たきがはには珍しいハードゴアサスペンス映画。全編血と謎にまみれた映画で、この謎めいたところが映画館に何度も足を運ばせた理由。もう一回見たら、新しい発見があるかもしれない、と思わせた時点でこの映画の勝ちだと思うんす。
母の治療費を払うため、汚職に手を出したエリート刑事チョ。彼は汚名を晴らすため、バラバラ殺人の事件を担当する。犠牲者は三人。彼らに共通する人物として浮上したのが三人の元恋人だったスヨン。彼女は有名な画家の一人娘。容疑者として目をつけた男も四人目の犠牲者となり、見つかった遺体は五人目の犠牲者がいることを暗示していた。はたして真犯人はだれか、そしてその目的は?
見れば見るほどわからなくなる映画。1+1が2じゃないと気が済まない方にはお薦めいたしません。そういう映画なんです。いちおう仮説は立ててみたんですが、最高の難問は動機だろうなぁ。
チャン=ハンソン氏。「反則王」で元ウルトラタイガーマスクのプロレスジムの主をやってた方。今回、人情味あふれる刑事さんの役ですごくいい感じでした。猟奇的な話のなかで良心、てところが。名バイプレイヤーです。
シム=ウナ嬢。「八月のクリスマス」とは対照的に笑わない役。陶磁器のように冷たくて堅い。
ハン=ソッキュ氏。四六時中眉間にしわ寄せてるようなキャラクター。眼鏡をかけない時はそういう役所、かける時は三枚目風、だそうです。
音楽の使い方が好きで、とくに冒頭の「G線上のアリア」の不安感をかきたてる解体シーンとか、怒濤のラストとエンド・ロールの曲とか聞いててぞくぞくしたっす。ところがこの映画のサントラって日本語版が出ていないんですよ。ハングル読めないのに韓国版を買うわし。「シュリ」とは別の意味でいいです。ハングル読めなくてもどのシーンだかわかるし、映像的だと思う。
(了)