石と宝石の国ガラ
ガオ
……ア、イテテテ。
…ここが命のつぼみの国かな?
勇者ひかりよ、ボクが見える?
(はい)
ガオ
こっちからは勇者がよく見えるよ。ボクを見失わないでね。
…さあ行こう! 勇者よ。
(いいえ)
ガオ
こっちからは勇者がよく見えるよ。ボクを見失わないでね。
…さあ行こう! 勇者よ。
ポイの家
ポイ
…見かけんヤツのい。おまえも宝石をさがしてここに来たのかのい?
ガオ
宝石? なんのこと?
ポイ
? おまえ、ガラの町の宝石ほりではないのかのい?
ガオ
ボクは青い涙の騎士ガオ。プリンセス・サーラを救うために勇者と旅をしてるんだ。命のつぼみの国がどこにあるか知りませんか?
ポイ
命のつぼみの国? …なんじゃそれのい? …いや、そういえば、ガラの町の大寺院でそんな名の国の説教をしておると聞いたのい。
ガオ
ホント? そのガラの町ってどこにあるの?
ポイ
…南西に行くと山あいに大きな町が見えるのい。それがガラの町のい。…じゃがのい、ガラは宝石に目がくらんだヤツらが住む悪徳の町のい。行かん方がいいのい。
ガオ
……。
(ポイの家を出るガオ)
ガオ
勇者ひかり、町があるよ。あれがガラの町かな? 行ってみるかい?
(はい)
ガオ
わかった。
(いいえ)
ガオ
行かないの? …あれがガラの町だと思うんだけどなぁ。
ダラの村
ガオ
少し話を聞いてみようよ。
宝石ほり
ここがガラの町かって? ガラはこんなちっぽけな村じゃねぇよ。ここはダラの村。ガラの町はもっと西だ。
宝石ほり
山向こうにまだほり返してねぇ土地があるんだが、ポイとかいう世すて人が住みついて近寄れねぇ。今さら草をうえてどうしようってんだ?
宝石ほり
おう、おまえもガラの町で宝石が見つからなくて、この村までやってきたクチか?
(ダラの村を出るガオ)
ガオ
小さな塔が見えるよ。行ってみるかい?
(はい)
ガオ
わかった。
(いいえ)
ガオ
そうだね。でもあとでよってみようよ。
魔女グッチの塔
ガオ
ま、魔女だ…。
魔女グッチ
わたしは魔女グッチじゃ。おまえじゃな、砦を旅立ったなさけない騎士というのは。ヒョッヒョッヒョッ、イメルダから聞いたぞい。ヒョッヒョッヒョッ、勇者は見つかったか? べつに見つからなくてもいいがの。ヒョッヒョッヒョッ、サーラが死んでもわたしら魔女族はなんにもこまらん。もうすぐ大魔女ターマ様が新しい命の薬を作られるからのう。
ガオ
新しい命の薬?
魔女グッチ
……ヒョッヒョッヒョッ。なんでもないわい。さっさと立ち去るがいい。
(魔女グッチの塔を出るガオ)
ガオ
見て、勇者ひかり、大きな町があるよ。今度こそガラの町だと思うな。行ってみようよ。
ついたら、まず寺院を探さなきゃね。
(ダラの村へ行ってみるか?の問いに「いいえ」と答えた場合に現れる問いのよう)
(いいえ)
ガオ
…ヘソまがりなんだね。
ガオ
あれがガラの町かな? 行ってみるかい?
ガラの町
ガオ
うわぁ、ボク、こんなに大きな町をみたの、初めてだよ。
宝石ほり
見かけねぇヤツだな。ここはガラの町。宝石でひともうけしようってヤツらが集まる町よ。
宝石ほり
宝石をひとつぶ見つけりゃ一生あそびほうだい。コツコツはたらいてなんかいられるかい。
宝石ほり
今日こそ、宝石を見つけてやる!
