混沌の国カオシア

混沌の国カオシア

名も知らぬ町

ガオ
町中キノコだらけだ。
老人
ゴホ、ゴホ。地上にはえた毒キノコ、パプラのせいで、ワシらは地下に住むしかないんじゃ。
老人
パプラの毒ガスに気をつけなされ、すいすぎるとおそろしいパプラ病になって死んでしまうぞい。
老人
ワシらなどほおっておいて東のカオシアに行くんじゃ。カオシアは地下にのびたさかさの塔。地下深くもぐればパプラのガスもうすまり生きてゆけるぞい。
老人
どうせ先のみじかい老いぼれじゃ。どうせ死ぬなら、少しでも地上に近いこの町でと思っての。
老人
グホッグホッ。ワシに近づくでない。パプラ病がうつるぞ。…もうじき、ワシにもキターラ族がおむかえにくる。
老人
キターラ族はこのカオシアの墓ほり人。カオシアで死んだものは、パプラ病が広がらないようにキターラ族の手で墓地にうめられるのじゃ。

カオシアに至る塔

看板
『おたずね者 盗賊ムッチャ
身がらを引きわたした者に5000ルビーを取らす』大商人シャイロック

カオシアの町

老人
地上のパプラは妖術の賢者メルヴィルがあみ出したものだというぞ。命のつぼみの国へ行く勇者の旅をさまたげるためだそうじゃ。…なんと、ひどいことを。
町民
ここはカオシアの町。呪われた死と病気の町です。
タトラ
ゴホッゴホッ。…ち、ちがう。このセキはパプラ病なんかじゃない! キターラ族をよぶのだけはやめてくれ!
町民
この鳥でパプラのガスのこさを見るんだ。
町民
鳥が死んだ時がここをすてる時。どんどん地上が遠ざかっていく…。
町民
盗賊ムッチャはパプラの洞くつの向こうに住んでるってうわさだ。
町民
へへ。ノロマなシャイロックなんかにつかまるようなムッチャじゃねぇよ。
町民
パプラの洞くつは奇病の巣だ。命のおしいものはだれも近よらねぇ。
町民
ヒッヒッヒ。旅のヒトだね。20ルビーでパプラのガスにやられためずらしい生きもんを見せてやるぞ。
ガオ
のぞいてみる?
(はい)
ベルベル
ちょっとガオ、ほんとにのぞくつもり?
ガオ
だって勇者が…
ガオは20ルビーはらった。
ベルベル
やめなさいってば。
ガオ
町民
どうだい、ちょっとしたもんだろう?
ガオ
…グェッ!
ベルベル
もう。だから言ったじゃない。
(いいえ)
ベルベル
そうよ、かわいそうよ。
看板
『パプラの洞くつ、近よるな』

パプラの洞くつ

老婆
グホッ。なんでもいいんだよ、少しでも楽になる薬をお持ちじゃないかい?
老婆
グホッグホッ。みな重い奇病にかかっておるんじゃ。はやく出ておゆき。

スワンの住まい

ガオ
どうしたの? 病気なのかい?
少女
あなたは? …だれも近づかないパプラの洞くつにどうして?
ガオ
命のつぼみの国へ旅してるんです。…長い旅をつづけてきたけど、こんなにひどい世界は初めてだ。
少女
ゴホ、ゴホッ! あなた、もしかして…ガオ、さん?
ガオ
? どうしてボクの名を?
少女
ムッチャさんから聞きました。おそろしい賢者に立ち向かう若い騎士さまがいるって。
ガオ
盗賊ムッチャと知り合いなのかい?
少女
いいえ、ムッチャさんは病気のわたしを心配してくれるやさしいおじさん。盗賊ムッチャとは別人です。

孤児たちの洞窟

子ども
とうさん、死んじゃった。
子ども
かあさん、死んじゃった。
子ども
この子象、生まれてすぐこの中にすてられたんだ。でも、ボクたちの力じゃどうしようもないんだ。お兄ちゃん、出してあげて。
子ども
親がパプラで死んだから、ボクたち、みんなにいじめられるんだ。
子ども
お兄ちゃん、子象を助けてあげて。
ヨシュア
ガオさん、そっちから。
ガオたち
うーん、うーん。
子象
パオ?
ガオ
くるしかっただろう。もう大丈夫だよ。
子ども
ありがとう。この子象、大切にそだてるよ。
子ども
お兄ちゃんたち、ありがとう。
子ども
ありがとう。ボクたちにともだちがふえたよ。
子ども
お兄ちゃんたち、力持ちなんだね。
盗賊
フン。最後の騎士というからどんなに勇ましいヤツかと思えばずいぶんセンチなヤロウだな。ボスがかくれ家につれて来いってよ。ついてきな。

