記憶
煙都を治める女剣帝レオーメ…
魔法の指で神の理論を踊らせる
天才的設計技師、至高の技術者
あらゆる現象を的確に分析し、
正確に結果を予測する…
しかし彼らの前に現れたレオーメの心は
固く閉ざされ…
裡に秘められた言葉は、彼女の唇を
重く塞いでいるのでした
煙都 レオーメ宮「剣帝の間」
レオノーラ
レオーメ、デュレンとキャロルが
捕まったわ。
レオーメ
知ってる。
だが、彼らは手配中の身で
あったはず。
それは仕方のない事だ。
レオノーラ
彼らは杜人を助けようとしただけよ。
むしろ、何の罪もない杜人を
処刑する、ヘルダーの方が
捕まえられるべきだわ。
あなたは、いつもヘルダーの事に
なると事の善悪の判断が
つかなくなるのね。
レオーメ
そうかしら。
レオノーラ
冷静になってみて、レオーメ。
あなたはヘルダーの事を信頼して
いるみたいだけれど、
ヴラドとヘルダーは
危険人物よ。
レオーメ
あなたはどう思うのだ?
ゲオルグ。
一番、法だ規則だとうるさい
あなたがレオノーラやデュレンに
手を貸すなんて……意外だ。
ゲオルグ
私は騎士だ。
私情で動いている訳ではない。
ただ、ヴラドが自分の仕える人間
だとは到底思えないだけだ。
レオノーラ
国王が姿を消されてから半年、
国王は奴等に幽閉されていると
いう話もあるわ。
なにか心当たりはないかしら、
レオーメ。
レオーメ
半年前……?
レオノーラ
何か知っているのね?
レオーメ
何を言っているレオノーラ!
何か知ってるはずない。
レオノーラ
あなたが私達に
話したくないというのなら
もうこれ以上は聞かないわ。
でもね、
これだけは言っておくわ。
奴等はこの国に
災いをもたらすだけよ。
早く目を覚ます事だわ。
レオーメ
半年前……
半年前といえばさまよえる塔の
制御に成功したときだ。
さまよえる塔は、
地に沈む古代文明の幽閉塔。
成功したと同時に、ヘルダーは
王室科学技術院がさまよえる塔を
管理するといって
管理システムの管轄を移して
しまった。
あの中に……
レオノーラ
これ以上、
ここに長居は無用だわ。
ゲオルグ、行きましょう……
一刻も早くデュレンの
居場所を探さないと!
ゲオルグ
そして、ヴラドについての
真相を確かめなければ。
レオノーラ
それにいくら、
デュレンといえども
かなり、疲労しているはずよ。
レオーメ
まて……
デュレンは……
おそらく皇都の
裁きの塔にいるはずだ。
レオノーラ
裁きの塔?
レオーメ
ああ……
剣帝ブノワが誇らしげに
自慢しに来たからな。
レオノーラ
ありがとう、レオーメ。
でも、どうゆう風の吹き回し?
レオーメ
私の言っていることの方が
正しいと証明したいだけだ。
用が済んだなら
さっさと行ってくれないか。
私にはバラの香りは強すぎる。
特に、赤いバラはな。
煙都 正面ゲート前
ケミカル
それでは皆さん、皆さんのお邪魔に
なってはいけませんので、
私達はこの辺で
本業の巡業に戻らせて
いただきたいと思います。
ルシアン
そうか。
自分達だけでもう大丈夫か?
ケミカル
はい、私達の身分は
レオノーラ様が保証してくださる
という事なので、
もう捕まえられる心配は
なくなったのです。
ルシアン
ヴェルベット、元気でな。
ヴェルベット
キャロルさんが……うらやましい。
ルシアン
そうだな、王女様だからな。
ヴェルベット
……うそばっかり。
ルシアン
え?
ヴェルベット
なんでもない。
ケミカル
それでは、
失礼させていただきます。
裁きの塔…
それは血塗られた墓標…
正義の審判は、人の考えうる限り
最も残酷で、陰惨な方法をもって
行われると言います
それを良く知るのは、他ならぬ
ヴラド自身であったでしょう
半年前…
彼が裁きの塔から陽射しの中へと
戻った時…
その両手足に爪はなく
赤黒い指先は醜く歪んでいたと
伝えられています
そしてそれは
たとえ剣帝デュレンであったとさえ
逃れる事は叶わぬのでした
ルシアン
この裁きの塔にデュレンが
閉じ込められているのか……
チェザール
来たか小僧。ここまで
来れたことは誉めてやろう!
しかし、その悪運ももう
終わりだ。ここがおまえたちの
墓場になるのだからな!
ルシアン
まずはあいつを倒すしか
なさそうだな。
よし、みんな行こう。
Battle 13 裁きの塔(皇都)
デュレン
助けに来てくれたのか。
みんな本当にありがとう。
なんといって感謝したらいいのか。
しかし、ここでぐずぐずしている
わけにはいかないな。
急いでこの場所から退避しよう。
皇都 裁きの塔「門」
ルシアン
よし、
後はこの城門を突破するんだ。
(カリフ、現れる)
ルシアン
お前は!