金持ち
ワシは大金持ち。ぐわっはっは。あそんでもあそんでも金がなくならん。小僧、ワシのようなくらしがしたかったら宝石を見つけることだ。
宝石ほり
宝石はどこにうまってるんだ? …見つかりゃしねぇ。
宝石ほり
もうルビーがつきる。おれもあいつらみたいになっちまうのか…。
乞食
……ひもじい。
宝石ほり
命のつぼみの国? おまえ、メルヴィル教の信者だな。おれは宝石のことで頭がいっぱいだ。入信のすすめならほかのヤツをあたってくれ。
ガラの町 寺院の前
説法僧
悪魔の化身プリンセス・サーラをほうむり、そして新しい世界をつくりあげるのだ。メルヴィル教の信者になれば、新たな世界で暮らすことができるぞ。
説法僧
われらはメルヴィル教の説法僧。メルヴィル教に入信する者をつのっておる。
信者
メルヴィル様こそ賢者の中の賢者。妖術こそ世界を救う力。
信者
旅のヒト、あなたも信者になれば、メルヴィル様がつくられる新しい世界で生きてゆけますよ。
信者
メルヴィル教に入信して、いっしょにサーラの死を祈りましょう。
説法僧
メルヴィル様こそ世界を救われるお方。メルヴィル教に入信し、メルヴィル様を助けよ。
ガラの町 通り
宝石ほり
宝石がどこにうまってるか相談してるんだ。じゃましないでくれ。
宝石ほり
北の山おくをほってみようと思うんだが、おまえはどう思う?
宝石ほり
こいつに北はずいぶん前にすっかりほりつくされたと言ってやってくれ。
乞食
…なんかくれるのか?
ガラの町 裏ガラの入口
ガオ
勇者ひかり、カギがかかってるみたいだよ。
老人
この町も昔はしずかで住みやすかったんじゃが、宝石が出ると分かってから、だれも働かなくなり、町は荒れほうだい。
宝石ほり
そこの鍛冶屋のツルハシは最高なんだが、でき上がりがおそくてこまる。なんでも3人兄弟のいちばん下の弟が魔法とかいうのにこってぜんぜん仕事をしないらしい。
ガラの町 鍛冶屋
カシュア
おれは鍛冶屋のカシュア。お客さん、ツルハシかい? すまんが半年ほど待ってくれ。人手が足りんのだ。
ラシュア
おれはラシュア。そこのカシュア兄さんと毎日ツルハシを鍛えてくらしている。え? 弟のヨシュアかい? さあ、どこに行ったのやら。
老人
宝石が出る前はのう、この町は世界の真理を求める者たちが集まった賢者の町だったんじゃ。それが今では…。
ガラの町 道具屋
老人
この町が賢者の町と呼ばれていたころは、この店にも賢者たちが作ったふしぎな道具がたくさんあったんじゃが…。
ガラの町 酒場
酒場の女
まあ、かわいいぼうや。あそんでかない?
酒場の女
あら、いらっしゃい。ここがガラの酒場よ。
酒場の客
おまえ、盗賊ムッチャって知ってるか?
ガオ
勇者ひかり、たずねごとされちゃった。盗賊ムッチャを知ってるかだって。知ってるかい?
(はい)
ガオ
うん、知ってるよ。
酒場の客
ならいいさ。
(いいえ)
ガオ
ううん、知らない。
酒場の客
ムッチャはジャワルダの大寺院をあらすガラの町の大盗賊。この町を支配する僧侶どもも、ムッチャには手をやきっぱなしだ。
酒場の客
ちっ、酒がなくなった。宝石が見つかればあびるほど飲めるってのに…。
酒場の客
盗賊ムッチャがメルヴィル教のヤツらにつかまるかどうか、おれと賭けねぇか?
酒場の客
盗賊ムッチャの姿をはっきり見たヤツはいねぇが、なんでも片目に眼帯をしてるらしいぜ。
酒場の客
命のつぼみの国じゃと? シッ! 小さな声で! メルヴィル教の僧兵に聞かれたらつかまってしまうぞい。…北にある転生の森に行ってみなされ。そこに昔、命のつぼみの国の姫君を救うために知恵を出しあったという6人の賢者がとじこめられておる。じゃが賢者たちは転生の妖術をかけられ、木やほかの生き物に姿を変えられておると聞いたが…。
酒場の客
昔いた賢者たちなら、命のつぼみの国についてこたえることができたじゃろうがのう…。
マスター
ケンカはおことわりだよ。
酒場の女
ムッチャはメルヴィル教のヤツらがだいっきらいなのよ。
ガオ
……。
片目の男
なんだ。ヒトの顔をジロジロ見やがって。眼帯がそんなにめずらしいか?
ガラの町 通り
乞食
…宝石に目がくらんだばっかりに。
金持ち
貧乏人ははじを歩け!
ガラの町 大金持ちの家
大金持ち
ワシは町一番の大金持ち。どうだ、豪華な家じゃろう。うらやましいか?