ムッチャのかくれ家

ムッチャ
よお、ひさしぶりだな。
ガオ
ムッチャ?
ムッチャ
そうよ! 盗賊ムッチャ様よ! ガオとか言ったな、ガラの町じゃ世話になったな。
ガオ
この宝箱、みんな盗んだ宝石かい?
ムッチャ
あたりめぇだ。おどろいたか?
ガオ
う、うん。
ムッチャ
へっ。このていどでこしぬかしてちゃいけねぇ。シャイロックの宝石しゅうせき所にはもっとでっけぇ宝箱が天井まで山づみらしいぜ。メルヴィルの命令でシャイロックが世界中から集めやがったんだ。
ガオ
…ふーん。
ムッチャ
のんびりしたヤツだな。そいつらがみんな宝石モンスターになっておまえたちにおそいかかってくるんだぜ。
ガオ
ヨシュア
…た、たいへんだ。
ベルベル
ガオ、な、なんとかしなきゃ。
盗賊
みょうなマネしてみろ、ただじゃおかねぇぞ。
盗賊
おっと宝箱にはふれっこなしだぜ。
盗賊
このナイフが目に入らねぇのか?
ムッチャ
シャイロックの宝石しゅうせき所はこの塔のずっと下だ。ま、がんばりな。

シャイロックの宝石しゅうせき所入口

ダイコック
ここはシャイロック様の宝石しゅうせき所。なんの用だ? ムッチャをつかまえたのか? …ちがうだと? シャイロック様はこのカオシアの支配者、きさまごときが気がるに会えると思うな!

孤児たちの洞窟

子ども
お兄ちゃんたち、子象を見なかった?
子ども
お父さんを探しに行ったのかな?
子ども
お母さんを探しに行ったのかな?
子ども
あの象、どこかににげちゃったんだよ。どこに行ったんだろう?

ムッチャのかくれ家

盗賊
ボスならスワンさんの所に行ったぜ。

スワンの住まい

ムッチャ
おう、ガオか。テレくさいところを見られちまったな。この子はスワンっていうんだ。どんな薬を使ってみてもパプラ病は進むばっかり。すっかり希望をなくしちまって…おまえからもなにか言ってやってくれねぇか。
スワン
ムッチャさん、わたし、もう長く生きられないの。薬の心配はもうしないで…。
ムッチャ
あきらめちゃダメだ、生きるんだ、スワン。いつか、いつか、きっと良くなる。
スワン
ダメです、近づいちゃ。こんなに親切にしてもらって、もしムッチャさんに病気がうつったら、わたし…。
ムッチャ
び、病気なんか…。
ベルベル
…ムッチャはスワンに恋をしてるのね…。
な、なに?
ガオ
ほ、誉れの剣から光が!
スワン
ムッチャ…さん…。
ムッチャ
き、きせきだ。スワンが手を…。
スワン
……ふしぎ、だれかが今、わたしのココロでささやいたの。まけてはいけません…病気と戦いなさいって…勇気を持たなきゃだめよって。
ガオ
…サーラだ。
ムッチャ
サーラ? サーラがスワンに希望を? そんなことができるのか? …なんて姫さまだ。スワンがオレの手にふれてくれるなんて…。
ガオ、オレはどうすればいい? おまえの力になりてぇんだ。勇者を命のつぼみの国へおくる手助けをしてぇんだ。…そうだ!
オレをシャイロックのところへつれて行け。オレをつかまえたことにすれば、宝石しゅうせき所にもぐりこめるぞ。
ガオ
さあ、行こう!
スワン
わたし、がんばって生きてみます。

ムッチャのかくれ家

盗賊
みょうなマネしてみろ、ただじゃおかねぇぞ。…おや、ボスもごいっしょでしたか。
盗賊
みょうなマネしてみろ、ただじゃおかねぇぞ。…お、おや、ボスもごいっしょだったとは…。

パプラの洞くつ

老婆
なにかいいこと、ありなすったかね? やさしいおかおをしてなさる。
老婆
グホッ。この毒キノコが消えて地上に帰れる日が来るんじゃろうかのう?

