蝶の舌

蝶の舌

スペイン、1999年
監督:ホセ・ルイス・クエルダ
出演:モンチョ(マヌエル=ロサノ)、ドン・グレゴリオ(フェルナンド=フェルナン・ゴメス)、ほか
音楽:アレハンドロ=アメナバル
見たところ:厚木シネマミロード

 厚木シネマフェスティバル、いちばんのお薦め作。これと「山の郵便配達」は絶対に見逃せねぇとたきがはは考えてた。

また行ってまいりました。で、涙をしぼられたよ。不勉強なたきがははずっと気づかなかったのですが、「アザーズ」の監督が「蝶の舌」の音楽担当。オープニングからたきがはに嫉妬させ、ラストまで涙なしには聞かれぬ、あの音楽のアレハンドロ=アメナバル氏でございました。

で、かれこれ3回目。見方も少々冷静になってまいります。と言うか、これは「Ali」を観ていた時に気づいたんですが、どうしてこんだけ「蝶の舌」がいいのかって言ったら、モンチョがグレゴリオ先生を敬愛しているその真摯な眼差しがあんまり自然だからなのでした。先生が何かを話す時にモンチョの表情が写るんですが、ぱっと変わるの。「先生が話すぞっ」って気づいた途端に彼はひたむきな眼差しで先生を見つめ、一挙手一投足も見逃すまい聞き逃すまいとする。その目なんす。

ラストシーンでモンチョが先生に「アテオ」と叫び、トラックを追いかけて石まで投げる。一瞬の躊躇、意を決して「ティロノリンコ」「蝶の舌」と叫ぶ。その表情にかぶさるエンドロール。泣けるわけです。観客はこの瞬間、モンチョであり、グレゴリオ先生でもあるのですから。

(了)

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