召使
だんな様ったら宝石のじまんばっかり。いやんなっちゃう。
夫人
うちのヒト、とっても大きな宝石を見つけたのよ。
ガラの町 寺院の前
僧兵
ここはメルヴィル教の大僧正ジャワルダ様の大寺院。おまえも信者になりたいのか?
ガオ
どうする? 信者になるふりをして、中に入ってみようか?
(はい)
ガオ
信者にしてください。
僧兵
よかろう、通るがいい。すぐにジャワルダ様の説教が始まるぞ。
(いいえ)
僧兵
信者になりたくなったら、また来るがいい。
ガラの町 寺院の中
僧兵
大僧正ジャワルダ様の説教が始まるぞ。さっさと並べ。
ジャワルダ
賢者の中の賢者メルヴィル様を信じる者たちよ。見るがいい、このよごれきった世界を! 理想を失った者のみにくい姿を! すべては悪魔の化身プリンセス・サーラが作り出したものじゃ。サーラが生きているかぎりこの世はよごれつづける。だが案ずることはない。ほどなくプリンセス・サーラは息絶え、すべてが生まれ変わるだろう。その時こそがみにくいものやよごれたものをほうむりメルヴィル様の教えのもとにふたたび美しい世界を創りあげる時。悪の化身プリンセス・サーラが死ねば、この世界は亡びる。メルヴィル様を信じた者だけが賢者の玉の力によって生きのび新しい世界の支配者となるのだ。信者たちよ、宝石をほるのだ。その宝石のひとつぶひとつぶがサーラと戦うメルヴィル様の力となる!
信者たち
あぁあぁあぁ〜。
よごれのない美しい世界を!
メルヴィル様に宝石を!
メルヴィル様ばんざい!
さからう者には転生の呪いを!
サーラに死を!
ジャワルダ
さあ信者ども! 鉱山で宝石をほるのだ!
僧兵
ここはメルヴィル教の大僧正ジャワルダ様の大寺院。ここより先は一歩も通さぬ。メルヴィル教の信者になりたければ、つぎのジャワルダ様の説教を待つのだな。
ガラの国
ガオ
気味悪い森があるよ。あれが転生の森かな? …行かなきゃダメ?
(はい)
ガオ
行きたくないなぁ…。
(いいえ)
ガオ
行かなくていいの? 勇者ってやさしいんだね。
転生の森 入口
木
……。
ベルベル
ガオ、きっとこの木が賢者のひとりだわ。でも転生の妖術にかけられて話すことができないのね。
ガオ
いったいどうしたら…。
ベルベル
マムラン王から聞いたことがあるわ。転生させられた者たちと話すには言葉の粉が必要だって。
ねぇ、ガオ、ガラの町にもどって道具屋に行ってみましょう。もしかしたら売ってるかも…。
ガラの町 道具屋
道具屋
ありきたりの物しかないが、なんか買ってくんな。
ガオ
言葉の粉はある?
道具屋
言葉の粉? …まためずらしいものを…じいさんの代にはほれ薬だの、知恵の実だの、おかしなものがいろいろあったんだがなぁ…大きな声じゃ言えないが、おまえ、裏ガラの町って知ってるか?
ガオ
裏ガラの町?
道具屋
しっ! 声が大きい! そこの僧兵に聞かれたらつかまってしまうぞ! 裏ガラの町はこの町のどこかにあるといわれてる秘密の町。その町ではジャワルダの目をのがれて、プリンセス・サーラをしたうヒトたちが自由に暮らしてるという。
そこの道具屋でなら、ひょっとしたら見つかるかも…。
ガオ
裏ガラの町の道具屋だね。ありがとう。
道具屋
礼のかわりになにか買っていきな。
ガラの町 通り
僧兵
よいか! 盗賊ムッチャを見かけたらすぐに知らせるのだ!
宝石ほり
盗賊ムッチャがまたジャワルダの寺院に盗みに入ったらしい。
僧兵
よりによってジャワルダ様の大事なムラサキの宝石をうばうとは! ムッチャめ、今度という今度はただではおかぬ!
僧兵
ムッチャをつかまえた者にはルビーをはずむぞ!
宝石ほり
ムッチャは寺院からにげ出す時、ケガをしたらしい。そう遠くには逃げられないはずだ。……きっと、ムッチャは夜になるのを待ってるにちがいない。
ガラの町 酒場
酒場の女
ムッチャ、心配だわ…。
僧兵
盗賊ムッチャをかくまう者は命がないものと思え!