カオシアの町

町民
へへ、ムッチャが集めた宝の山を一度、見てみたいもんだ。

シャイロックの宝石しゅうせき所入口

ガオ
盗賊ムッチャをつかまえた。シャイロック様にちょくせつ引きわたしたい。
ダイコック
おお! そのいまいましいツラがまえ、たしかに盗賊ムッチャ! 小僧、よくやったぞ。5000ルビーは後でわたしてやる。ムッチャをおいて行け!
ガオ
ダメだ! 信用できない! シャイロック様とちょくせつ会って引きかえだ!
ダイコック
うたぐり深い小僧だ。よかろう、通るがいい。シャイロック様の部屋は中の者にたずねるがいい。

シャイロックの宝石しゅうせき所の中

ダイコック
シャイロック様の部屋は右上左上左上だ。
ダイコック
シャイロック様の部屋は右下右上左上上だ。

シャイロックの宝石しゅうせき所奥

ムッチャ
シャイロック!
シャイロック
ムッチャ
よう。ずいぶんとためこみやがったな。いつまでたってもつかまえにこねぇから、こっちから来てやったぜ。
シャイロック
ム、ムッチャか! おまけに勇者をつれた騎士どももいっしょとは、メルヴィル様にけんじょうする宝にいいみやげができたわい。
ムッチャ
なにぬかしやがる、この妖術使いのコシギンチャクが!
シャイロック
な、なんだと! このシャイロックをただの宝石商人と思うな!
ガチャ
右下右上左上上…だったかな? ん? この部屋か?
! あれは!
ガオ
ガチャ!
ガチャ
やっと追いついたぜ、ガオ。
ガオ
よく、ここまで。
ガチャ
チャンからまなんだ導きの剣のわざ、見せてやるぞ! 剣よ、われとともに歩め!
ガオ
! それはチャン将軍の戦いの祈り!
シャイロック
こしゃくな!
シャイロック
い、命より大切な宝石を、こ、このままにして死なねばならんとは…メ、メルヴィル様…ぐはっ。
ガチャ
ガオ、おそくなった。勇者殿は?
ガオ
もちろんあそこに。
ガチャ
勇者よ、フラワランドリアの戦士ガチャ、将軍チャンの修業をおえて、ただいま勇者に追いつきました。

シャイロックの宝石しゅうせき所入口

ガオ
ここにいたダイコックとかいうシャイロックの部下は?
ガチャ
ここを通る時、かたづけておいた。
ベルベル
ガチャの鎧が真っ赤になってる。それに、人が変わったみたいにきびしい目ね。
ヨシュア
きっと、つらい修業だったんだと思います。

カオシアの塔最深部

キターラ族
かいだんをふさいだのはおまえたちか?
ムッチャ
キ、キターラ族だ!
キターラ族
おろかなことを。ワシらを地下にとじこめたからといって、死の病パプラが消えるわけではあるまい。
キターラ族
新しいしかばねが、上でワシらをまっている。道をあけるのだ。
ムッチャ
あわわ…オレはあいつらだけはにがてなんだ。
この下はカオシアの死神キターラ族の村。さすがのオレ様もキターラ族とはかかわりたくねぇ。
ガオ
ムッチャ、サーラの病がいえるまで、しゅうせき所の宝石をメルヴィルの手からまもっていてくれるかい?
ムッチャ
なに? オレ様が? 宝石の番を? …しかたない、わかった。しかし、この盗賊ムッチャ様が、宝石の番とはな…。
キターラ族
ここはカオシアの墓地、生きている者が来る所ではない。
ムッチャ
やれやれ、この盗賊ムッチャ様が宝石の番とは…。