スラム街で戦ったカリフだな。
俺の事を覚えているか?
カリフ
覚えているとも。
あの時、お前に負けたおかげで、
今はここの門番だ。
今度は負けぬぞ!
そして記憶を取り戻す!
Battle 14 城門(皇都)
カリフ
また、勝てなかったな……
これも、俺の運命として
あきらめるしかあるまい。
ルシアン
お前、記憶がないといっていたが
何か、言い残す事はあるか?
カリフ
言い残す事か……
俺は、この島の人間ではない。
航海の途中、遭難し、
この島に流れ着いた。
この島を囲んでいる霧にのまれ
気がつくと記憶を無くしていた。
ルシアン
なんだと!
島の外にも世界があるのか?
カリフ
そうだ。だが外の事を思い出そうと
しても何も浮かんでこない。
夢で見る事もできやしない……
……ぐふっ。
ルシアン
カリフ……さらばだ。
デュレン
彼もこの島の悲しき生贄と
なってしまったか。
よし、森へ行くぞ。
ルシアン
杜人の所に行くのか。
デュレン
わかっているのなら、話は早い。
ついて来い。
デュレン
お前には素質がある。
物事の本質を見極める目と、
剣の才能が……
若者よ、走り続けるんだ。
争いはいけない事だが
戦おうとするその姿勢が
大切なのだ。
レオノーラ
デュレン、よくご無事で……
裁きの塔では相当ひどい目に
あったのでしょう?
デュレン
若い時ならこんな事は
なんでもなかったんだがな。
それにしても助かったよ。
ありがとう、レオノーラ。
そして、ゲオルグ。
レオノーラ
そんな……
お礼なんていわないで。
私はただ……
ゲオルグ
レオノーラ、やっぱりきみは!
…とにかく無事でよかった。
さすが、最強の剣帝と噂される
事だけはあるな。
スモール
なんだかあたい達、居場所が
ないね。
偉い人ばっかり
集まっちゃってさ。
オレンジ
ぼやくな、スモール。
しゃーねーだろ、
住むとこが違うんだから。
ザッパ
おめえら、
ちっとはだまっとれ!
誇り高きブロウモンキーズの
志を忘れたか?
デュレン
そのとおりだ、
みんなありがとう。
そしてルシアン、
君は本当に勇敢な剣士だ。
ルシアン
いえ、俺はキャロルとの約束を
果たしただけですから。
デュレン
ところで、タイタス君は
私の首にかけられた報償金が
目当てだそうだね。
タイタス
さあね、今更あんたの首持って
どこへ行きゃいいんだ。
カモがネギしょって狩人の前に
のこのこ出ていくようなもんだよ。
ま、俺も今は同じく賞金首だ。
しばらく賞金稼ぎは休業さ。
デュレン
霧都の重水処理施設とは…
もともと杜人の護る古代遺跡を
発掘し復元したものなのだ。
杜人達はその強力な技術に
関する叡智を、強力なるが故に
我々から遠ざけているのだ。
なぜなら、それらの威力は一つ
間違えば大陸一つが消滅しかねない
ほどのものだからである。
そこで私は杜人達と繰り返し
対話を行い、信頼関係を築き、
彼らの叡智を分けてもらっていた。
しかし、ヴラドは、その叡智を
誤った方向に導こうとしていた。
最初は、私を懐柔しようとしたが
私が拒むと次は私を迫害しようと
してきたのだ……。
レオノーラ
デュレン、国王の居場所について
何か聞かなかった?
デュレン
む、国王はどうやら病床に
伏しているのではなく、
どこかに監禁されているらしい。
少なくとも、キングクリムゾンの
中にはいなかった。
ルシアン
キャロルがどうなったのかは
知らないのか?
デュレン
キャロルもどこかに連れ去られた
という事しかわかってない。
杜人の遺跡
ルシアン
なんかすごい所だな。
機械の墓場のような……
ここは一体……
オレンジ
おー、すげー。
見たことないパーツが
いっぱいあるな。
デュレン
ここは以前、
私が森に迷い込んだとき、
杜人達と初めて出会った
場所なのだ。
(スレッジを構えるルシアン)
ルシアン
みんな、気をつけろ!
敵の気配だ。
デュレン
我ら剣帝達よりも早く敵を
察知するとは!
どうやら、すっかり囲まれている
らしいな。
おのおの戦闘準備をとれ!
(デュレン、タイタスの方に向き直って)
デュレン
ところでタイタス君、
私と契約しないか?
タイタス
契約?
デュレン
どうしたんだね、
これは正規な仕事の依頼だよ。
タイタス
へへっ、それで恨みっこ
ナシって事かい。
あんた話がわかるねェ。
気に入った!
その話、乗らせてもらうぜ。
(姿を現す紅蘭兵達)
紅蘭兵1
見つけたぞ!
罪人どもめ。
タイタス
出やがったな、
ガーディアンどもめ!
ん?
なんだ、随分となよなよ
したやつらだな。
紅蘭兵2
フッ、野蛮なものどもが……
我々を甘く見ると火傷するぞ。
我々は紅蘭兵!