マスター
僧兵たちがうろつくおかげで、商売あがったりだ。
ガラの町 大金持ちの家
大金持ち
ムッチャはまだつかまらんのか? おちつかんわい。なにしろワシは町いちばんの金持ちだからな。
夫人
う、うちには宝石なんかひとつぶもありませんよ。
召使
だんな様ったら、宝石の心配ばっかり、いやんなっちゃう。
ガラの町 宿屋
ムッチャ
いててて…。
ベルベル
だれ!
ムッチャ
…よう、ちょいとじゃましてるぜ。
ガオ
さ、酒場のすみで飲んでた…まさか。
ムッチャ
そうさ! 盗賊ムッチャ様よ!
ベルベル
ガオ見て! 血よ!
ムッチャ
へっへっへ、この体じゃもううごけねぇ。オレを僧兵に引きわたせば、一生あそんでくらせるだけのルビーが手に入るぞ。
ガオ
そ、そんなことしないよ…。
ムッチャ
引きわたさないのか? なぜ?
ガオ
なぜって、盗賊ムッチャはメルヴィル教の寺院にしか盗みに入らないって聞いたよ…ボクには、そんなに悪いヒトとは思えないんだ。
ムッチャ
みょうなヤツだな。この町のヤツらは宝石のためなら何でもやるってのに。…おまえ、名前は?
ガオ
ガオ。
ムッチャ
ガオ、たのみがあるんだ、聞いてくれるか?
ガオ
どうする? 勇者ひかり、たのみを聞いてあげるかい?
(はい)
ガオ
うん、いいよ。
ムッチャ
だれに相談したんだ? おかしなヤツだな。…ガオ、酒場になじみの女が働いている、連れてきてくれ。
ガオ
うん、わかった。
(いいえ)
ガオ
聞いてあげたいんだけど。
ムッチャ
…おまえにめいわくはかけねぇ。たのむ。
ガオ
どうする? たのみを聞いてあげる?(以下、「いいえ」と答えるたびにムッチャの台詞を繰り返し)
ガラの町 酒場
酒場の女
え? あのヒトがケガをして、宿屋に? そんな!
ガラの町 宿屋
ムッチャ
ありがとよ。これでカオシアに帰れる。
酒場の女
…行っちゃうの?
ムッチャ
すまんが、あずけといたものを返してくれ。
酒場の女
……。
ガオ
旅立ちのカガミだ!
ムッチャ
ほう、こいつを知ってるのか?
ガオ
魔女イメルダが持ってたよ。…でも、旅立ちのカガミは魔女族しか持ってないはずなのに…。
ムッチャ
ヘヘヘ、こいつを盗んだのが、オレの盗賊稼業の始まりよ。ガオ、借りができたな。ムラサキの宝石をくれてやるわけにはいかねぇが、こいつをやろう。オレが隠れ家に使ってた場所のカギだ。町の西のはずれにカギのかかった扉があるだろう。そいつを使ってみな。
酒場の女
ムッチャ…。
ムッチャ
世話になったな。
酒場の女
きっと、また来てね。
ムッチャ
ああ。
酒場の女
わたしのこと、ふりむいてもくれないの。…きっと、ムッチャには、どこかに大切なヒトがいるのね。
裏ガラの町
裏ガラのヒト
おまえ、どこでカギを手に入れた? ここは裏ガラの町だ。メルヴィル教の目をのがれて、サーラ姫をしたう者が集まってできた秘密の町さ。
裏ガラのヒト
メルヴィル教のヤツらの言うことなんか信じちゃいけないぜ。
裏ガラの少女
サーラ姫様が死んでしまったら、みんなの命が終わるのに。
裏ガラのヒト
メルヴィル教の信者になると、寺院からもどってこれなくなるってうわさだぜ。
マスター
裏ガラの酒場へようこそ。
酒場の客
寺院のおくには秘密の鉱山があるらしい。
酒場の客
近ごろ、宝石を探して地面をほじくるのがむなしくなってきたんだ。これからは作物をそだてるために、大地をたがやしてみようと思うんだ。
図書館員
ここには、ジャワルダたちの手で燃やされた6人の賢者の本が残ってます。
ヨシュア
ボクの名前はヨシュア。鍛冶屋なんだ。でも鍛冶屋の仕事がきらいなんだ。魔法使いになりたいんだ。魔法は最高さ。
裏ガラの少女
……メルヴィルって、ほんとにおそろしい妖術使いなのね。
(本のタイトル)
『宇宙のりんご』 宇宙の賢者コンモス著
『英雄、危うきに近寄らず』 戦いの賢者カリクレス著
『愛されちゃってこまるの』 愛の賢者アモリア著
『ワシにとけないナゾはない』 知恵の賢者パピルパ著
『サーラがかなでる命の音楽』 音楽の賢者エコル著
道具屋
ここは裏ガラの道具屋。なにかおもとめですか?
