故郷

故郷

彩都…
そこは、女帝レオノーラの統治する
快楽と芸能の都
あらゆる人々が
昼夜を問わず出入りする
華やかなりし現世の夢…
剣帝ゲオルグと共に
ルシアンら一行は、いつしか
淫靡な香油の妖しく香る
その猥雑な市中を歩いているのでした
そして…
 
ルシアン
ここがレオノーラシティか……
タイタス
ようやく今夜は美味い酒が
味わえるな。
この街にはいい酒場があるって
話だ。
キャロル
さあ、こんな所でぐずぐず
してはいられないわ。
早く行きましょう。
ルシアン
行くって、どこへ行くんだよ?
キャロル
決まっているでしょう。
レオノーラ宮よ。
ルシアン
レオノーラ宮だって?
タイタス
もしかして剣帝レオノーラがいる
あのレオノーラ宮か?
キャロル
勿論よ。レオノーラならきっと
デュレンの行方を知ってるわ。
ルシアン
いきなり剣帝に会おうって
つもりなのか?
タイタス
俺には正気の沙汰とは思えんね。
キャロル
大丈夫よ、私に任せて!
ルシアン
お前、
いやに剣帝に馴れ馴れしいな。
お姫さまにでもなったつもりか?
キャロル
ぶつぶつ言わないで、
さっさと行くの。
ゲオルグ
キャロルの言うとおりだ。
さあ、先を急ぐぞ、諸君。

彩都 レオノーラ宮

タイタス
城門でも入り口でも……
何のおとがめもなしだ。
拍子抜けするな。
俺は、自分が本当に
賞金首になったのかどうか、
自信がなくなってきたぜ。
ルシアン
霧都の手配書は、
まだここに達してないんだろ。
タイタス
だとしたら、ありがたい話だな。
だが、俺にはどうも……。
ゲオルグ
君達、少し落ちつきたまえ。
レオノーラ
久しぶりね、キャロル。
ゲオルグが来るのは聞いていた。
けれど、あなたが一緒に訪ねてきて
くれるなんて。歓迎するわ。
キャロル
ありがとう、レオノーラ。
こちらは、ルシアンとタイタス。
途中でゲオルグに偶然出会ったのよ。
レオノーラ
初めまして、
私がレオノーラです。
キャロルとはそうね、
心を許し合える大切な友達と
言えばいいかしら。
キャロルが旅でずいぶんお世話に
なったようね。
私からも御礼を言うわ。
タイタス
……い、いやあ、どうも。
それにしても噂には聞いていたが
こんなに美人だとは……。
ルシアン
べつにあなたに礼を言われる
筋合いはない。
成りゆき上こうなっただけだ。
レオノーラ
そう……
それであなた達はデュレン剣帝を
探して旅をしているのね?
キャロル
そうなの。まずは、霧都にいって
みたんだけどね……
デュレンの消息どころか、
霧都での騒動で私達自身も
追われる身となってしまって。
レオノーラ
そのあたりの事情については
ゲオルグから聞いたわ。
霧都で何がおこっているのか、
私も気にはなっていたの。
きっとデュレンを
探し出してみせるわ。
しばらくあなた達は、
ゆっくり休んでいなさい。
キャロル
ありがとう、レオノーラ。
ゲオルグも……ありがとう。
 
タイタス
しかし驚きだぜ。
まさか本当に
剣帝に会えるとはな。
なあ、ルシアン?
ルシアン
まったくだ。キャロル、
お前はいったい何者なんだ?
キャロル
そんな事どーでもいいじゃない。
それより、あれを見て。
ケミカル
これはこれは、皆々様。
懐かしい顔ぶれで。
ルシアン
ケミカル・ブラザーズ!
キャロル
そういえば彩都に行くって
言っていたわね。
でも、まさかこんな所で
会えるなんて。
スリム
私達も驚きです。
アイドル
びっくりびっくり!
うにうにうにぃ〜!
ヴェルベット
なんという偶然なんでしょう。
ケミカル
あなた様方のお噂は旅の空でも
耳にしております。
失礼ながら、今は何かと
自由の効かぬ身の上の
お様子です。
ここでお会いしたのも我らの縁の
深さを物語るもの。何かお力に
なれるやもしれません。
キャロル
ありがとう。
ルシアン
だが、まだ俺達は今後の事を
決められる状況ではないんだ。
ケミカル
そうですか。我々は次は蒼都に
向かう予定なのですが、
まだ2、3日は彩都で公演が
残っています。
お力になれる事がありましたら
声をかけて下さい。
 