キターラ族の村

キターラ族
美しいものもみにくいものも、すべての生き物はみなおなじ水を飲む。ワシはキターラ族の長老ジェムジェムじゃ。おまえは命のつぼみの国へ向かう騎士どのか?
ガオ
はい。
ジェムジェム
騎士よ、このキターラの井戸に入るがよい。おまえの体はいっしゅんにして地上にうかび上がり、暗黒の谷デーモンリッジの前に出るであろう。じゃがデーモンリッジはこの世のおわりの谷。一度わたれば二度と元の世界に帰っては来れぬぞ。それでもゆくのか?
ガオ
勇者よ。けつだんの時だよ。勇者は気づいていないかもしれないけど、ボクたち、愛をココロに持つ国からずいぶん遠くに来てしまったんだ。もしデーモンリッジをわたったら、勇者はもうもとの世界にもどれないかもしれない。それでも谷をわたるかい?
(はい)
ジェムジェム
かつて、サーラ姫がこのキターラの井戸にお姿をうつしてこう言われた。デーモンリッジをわたる者があらわれたら、この呪文をさずけよと。勇者よ、そなたにラサエの呪文をさずける。
勇者よ、そして騎士よ、デーモンリッジこそこの世のおわり、そして世界の果ての始まり。命のつぼみの国はすぐそこじゃ。
(いいえ)
ジェムジェム
…そうか…サーラのトゲをぬく、真の勇者ではなかったか。

デーモンリッジの谷

バルバドラ
わたしは魔王バルバドラ。メルヴィル様の四天王のひとり。…おまえは?
ガオ
青い涙の騎士ガオ。サーラ姫を救う勇者に仕える涙の騎士だ。
バルバドラ
勇者に仕える涙の騎士…そうか、メルヴィル様をなやます勇者がついにここまで来たか…ならば、わたしもメルヴィル様の理そうをまもるために戦わねばなるまい。ともに仕える主人を持った騎士のさだめ、はかりがどちらかにかたむくように、どちらかが倒れるまで、剣をまじえようぞ。
エレファンキア
パッフォーン!
バルバドラ
…わたしが…倒されるとは…信じられん。…青い涙の騎士よ、おまえこそ最高の騎士。…どうだ、わたしのかわりにメルヴィル様をまもり、四天王のひとりとならぬか?
ガオ
ことわる。
バルバドラ
…信じるものをまもって戦う…それでこそ騎士…そなたの主人、勇者はよい騎士を持ったな。…ぐふっ。
エレファンキア
バ、バルバドラ様! おのれ! このエレファンキアがふみつぶしてくれる!
ベルベル
ガ、ガオ! だいじょうぶ!
ガオ
も、もうダメかと思った。
エレファンキア
もしかして、1000年も前にワシを助けてくれたのはおまえか?
ガオ
1000年前? ぼくはそんな年よりじゃない。
エレファンキア
子象のワシを木箱から出してくれたのはおまえではないのか?
ガオ
なんだって? …いや、そんなはずない。あれはついこの間の事だ。
エレファンキア
騎士よ、デーモンリッジのふちから、時間の流れはあらしにかわる。おまえが助けたその子象がワシだ。
ガオ
ま、まさか。
エレファンキア
いつか恩を返したいと思っていた。…おまえたち、ワシの背中に乗るがいい。デーモンリッジの向こうにとどけてやろう。
ヨシュア
あ、雨です。
ベルベル
サーラの涙よ。
ガオ
急がなくちゃ。サーラ姫の涙があと一つぶになってしまった。

エレファンキアの背中

ガチャ
ガオ、なにを考えてるんだい?
ガオ
なにも知らずに砦を出たのが、遠い昔のような気がするんだ。
エレファンキア
命のつぼみの国へ行くものたちよ。ワシは1000年もの長い間、自分がなんのために生きているのか分からなかった。だが今、その答えが分かった。ワシが命のつぼみの国へつづく、つぎの扉だったのだ。

ダークンの町

町民
ここは闇の町ダークン。暗いからな、足もとに気をつけてくれよ。
町民
お、おれは家はどこだったかな? まっくらでさっぱり分からん。
町民
メルヴィルがこの町の光をうばってしまったんだ。
町民
ヒック、暗闇のせいで、むすめのかおを一度も見たことがない。ずいぶん大きくなったろうに…。
その娘
ぱぱぁ、ひかりってなに?
町民
西にある大きな城を見たかい? あれがメルヴィルの住むデッドエンドの城さ。命のつぼみの国の入口をふさぐためにたてた城だといううわさだ。
町民
いらっしゃい。暗いから足もとに気をつけてな。
町民
え? デッドエンドの城へ? あの城は妖術の城。地上からは行くことができません。なんでも、ハイランドを通らなければならないとか…ホントにあんなこわいところへ行くんですの?
町民
ギーガーはメルヴィルの四天王のひとり、光をきらう闇の王。
町民
ここはメルヴィル軍にやぶれた白い骨の騎士たちの墓。
町民
メルヴィルは殺した白い骨の騎士たちのしかばねを数えたが、とうとう将軍ギヤマンの骨をさがしだすことができなかったといいます。
町民
この神殿の台にギーガーにうばわれた夜明けの水晶をもどせば、ハイランドに行くことができますわ。