ガオ
言葉の粉はある?
道具屋
ほう、めずらしいものをお探しですね。今ではそんなものをほしがるお客さんはいませんよ。……ホコリをかぶってますが…売れのこりですから、どうぞお持ちください。
ベルベル
さあ! 転生の森へ行きましょう!
転生の森 入口
木
ワシは7賢者のひとり、宇宙の賢者コンモスじゃ。
ガオ
7賢者? 賢者は6人じゃなかったの?
コンモス
聞くがよい。もともとワシら賢者は7人おっての、この森でそれぞれ世界の真理をもとめ、修業を重ねておったのじゃ。そんな時じゃ、命のつぼみの国の姫君の胸に小さなトゲがささったのは。ワシらはサーラ姫を救おうと、知恵の神殿に集まった。じゃがひとり、妖術の賢者がおそろしいことを言いおった。『サーラはすべての命のみなもと、もしサーラが死ねば、命あるものはみな、ともに亡びる。どうだろう? このよごれきった世界を一度無にかえし、新しく美しい世界に作り直そうではないか』とな。それが妖術の賢者メルヴィルじゃよ。
ガオ
メルヴィル? メルヴィルがもとは賢者のひとりだったなんて…。宇宙の真理をつかさどる賢者コンモスよ、ボクたち、サーラの胸にささった小さなトゲをぬくために勇者と旅をしてるんです。いっしょに命のつぼみの国へ行ってもらえませんか?
コンモス
…いやいや、ワシはもう、すっかりトシでのう。
転生の森
カラス
ワシこそは戦いの賢者カリクレスじゃ。
ベルベル
戦いの賢者? ガオ、たのもしそうよ。
ガオ
うん。
カリクレス
妖術の賢者メルヴィルは、神殿におさめてあった賢者の玉をうばい取り、玉の力を借りてわしらをこんな姿に変えおった。
ガオ
賢者の玉?
カリクレス
悪しき力を秘めた玉じゃ。サーラ姫が最初の命をお作りになったとき、世界にはたくさんの悪がただよっておった。姫はそれらの悪しき力をひとつの玉に封印して、命のつぼみの国からはるか遠くにほうり投げられた。やがて生まれてくるたくさんの命が悪にそまることがないようにとな。封印は永遠につづくはずじゃった。じゃが、姫が病に倒れられると、とけるはずのない封印がほどけ始め、ある日、悪しき力の玉がこの森にあらわれたのじゃ。おろかにも、ワシらはその玉を賢者の玉とよんで、知恵の神殿にまつりあげたのじゃ。
ガオ
戦いをつかさどる賢者カリクレスよ。ボクたちといっしょに命のつぼみの国へ行ってくれませんか?
カリクレス
あ、あわててはいかん。戦いは作戦が重要。まずは作戦を立てるための作戦を立てねば。
ベルベル
お話にならないわ。
キツネ
わたしは愛の賢者アモリアよ。かわいそうなサーラ姫、ご病気になられたというのに、命のつぼみの国でたったひとり。
ガオ
…ベルベル、愛ってなに?
