邂逅
デュレンの足取りを追ったルシアン達は
やがて、蒼都へと辿り着きます
彼らは…
老剣帝ブノワの治める
この豊かな商業都市で
ついに剣帝デュレンとの
邂逅の時を迎えます
しかし運命の糸繰車は
やがて奇怪な文様を
描きはじめるのです…
蒼都 都営酒場「回天酒家」
キャロル
マスター。
ちょっとお聞きしていいかしら。
マスター
はい、いいですよ。
キャロル
この街で、
剣帝デュレンを見たっていう話を
聞いた事はない?
マスター
お客さん……賞金稼ぎで?
キャロル
いやだな、マスター。
実はね、
私達は蒼都が隠密で組織した
剣帝デュレンの捜索隊なの。
マスター
…………
キャロル
あー、信じてないでしょ!
じゃ、ちょっとだけよ……
これを見て。
マスター
そ、そのエンブレムは
王族の紋章キング・クリムゾン!
そ、そうなんですか。
それじゃ内緒で
教えますけどね……
つい先日この街にやってきて
剣帝ブノワ様の所にいるらしい
ですよ。
キャロル
本当?
今もブノワの所にいるのね。
マスター
ええ、そのはずですよ。
タイタス
やったぜ、ようやく見つけたぞ。
ルシアン
よし、さっそく行こう。
キャロル
マスター、ありがとう。
協力、感謝するわ。
蒼都 ブノワ宮「剣帝の間」
タイタス
ついにデュレン様と
感動のご対面だ!
武者震いがしてきたぜ!
で、キャロル、
どっちがデュレンだ?
(三人の見ている先で二人の男が話している)
キャロル。
キャロル
タイタス、だめよ!
私達はデュレンを捕まえに
きた訳ではないのよ。
デュレンに会って
話を聞いてもらうために
きたの。
今、この島では陰で
何かよくないことが
起きようとしているの。
お願い……
タイタス、わかって……
私に彼と話をさせて!
彼を捕まえるのは
それからでも遅くは
ないでしょう?
タイタス
な、なんだ!?
この気迫は……
ただの力じゃねえ、
もっと気高い誇りに満ちた
力を感じる……
キャロル、本当に
お前は一体何者なんだ?
……わかった。
お前が話をするのが先だ。
ルシアン
……
キャロル
ありがとう、タイタス……
わかってくれて……
緑色の服を着ているのがブノワ、
そして、その横にいるのが
剣帝デュレンよ。
ルシアン
あいつがデュレン!
デュレン・マット!!!
ブノワ
なんだ、お前たちは。
キャロル
ブノワ、久しぶりね。
ブノワ
これこれは、キャロル様。
キャロル
突然やってきてごめんなさい。
私達はデュレンに
会いにきたの。
デュレン
私に会いに来たというのか、
キャロル!
(デュレンに斬りかかるルシアン)
キャロル
ルシアン!!!
ルシアン
お前がいたから!
お前が妹を!
お前が重水処理施設など
造らなければ!
恐光症などなかったのに
妹が死ぬことも無かったのに
お前が……
デュレン
!?
重水処理施設……
恐光症……
妹が死んだ?
剣を退いてくれないか、
若者よ。
話を聞かせてくれ。
(ルシアンの剣はすべてデュレンにかわされる)
デュレン
剣を収めろと言っている!!!
キャロル
ルシアン!
デュレン
すまない。年甲斐もなく大声を
上げてしまった。
話を聞かせてくれないか?
君の話を……
私の犯した罪を……
ルシアン
俺は、スラムで生まれた。
俺には、双子の妹がいた。
俺の身代わりに、二人分の病を
背負い、一六年間、太陽を
見ることさえできずに、
ただ苦しんで死んだ。
それだけの人生だった……
あんたが造った、
あの建物のせいでだ!
なあ、なんであんなもん
造ったんだよ!
あんたは立派な人間なんだろ?
すげえ力のある騎士なんだろ?
そんな人間が何故、
妹を殺す!
何でもっと早く……。
キャロル
何を言ってるのよ、ルシアン!
重水処理施設に関しては
デュレン一人が悪い訳では
ないのよ!
デュレン
いや。
キャロル、いいんだ。
重水処理施設を発掘し、運転を
開始した後、スラムで原因不明の
病が蔓延した事は知っていた……。
確かに、重水処理施設に関しての
責任は私にある。
重水処理施設の汚染によって
妹を失ったとするなら、
それは私の責任だ。
ルシアン
自分で罪を……
罪を認めるのか……
こんなにもあっさりと……
キャロル
ばかな事いわないで!
デュレンは責任感が強いから
そう言っているのよ。
ルシアン
いいや、何と言われるようと
俺はデュレンを許せない!