ワルター様に選ばれし美と知を
兼ね備えたエリート部隊、
フッ、廃墟と化した
この杜人の遺跡とともに
朽ち果てるのも悪くなかろう。
剣帝デュレン……
ここがあなたの墓場だ。
ワルター様に
この戦いを捧げる!
ルシアン
口は達者だな……
さて、実力のほうは
どうかな?
Battle 15 杜人の隠れ里
タイタス
こ、こいつら、
けっこうやるぜ。
それに、なんてこったい、
次から次と敵がやってくるぜ。
どうなってんだい。
スモール
このままじゃ、
もう、もたないよ。
ルシアン
くっ、確かに強い!
だが、まだだ!
弱音を吐くな!
(紅蘭兵に包囲されたルシアン達)
(いきなり、紅蘭兵の一人が炎上する)
ルシアン
……あ、あれは杜人、
オイスターか?
ブルー
森を乱すものたちよ、
ただちに立ち去りなさい。
紅蘭兵3
余計な邪魔だてをすると
杜人とはいえ、我らは容赦はしないぞ。
ブルー
愚か者よ、森の意思に沿わぬものは
森の裁きを受けるがよい!
紅蘭兵
ぎゃあー!!
(次々に消滅する紅蘭兵)
ブルー
ルシアン、デュレン、
……そしてその仲間たち、
私についてきなさい。
遺跡 通路
(ブルー・オイスターはスーツを脱いでいる)
ブルー
ルシアン、タイタス。
霧都のコロシアムでは
我々の仲間を救出してくれて
ありがとう。
みんなも大変感謝しています。
ルシアン
いえ、そんな……
こっちこそ、助けてもらって。
ブルー
それより、あなた達に
我々杜人に関する真実を
お話ししたかったのです。
話をする事に関しては、
我々の中でも、反対するものも
多くいました。
しかし、今はデュレンと行動を
共にする事を知り、
反対していた仲間もあなたがたを
信用するようになったのです。
ルシアン
杜人の真実?
ブルー
そうです。
今、我々は世間から誤解、
そして迫害を受けております。
我々には、よき理解者が
必要なのです。
よろしければ、
私の後をついてきて下さい。
遺跡 最下層部
デュレン
ここは、さらにさきほどの遺跡の
奥だな。
私もここまで踏み込むのは
初めてだ。
ブルー
この少年は“記憶する者”といい
我らの語り部です。
エドゥアルド島、今は海に
沈む、双子島などの島は、
一〇〇〇年前までは、
地続きの大陸でした。
世間では、大災害によって
大陸はこれらの諸島に
分断されたといわれています。
しかし、この大災害の原因は、
核融合炉の暴走であり、
この大惨事を招いたのは、我々
杜人達の先祖なのです。
我々の先祖は、
重水による常温核融合の技術を
開発していたのですが、
一部の悪者に利用され、
実験をすすめた結果、大惨事を
招いてしまったのです。
そして、その後、
危険な技術として表向きには
封印されていましたが、
我々はこの島で、重水処理の技術が
悪用されないように監視するとともに、
平和利用のために、研究を続けているのです。
ところが、もともと科学者であるヴラドは、
我々の技術に目をつけ
自分の野望に役立てる事に
気づいたのです。
一一年前に双子島が水没したのは、
実は天災によるものではなく、
ヴラド自身の実験の失敗による
ものなのです。
そして、
あらかた重水処理に関する技術を
身につけたヴラドは、
現在、エドゥアルド島に重水処理に
必要なレアメタルを求めると同時に、
最初は我々から技術を学んでいた
にもかかわらず、
協力を拒み始めた我々を排除
しようとしているのです。
ブルー
ヴラドの野望は大変危険です。
このままにしておくと過去の
大惨事の再現となってしまう
可能性があります。
デュレン
うむ、ヴラドの野望を食い止める
ためには、まず……
主君不在となっている王室を
正常な状態に戻す必要がある。
そのためにも、行方のわからない
国王を探し出さなければ……
ブルー
私に心当たりがあります。
砂漠にジェントル・ジャイアント
という名の、かつて我々の先人が
築いた幽閉塔があるのです。
必要とあれば半年でも一年でも
地中深く潜伏する事が
できるので、
この塔に幽閉されてしまえば、
全く外界から接触を絶つ事が
できます。
この塔は、今は煙都から制御が
行われているのですが、
どうやらヴラドの管理下に
あるらしいのです。
またこの塔が、半年の間に二回ほど、
地上に姿を現した事があるのです。
レオノーラ
国王が姿を消したのが半年前、
そしてもう一回がキャロル、
……つじつまが合うわ。
煙都といえば、レオーメ!
そうだ、彼女はこの事について
何か知っていたんだわ。
煙都に行ってレオーメに
確かめてみましょう。
デュレン
ううむ、そうだな。
まずは煙都に行くとしよう。
[
オープニング |
鳥 |
面影 |
盗賊 |
逃走 |
故郷 |
邂逅 |
ヘビィ・D |
記憶 |
虚塔 |
狂貴 |
散華 |
残光 |
エンディング ]