ベルベル
そのうち分かるわ。
アモリア
賢者の玉の力は強大よ。わたしたち6人の賢者はあっという間に転生の妖術をかけられてこの森にとじこめられたの。メルヴィルはだれもサーラを救うことができないようにと命のつぼみの国へつづく扉をすべてとざしてしまったの。…あんなに美しかったわたしなのに、今ではただのキツネ、こんな手じゃ、カガミも持てやしない。
ガオ
愛の賢者アモリア、お願いがあります。どうかボクたちといっしょに戦ってください。
アモリア
戦いはヤバンよ。戦うぐらいなら、キツネのままでじゅうぶん。
こだま
わたしは音楽の賢者エコル。
エコル
メルヴィルは賢者の玉から宝石をモンスターに変える力をえました。ここ岩の町ガラは宝石の国。メルヴィルはこの国の宝石からモンスターの軍隊を作り出し、命のつぼみの国へつづくすべての国を支配したのです。ガラの宝石はつきることがありません。ここの宝石は今でも、あの強大なメルヴィル軍を支えているのです。
ベルベル
エコル、あなたが行けば、きっとサーラの心もやすまるわ。いっしょに行きましょうよ。
エコル
命のつぼみの国は遠すぎます。わたしはこの森が好きなの。
ヘビ
ワシは知恵の賢者パピルパじゃ。
ガオ
知恵の賢者だって。
ベルベル
メルヴィルと戦ういい知恵が聞けるかも。
パピルパ
サーラはメルヴィルを倒すために自らの血を手のひらに集め、赤い血の戦士軍を作られたそうじゃ。じゃがメルヴィルの妖術は強大じゃった。はげしい戦いのすえに、赤い血の戦士軍はやぶれてしまったという。サーラはふたたび自らの骨をくだいて白い骨の騎士軍を作られた。じゃがその騎士軍も、メルヴィルには歯が立たなんだそうじゃ。最後にサーラは自分の涙を手のひらに集め、青い涙の騎士たちを作られたという。胸にささったトゲを抜くという、勇者をさがしだすためにな。
ガオ
ボクは青い涙の騎士。プリンセス・サーラが最後におくった騎士たちの生き残りです。
パピルパ
…なんということじゃ。おまえのようなひよわな騎士が最後の生き残りとは…世界はどうなるのかのう。
ガオ
なら、知恵をつかさどる賢者パピルパよ、ボクたちといっしょに戦ってください。
パピルパ
よい知恵をさずけよう。サーラを救うことなど、あきらめるのじゃ。ワシのようにやすらかな気持ちになれるぞ。
ベルベル
フン! 行きましょ、ガオ。
ガオ
うん。
転生の森 知恵の神殿跡
サカナ
やっとしゃべれるわい。ワシは魔法の賢者バララート。見るがいい、この廃虚となった知恵の神殿を。他の5人の賢者がしっかりしておれば、こんなことにはならなかったものを!
ベルベル
フン! また口先だけの賢者に決まってるわよ。
バララート
なんじゃと? そのへらず口は妖精族じゃな。どうも妖精どもは生意気でいかん。まぁよい、おまえたち、勇者と旅をするものじゃな。事情はわかっておる。ワシをつれて行くがよい。
ガオ
え? いっしょに行ってくれるの?
バララート
むろんじゃ。ワシでさえ手をやくメルヴィルに、おまえたちだけで戦おうというのがどだい無理なんじゃ。まかせておけ!
ガオ
すごいや! よかったね、ベルベル。
バララート
で、なんじゃが、この姿ではさすがのワシも旅ができん。北西の山おくに住む導師がワシにかけられた呪いをとく方法を知っておるはずじゃ。聞いてきてくれ。
ベルベル
とかなんとか言って、にげ出すつもりじゃないでしょうね?
バララート
ひとこと多い妖精じゃ。さっさと行けい!
(森を出るガオ)
ガラの国
ガオ
ほこらだ。あそこに導師が住んでるのかな? 行ってみる?
(はい)
ガオ
わかった。
(いいえ)
ガオ
そうだね。でもあとでよってみようよ。
導師のほこら
ガオ
おくにだれかいるよ。導師かな?
導師
…サーラのトゲをぬきに行く者たちか?
ガオ
はい。
導師
心して聞くがよい。
はるかはるかな昔、命のつぼみの国にお生まれになったサーラ姫は、荒れはてた世界に最初の命をお作りになられた。やがて最初の命はそだち、光の国となった。光は闇の国を生み、闇はさらに混沌の国を生んだ。そうやってつぎつぎと、さまざまな世界が生まれたという。聞こえるか、愛をココロに持つ国からきた勇者よ。おまえが住むヒトの世界のほかにも、たくさんの命の世界があるのじゃ。
ガオ
ゆ、勇者が見えるの?
導師
命のつぼみの国は遠い。行く手に待ち受けるひとつひとつの世界の扉を開けて、サーラ姫のもとへ旅するがよい。
ガオ
導師? どこにいったんです?
導師
すべてのものに形があると思うな…今の姿は、おまえたちが話しやすいようにと作ってみせたまでじゃ。バララートの呪いをとく、もとのもくアミをさずけよう。宝箱を調べるがよい。気をつけてな。
転生の森 知恵の神殿跡
(バララートにもとのもくアミを使う前)
バララート
おおっ! それでワシの転生がとけるのか。はやくせんかい!