デュレン
君の気がそれで済むなら、
そうしたまえ。
私の命で君が救われるなら
安いものだ。
だが、
これだけは約束して欲しい。
君が復讐を果たした後で
もうだれにも遺恨は
残さないで欲しい。
そして、これからは
君自身の為に生きて欲しい。
君が妹を思うそのやさしい
気持ちを大切にし、これからを
生きていって欲しい。
ルシアン
何を訳のわからないことを
いってる!
お前に言われなくたって……
俺はこれで自由になれる!
お前に言われ…なく…たって…。
(倒れるルシアン。それを蹴飛ばすブノワ)
ブノワ
小汚い小僧め!
さんざんほざいたあげく、
疲れ果てて、
床に伏してしまうとは
情けない奴め。
それにしてもお前たち、
この剣帝の間で随分と
好き勝手にやってくれたの。
いくらキャロル様の連れだとて
礼儀を知らぬ輩には容赦は
せぬぞ。
このブノワ、老いてはいるが
かりにも王から命をうけた
剣帝なるぞ!
タイタス
おいおいキャロル、
まずいぜ、この展開は。
ここはひとまず
退いたほうがよさそうだぜ。
キャロル
剣帝ブノワ、剣帝デュレン、
突然のご無礼お許し下さい。
この者たちの無礼は
私の責任です。
どうぞ、私になんなりと
罰をお与え下さい。
デュレン
キャロル……
ブノワ
……キャロル様。
わかっていただければ
良いのです。
部下に部屋を用意させますので、
そちらでゆっくりお休み下さい。
長旅で疲れて
いらっしゃったのでしょう。
キャロル
すみません。いずれ、
改めてお詫びに参ります。
さ、行きましょう。
タイタス。
蒼都 ブノワ「最上階」
キャロル
ルシアン、ここにいたのね……
ルシアン
キャロル……。
キャロル
ルシアン……妹さんの事は
大変お気の毒に思うわ。
でも、その事はデュレン一人の
せいではないはずよ。
ルシアン
…………
キャロル
デュレンの事を快く思ってない
人達がいるかも知れないけど、
私はデュレンを信じているわ。
デュレンが
いたずらに人を苦しめる事を
するはずがないもの。
それはデュレンに一度でも会った
なら、わかるはずだわ。
ルシアン
わかってる。キャロルの言う
通りかもしれない。
キャロル
ルシアン……
ルシアン
何だ。
キャロル
ルシアンが、いつも悲しい目を
していた理由がわかったわ。
いつもあなたの目には
妹さんが見えていたのね。
最初に私を助けてくれたときも
妹さんの事、言ってた……
ルシアン
今までは、ずっと妹を
助けられなかった事が
頭から離れずにいた。
それは確かだ。しかし今は違う。
デュレンに会い、俺の中で
何かが変わった……
キャロル
ルシアン……
(二人の前に剣帝ブノワが現れる)
ブノワ
二人とも、そこまでじゃ。
たった今、皇都から
命令が下った。
お前達を捕らえなければならん。
キャロル
裏切るのですか、ブノワ!
ブノワ
裏切るも何も、私は剣帝として
主君の言葉に従うだけだ。
たとえ、王女だとはいえ、
今は皇都に叛く指名手配犯。
ルシアン
王女!?
キャロル、君は本当の王女だったのか。
キャロル
そうなの、
だますつもりはなかったの。
ごめんなさい。
ブノワ
デュレンもすでに
身柄を拘束した。
仲間と旅芸人たちも捕らえてある。
お前達も
おとなしく降伏したまえ。
ルシアン
キャロル、下がってろ。
キャロル
これだけのガーティアン相手では
さすがに無理よ、ルシアン。
(ガーディアンに斬りかかるルシアン)
(ブノワにも斬りかかるが、避けられてしまう)
ブノワ
まだ手向かうつもりか、
ルシアンとやら。
どうみても勝ち目がない事が
まだわからぬか。
これ以上手向かうと命を
落とす事となるぞ。
キャロル
ここはひとまず降参しなきゃ
だめよ、ルシアン。
ブノワ
ガーディアン!
キャロルはデュレンと一緒に
皇都に連行しろ!
ルシアン
キャロル!
必ず助け出してやるぞ!
キャロル
ルシアン! 信じているわ!
必ず助けに来て!
ブノワ
ふぉふぉふぉ、この期に及んで
随分、威勢がいいことだな。
お前は仲間と共に、
ヘビィ・Dへ送ってやる。
王子様の活躍はここまでだ。
ガーディアン!
連れていくのだ!
ルシアン
キャロル! 俺が必ず!
必ず助けに行く!
[
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逃走 |
故郷 |
邂逅 |
ヘビィ・D |
記憶 |
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狂貴 |
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エンディング ]