ダークンの町 カワダンの家

カワダン
ワシはこの町の長老カワダンじゃ。騎士殿、見事な剣をお持ちじゃな、その剣にはどんなもんしょうがきざまれておるかの?
ガオ
ユリのもんしょうだよ。
カワダン
…しかし、こう暗くては本当かどうか分からん。ワシにさわらせてくれんか?
ガオ
どうしよう、さわらせてあげるかい?
(はい)
ガオ
いいよ。
カワダン
おお! これはたしかにユリのもんしょう。ギヤマン殿の剣とおなじじゃ。
ガオ
ギヤマン? そのヒトの剣にもユリのもんしょうが?
カワダン
そうじゃ。ギヤマン殿は白い骨の騎士軍の将軍。戦いにやぶれて今は身をかくしているが、ユリのもんしょうのついた剣を持つ騎士を長い間、お待ちになっておられるのじゃ。ささ、墓場の左すみの墓石を押しなされ。
(いいえ)
ガオ
ごめんね。この剣は大切な剣なんだ。さわらせるわけにはいかないんだよ。
カワダン
そうか…どうせ伝説の剣ではあるまいに。
(カワダンに剣をさわらせるのを断っている場合)
カワダン
伝説の剣を持つ騎士以外に放すことはなにもない。
ガオ
ひかり、どうしよう。さわらせてあげるかい?
(いいえ)
ガオ
…どうしても、この剣をさわらせるわけにはいかないんです。でもこの剣はまちがいなくユリのもんしょうの剣。話をきかせてもらえませんか?
カワダン
ダメじゃ。どうせ伝説の剣ではないじゃろう。放すことはなにもない。

ギヤマンのかくれ家

ギヤマン
おお、まさしく、その姿は青い涙の騎士。名は?
ガオ
ガオといいます。
ギヤマン
ワシは白い骨の騎士軍の将軍ギヤマン。ガオよ、戦にやぶれてそれでもなお、こうして生きはじをさらして生きていたのは、涙の騎士がかならずや勇者をつれてここにあらわれると信じておったからじゃ。これから、このギヤマン、白い骨の騎士の将軍としてではなく、勇者に仕える騎士のひとりとしておまえにしたがい、戦おうぞ。ガオ殿、この老いぼれに命令を。
ギヤマン
ガオ殿、して、勇者はどこに?
ガオ
あそこに。
ギヤマン
おお…勇者よ、よ、よくぞ…よくぞここまで。
ガオ殿、デッド・エンドの城に行くにはまず夜明けの水晶をとりかえさねばならん。水晶をうばったギーガーは、西のかれえだの森に!

ダークンの町 カワダンの家

ギヤマン
世話になったな、カワダン。
カワダン
ギヤマン殿、長年の夢をおはたしください。

かれえだの森

ギヤマン
勇者よ、かれえだの森はまよいの森。ワシの言うとおりに進んでくだされ。まずはつきあたりを左の道へ。
ギヤマン
つきあたりを右に行ってくだされ。
ギーガー
キーキー、シャイロックだけでなくバルバドラまでがおまえらごときに倒されるとは、キー、まったく信じられん。キーキー、魔王などとスゴんでみても、しょせんそのていどもの。
? そこにいるのは白い骨の騎士か? キーキー、まだ生きのこりがひそんでいたとはな。キー、骨はかれえだのようにおれやすい。このギーガー様の死神のカマで、まとめてかりとってやるわい。
ギーガー
…キー…キー、キ…。

ダークンの町

町民
夜明けの水晶をあのギーガーから取りもどすなんて…騎士さま、どうかサーラ姫を救い、この町にふたたび光を…。
ギヤマン
ガオ殿、水晶の中へ。さすればそこはハイランド。
町民
騎士さま、夜明けの水晶のなかへ。