(バララートにもとのもくアミを使った後)
バララート
ハ、ハックション! ちょっとゆだんしたすきに、まったくひどい目にあったわい。
ベルベル
な、なによ、ジロジロ見て…。
バララート
…やれやれ、サーラの騎士にしてはなんともたよりなさそうじゃの。よくひとりでここまで来れたもんじゃ。
勇者よ、そこにいるのか?
(はい)
バララート
うむ。いい返事じゃ。
ま、ワシがいれば、もう安心じゃ。
では一度、ガラの町にもどってもらおうかの。賢者の町とうたわれたあの町がどうなっとるか、楽しみじゃ。
(いいえ)
バララート
いるくせにいないとは、ヒネくれたヤツらしいの。ま、ワシがいればもう安心じゃ。
転生の森
パピルパ
ま、まさか、バララート! 転生の妖術がとけたのか? ワシの呪いもといてくれ。
バララート
ワシらの仲間に加わるか?
パピルパ
いや、よい知恵をさずけよう…。
バララート
おまえの知恵など、聞く耳もたんわい。
エコル
わたしはこの森が好きなの。
バララート
さそってもムダじゃ。こいつはおなじ返事しかせんわい。
アモリア
きゃっ! バララートったら! わたしのシッポにさわらないでよ!
カリクレス
おお! バララートではないか! その姿! 本気で命のつぼみの国へ行く気か?
バララート
むろんじゃ。
カリクレス
メルヴィルの力をわすれたのか? まずは作戦が…。
バララート
どいつもこいつもこしぬけめ!
コンモス
…バララートか…とうとう転生の妖術をといたか。
バララート
サーラ姫を救おうと、一度は知恵の神殿にちかった身。せめてワシだけは賢者のちかいをわすれはせんぞ。
コンモス
あいかわらずがんこじゃのう。
(森を出るパーティ)
ガラの町 入口
ヨシュア
え? し、信じられない……伝説の魔法使い、バララートだ!
バララート
伝説ではない。かってに殺すな。
ヨシュア
でもカエルにされちゃったんじゃ?
バララート
サカナだ。
ベルベル
にたようなもんじゃない。
バララート
涙の騎士よ、この妖精をだまらせろ!
ヨシュア
ボ、ボク、ヨシュアといいます。おねがいです、弟子にしてください。どうしても魔法使いになりたいんです。
バララート
ワシャ弟子はとらん。
ヨシュア
おねがいです。なんでもします。
バララート
なに? ホントか? ワシの肩をもむか?
ヨシュア
はい!
バララート
ワシがつかれたらおぶって歩くか?
ヨシュア
はい!
バララート
めしのおかずを半分よこすか?
ヨシュア
はい!
バララート
ふむ、べんりなヤツじゃな……弟子にしよう。
ヨシュア
ありがとうございます!
兄さんたちにさよならが言いたいから、鍛冶屋によってください。
ガラの町 鍛冶屋
ヨシュア
カシュア兄さん、ひさしぶり。ボク、魔法使いになるために旅に出ることにしたんだ。あれ? ラシュア兄さんは?
カシュア
大寺院に行ったっきり、帰ってこなくなった…。
ヨシュア
ええっ! 兄さん、悪いうわさを聞いたよ。メルヴィル教の信者になった者は、死ぬまで宝石をほらされるんだって。
カシュア
いったいどうすれば…。
バララート
かんたんじゃ。その大寺院とやらに行って、弟を取り返してきてやろう。
カシュア
ほ、本当ですか?
ヨシュア
兄さん、このヒトは伝説の魔法使いバララート様だよ。ボク、このヒトの弟子になったんだ。
バララート
…伝説ではないと言っておろうが。
ヨシュア
大丈夫だよ、カシュア兄さん。きっとラシュア兄さんを助けてくるから。
裏ガラの町
〜魔法初めてシリーズ〜
『初めてのグリンゴ』 大魔法使いバララート著
『真に世界を案ずるものたちへ』妖術の賢者メルヴィル著
ガラの町 寺院前
僧兵
ここはメルヴィル教の大僧正ジャワルダ様の大寺院。信者になりたいのか。
バララート
大僧正? あのカエル頭のジャワルダが? 笑わせるわい! どけ!
僧兵
カエル頭? ジャワルダ様をよくも! このひげジジィ!
(僧兵と強制戦闘)
バララート
勇者よ、聞こえておるか? ……ワシゃなさけないわい。真理を求めるものたちが集まったこの町に、こんないかがわしい寺院ができておるとは…。
ガラの町 寺院
ジャワルダ
ワシが集めた宝石、無事メルヴィル様に届けてくれよ、シャイロック。
シャイロック
分かっております、ジャワルダ様。ご安心を。
バララート
久しぶりじゃな、カエル頭。
ジャワルダ
! お、おまえは… バララート、きさま、どうやってメルヴィル様の妖術をといた?
