゃい。
でも話が良ければ、涙は自然と出てくるものなのよ。元来、たきがはは映画で泣くネタには困らない人なんだから、泣けないはずがないんだもの。でもこの映画はダメだった。泣けない。泣けるか。
トロの行動に説得力がないんだよ。ラストでどうしてああいう行動に出るのか、演出のくささだけが鼻について、納得できないの。あの時代のポーランドで、ユダヤ人になされていたことをどれだけの人が知っていて、理解していたのか、トロのような幼児がその、知っていた人の一人でないことは間違いないんだよ。そうすると、あの行動は偶然、ロメックを救っただけになる。「だから何?」ってことになってしまう。子役がうまいとか、それ以前の話。
安直な設定の映画だったな、という不快感が残りました。場内からすすり泣きも聞こえてこなかったってことが、この映画に対する評価だと思いますね。
(了)