ハイランド

ガオ
…ここは、ハイランドですか?
賢者カラハンタ
いかにも。
ガオ
ここで何をしてるの?
賢者カラハンタ
ワシは賢者カラハンタ。ハイランドを通る騎士にこう伝えよと、サーラ姫の言いつけじゃ。
姫は三本の剣をつくられた。青い涙の騎士に誉れの剣。赤い血の戦士に導きの剣。そして白い骨の騎士に約束の剣。
三本の剣をひとつにたばねたとき、メルヴィルの妖術のみなもと賢者の玉をくだく祈りの剣が生まれると。
ギヤマン
おお、ガオ殿。ワシのあずかった約束の剣は、メルヴィルの四天王カラカラとの戦いの時にうばわれて、今はデッド・エンドの城にありますぞ。
賢者カラハンタ
……愛をココロに持つ国から来た勇者よ、はるかな旅であったな。
愛をココロに持つ国は、たましいのゆりかごより生まれた。たましいは宇宙の宝石……。それは岩と宝石の国から生まれた。宝石の国は花の国から生まれ…花は風の国に命をはこばれて…風は火の国を兄弟とし…火は知恵の国よりいずる…知恵は混沌の国より生まれ…混沌の国は闇の国からわきあがり…闇は光を母とし…そして、命のつぼみの国へといたる。
勇者よ、サーラの呪文をあたえる。ミーマの呪文じゃ。
賢者カラハンタ
力を愛するものの勝利はみじかい。あれはてた命のつぼみの国をもとの姿にもどすのじゃ。

デッド・エンドの城

ガオ
勇者、カギがかかってるみたいだよ。

デッド・エンドの城 ドムスの間

ドムス
メルヴィル様の城に足をふみいれるとは、おそれを知らんヤツらめ。
ガオ
ド、ドムス!
ベルベル
こ、こんなところににげ帰ってたのね。
ドムス
トランジェルダでのお返し、たっぷりさせてもらうぞ。
ガオ
ドムス……。
ヨシュア
主人をまちがったんだと思います。

デッド・エンドの城 カラカラの間

カラカラ
ギヤマン、きさまが来るのを長い間待ったぞ!
ギヤマン
おまえはカラカラ! サーラ姫からさずかった約束の剣を胸にうけ、まだ生きておったとはおどろきじゃ。
カラカラ
きさまを殺せば、この剣もぬけるはず。
ギヤマン
メルヴィルの妖術で悪の命をふきこまれ、四天王のひとりとなった不幸な石像よ。土にかえるがいい。
ギヤマン
ガオ殿、四天王はあとひとり、魔女エリスのみ!

デッド・エンドの城 エリスの間

エリス
ヒッヒッヒッヒッ…。
ヨシュア
だれか笑ってます。
ベルベル
気味悪い…。
エリス
ヒッヒッヒッヒッ…。
ガオ
いや、これは泣き声だ。
ガチャ
だれが? なぜ泣いてるんだ?
エリス
…よくも、……よくも、かわいいドムスに手をかけてくれたね。
ガオたち
魔女エリス!
エリス
思い知るがいい!
ギヤマン
いかん! ガオ殿!
ぐああっ!
ガオ
ギヤマン!
エリス
生きのこりの老いぼれがジャマをしおって!
今度こそ黒こげにしてくれる!
エリス
タ、ターマ……。
ターマ
にくしみはあらそいしか生まぬ、け。エリスよ、ムーン・トランジェルダに帰ろう。
エリス
ターマ、さま…。
ターマ
あとはメルヴィルひとりじゃ、け。
ギヤマン
う、うう…見事でしたぞ、ガオ殿。
ガオ
ギヤマン!
ギヤマン
…ガオ殿、少しはお役に立ちましたか?
ガオ
も、もちろんだよ、ギヤマン! 死んじゃダメだ!
ギヤマン
ガオ殿…わしも、白い骨の騎士たちのところに行きますわい。
…ヨシュア殿、ヨシュア殿はどこに? も、もう目が見えぬ…。
ヨシュア
ギヤマンさん、ここに!
ギヤマン
おお、ヨシュア殿、約束の剣を持ち、ガオ殿のよこへ
ヨシュア
は、はい。
ギヤマン
ガチャ殿、導きの剣をぬき、ガオ殿のよこへ。
ガチャ
はい!
 ガオたちは三本の剣をかかげた。三本のサーラの剣はひとつとなり、祈りの剣となった。
ギヤマン
勇者よ、サーラ姫をたのみましたぞ……グホッ。
ヨシュア
ギヤマンさん…ボク、あなたのこと、わすれません。