バララート
ワシを呼び捨てにするとは身のほどを知らんヤツじゃ。
ジャワルダ
フフ、わたしはメルヴィル様の力によって生まれ変わった。…賢者の玉を手に入れられて、メルヴィル様は今や世界の支配者。歯向かうと後悔するぞ。
バララート
おもしろい、ためしてみようかの。
(ジャワルダと強制戦闘)
バララート
なんじゃ、口ほどにもない。
ジャワルダ
お、おのれ。
シャイロック
…役立たずのボウズめが。
バララート
? なんじゃ、おまえは? ジャワルダの仲間ではないのか?
シャイロック
…わたしはシャイロック。メルヴィル様の命をうけて、命の世界をわたり歩く大商人だ。
ガオ
そ、それは旅立ちのカガミ…。
ベルベル
あんたも魔女から盗んだのね。
シャイロック
なに? …そうか、ムッチャと会ったな。わたしは盗みなどというケチなまねはしない。ゆずりうけたのだ、魔女エリス様からな。
ガオ
魔女エリス?
シャイロック
おそろしいお方だ。遅かれ早かれ死ぬことになるおまえには用のない御名前だがな。
ガオ
……。
ベルベル
ガオ! ジャワルダを追いかけなきゃ!
ガラの町 寺院地下
ヨシュア
ラシュア兄さん!
ラシュア
メルヴィル様に宝石を! サーラに死を!
ヨシュア
兄さん…。
バララート
心配いらん、ジャワルダを倒せばもとにもどる。
ジャワルダ
フフフ。ここまで追ってきたことを後悔させてやろう。見るがいい! メルヴィル様によって生まれ変わったわたしの真の力を!
(真のジャワルダと強制戦闘)
ジャワルダ
ば、ばかな…このわたしが…。
ラシュア
ヨシュア…。
ヨシュア
ラシュア兄さん。
ラシュア
おまえが助けてくれたのか?
ヨシュア
いえ。兄さん、紹介します。プリンセス・サーラを救いに、命のつぼみの国へ旅する人たちです。
ラシュア兄さん、ボク、みんなといっしょに行くことにしました。
ラシュア
ヨシュア、おまえ…。
ヨシュア
カシュア兄さんによろしく。
ラシュア
……分かった。鍛冶屋は、おれたちでなんとかやっていく。でも、いつでも帰ってきていいんだぜ。
ヨシュア
ありがとう。
バララート
勇者よ、聞いておるか? この石像の中が次の世界へとつづく扉じゃ、宝石は大地の中に咲いた石の花。命のつぼみの国をめざす旅は、ここより花の国フラワランドリアにつづいておる! はぐれるでないぞ!
ガオ
行こう!
石と宝石の国ガラから本格的にゲームがスタート。
プロローグでも言われていますが、落ちこぼれの騎士だったガオは本当は知っているべきはずのこの世界のことを何も知りません。それはプレイヤーも同じことで、1つ1つの世界についてガオが学んでいくことは同様にプレイヤーも学んでいくことになります。けれど、知識はいきなり全て明かされるのではなく、少しずつ断片的な知識が集まり、はじめは無意味だった言葉が意味を持ってつながるようになり、やがてひよわな騎士だったガオ自身の成長に併せて、世界が明らかになり、サーラ姫を助けるという明確な目的を持ったガオは、最後の涙の騎士としての役割を果たすのでした。とは言うものの、ガラの国ではまだまだそんな自覚のないガオ、自主的に行動するようなところはあまりなく、そうでなくても主張の強いベルベルや癖のあるバララートなどに押され気味、そんなガオの成長もこのゲームの魅力の1つなんですけどね。
あとは何といってもバララートに弟子入りしたいヨシュアとの会話が傑作。肩を揉めの、弁当のおかずを半分よこせの、疲れたらおぶって歩けのとバララート節が全開(その前からの「カエルにされたんじゃ」辺りから)。それでいて、締めるべきところは賢者らしく締めるし、そうでなくてもこの世界のことをちっとも知らないガオやプレイヤーにはなくてはならない案内人。残念ながら、バララートとのおつき合いはガリンキアまでですが、ヨシュアにはこの性格を引き継いでほしかったなぁ。
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