デッド・エンドの城 メルヴィルの間

メルヴィル
…ワシの妖術を打ちくだき、よくぞここまで来たものじゃ。部下たちはことごとくおまえたちに倒された。…もはや、この老いぼれの夢を引きつぐものはいない。
…どうじゃ、四天王すらいなくなった今、すべてはおまえたちのものじゃ。涙の騎士とやら、この年よりに仕えてみるつもりはないか?
ガオ
いやだ!
メルヴィル
フラワランドリアの戦士ガチャとやら、おまえはどうじゃ? ワシに仕えれば、すべての世界が意のままじゃぞ。
ガチャ
ことわる!
メルヴィル
ほほう…では、バララートの弟子のヨシュアとやら、おまえはどうじゃ? バララートとワシはともに賢者の森で理そうをかたりあった仲、大事にしてやるぞ。
ヨシュア
ヤ、ヤダ!
メルヴィル
…みな、なんとすみきったきれいな目じゃ。じゃが、その目のかがやきもすぐに消える。
ガオ
みんな! ゆだんするな!
ガチャ
剣よ、われとともに歩め!
メルヴィル
賢者の玉に住まうモルグリフィンよ! あらわれよ!
メルヴィル
…わからん。…わからん。なぜ、そうまでしてサーラのトゲをぬこうとする? なぜ、そうまでしてこの世界をまもろうとするのじゃ? サーラは病気じゃ。ただそっとサーラが死ぬのを待てば、このみにくい世界が消える。そうすればすべてをやりなおすことができるのじゃぞ。この世界を美しいものだけでかざることができたら、それはすばらしいことだとは思わんか?
ガオ
カオシアのパプラはおまえがつくり出したものではないのか? あれが、おまえの言う美しいものなのか? パプラの毒でおおわれた世界がおまえの理そうなのか?
メルヴィル
…パプラはおまえたちの旅をさまたれるためにしたこと。だが案ずるな、サーラが死ねば、ワシの手によってすべて新しく生まれ変わる。
ガオ
命あるものをほろぼしてできあがる世界が、どんなに美しくたって、それがすばらしい世界だなんて思わない!
メルヴィル
では、どうあってもサーラを救うと言うのか?
ガオ
そうだ!
メルヴィル
賢者の玉に住まうサイコパイヤスよ! こやつらを食いあらせ!
メルヴィル
…ぐ、ぐぐ…こしゃくな騎士どもめ、どこまでもじゃまする気か…。もう少しで…もう少しでワシの夢がかなうというのに……あ、悪しき玉に住まうジュラスジュラスよ! われに力をあたえたまえ!
メルヴィル
…ワ、ワシの理そうが…夢が…。
ガオ
命のつぼみの国はどこに?
ベルベル
ガオ、ここになにか書いてあるわ。
ガオ
呪文だ!
ヨシュア
サーラの呪文です!
 サーラの呪文は『タリエ・ラサエ・ミーマ・ヨガ』となってかんせいした。
ガチャ
光が…。
ヨシュア
光が…。
ガチャ
おれたち、たどりついたんだよ…。
ベルベル
ここが、命のつぼみの国の入口よ。
 愛をココロに持つ国から始まった冒険も実質ここがクライマックス。台詞が意外と少ないのは、戦闘がかなりメインになってるからでしょう。前半のカオシアの町はフラワランドリアにも負けず劣らぬ悲惨さで、メルヴィルの考えをこれでもかと見せつけます。ガオも言っているようにここより悲惨なところはありません。フラワランドリアの町と同じテーマですが、死と隣り合わせのカオシアはより陰鬱なムード。一転して後半のダークンは戦闘中心のため、重厚な展開。ガオたちに初の死者となるギヤマン(チャン将軍は既に死んでますが)の死により、最後の戦いを1人欠けて挑まねばならないなど、ヘビーな感じです。最後の戦いでいままでずーっとラスボスだと思ってたメルヴィルと戦闘がないのも異色。賢者の玉を砕かれたメルヴィルの行く末は、語られることはありません。
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