ヴェルベット
久しぶりですね。
ルシアン
そうだな、元気そうだな。
ヴェルベット
ええ、そうね。ルシアンもね。
ルシアン
ああ。しかし俺は今や、
手配中の身の上さ。
ヴェルベット
でも、ルシアンは
何も間違った事はしてないわ。
気にしないで。
ルシアン
ありがとう。
……やさしいんだな。
ヴェルベット
そんな事はないわ。
ねぇ、ルシアン。
一つだけ聞いていい?
ルシアン
なんだい?
ヴェルベット
ルシアンの夢って何?
ルシアン
俺の夢か?
……俺の夢は
騎士になる事なんだ。
ヴェルベット
騎士?
ルシアン
約束をしたんだ、死んだ妹と……
騎士になるって。
ヴェルベット
じゃあ、妹さんが亡くなって、
夢をなくしてしまったの?
騎士になりたいという夢を。
ルシアン
なくしちゃいないさ。
……今は、夢から覚めるために、
騎士になりたいんだ。
妹の死を夢に見る度に、あいつは
今も俺の心の中で、あの重水病の
苦しみを繰り返しているんだ。
もう、静かに眠らせてやりたい。
そのために俺は騎士にならなきゃ
ならないんだ。
なあ……
目が見えないってどんな気分だ?
つらくはないのか?
ヴェルベット
目が見えていた頃の事は、
もう遠くてよく覚えていないの。
……孤児だったんです。
両親は貧しくて、目の見えない
私を養う事ができなかった。
団長に拾われて、歌姫として
この一座に加わってからも……
むしろ、目が見えなくて
幸せだったのかも。
ルシアン
すまない、こんな話……。
ヴェルベット
いいんです。
それに、言ったでしょう。
目は見えなくても、心の光まで
失った訳ではないって。
……目を閉じてみて。
ルシアン
あ、ああ……
ヴェルベット
ほら、聞こえるでしょう?
風たちが歌う声が……
ルシアン
……
ヴェルベット
……だから、
もしあなたが妹さんの死に
心を痛めているなら、
妹さんは、決してあなたが
思っているほど、孤独でも、
不安でもなかったと思うわ。
ルシアン
……そうだろうか?
ヴェルベット
自分を気遣ってくれる人が
隣にいれば、たとえ目を
閉じていても分かるものです。
今、あなたが
そうしてくれているように。

彩都 レオノーラ宮「剣帝の間」

レオノーラ
デュレンはアートウッド方面に
向かったと確認されたわ。
キャロル
本当? レオノーラ、助かるわ!
ありがとう。
レオノーラ
……よかったら、私も
お手伝いしたいのだけど。
ゲオルグ
何を言うんだ! レオノーラ。
キャロルは王女だとはいえ、
彼らはお尋ね者である事には
変わりはないのだぞ。
君の剣帝としての立場は
どうなるのだ。
レオノーラ
剣帝であろうとなかろうと、
友人を助けるのは
人として当然のこと。
それに、そもそも彼らに
罪などないわ。
キャロル
レオノーラ。
お言葉はありがたいけど、
ゲオルグの言うとおりよ。
これ以上、あなたに迷惑をかける
訳にはいかないもの。
それにルシアンとタイタスも
意外に頼りになるんだから。
レオノーラ
キャロル!
キャロル
それじゃあ、一刻も早く
デュレンを見つけたいから、
私は行くね。
レオノーラ
キャロル、待って!
ゲオルグ
レオノーラ! 君をここから出す
訳にはいかないぞ。
レオノーラ
ゲオルグ!
 
タイタス
どこへ行っていたんだ、
キャロル。
キャロル
ん……ちょっとね。
ところでケミカル?
ここを出て蒼都へ行くと
言っていたわね。
ケミカル
はい。明日にでも発ちますが、
それがなにか?
キャロル
私達も一緒に蒼都へ連れて
いっては下さらないかしら。
こんな事をお願いして
ご迷惑だとは分かっているわ。
でもほかの誰にも頼めないの。
ルシアン
おい、一体どうしたんだ?
キャロル
デュレンはアートウッドへ
向かったわ。
レオノーラが教えてくれたの。
タイタス
そりゃ、すげえ情報だ。
明日と言わず早速出発しようぜ!
キャロル
ううん、だめよ。
私達三人だと
目立ちすぎちゃうわ。
変装してケミカル達と一緒に
行った方がいいと思うの。
ルシアン
それじゃ、ケミカル達に
迷惑がかかってしまう。
ケミカル
いいえ、
あなた様方は命の恩人です。
それくらいお安い御用。
大船に乗ったつもりで
お任せあれ。
キャロル
ありがとう、ケミカル。
 
イワザル
お前ら、デュレンを
かくまってはおらぬか!
村長
とんでもございません。
デュレンなど知りません。
イワザル
なにい、
王国の騎士団に嘘をつくのか。
お前らがデュレンを
助けているという密告が
あったんだよ。
(イワザル、村長をこづく)
アイドル
あなたたち、弱いものいじめは
やめなさい。
イワザル
だっ、誰だ!!
アイドル
愛と正義の装器美少女。
アイドル・レース!!!
スリム
ア、アイドル……?
アイドル
いくわよ、スリム!
せーのぉ。
アイドル・フラーッシュ!!!
とおー!
(村の入り口の門から飛び降りるアイドル)
スリム
アイドル〜。
こんな高いところから
飛び降りられないよ〜。
アイドル
じゃんぷ! じゃんぷ!
大丈夫だよ、スリム。
情けないこといってると
ぷくぷくだからね。
スリム
え〜、
むっ、むりだよ。
アイドル
ぷくぷくの刑に決定!
(門の下に現れるルシアン達)
キャロル
急に駆け出したりして。
どうしたのよ、アイドル!
!?
ガーディアン、
先回りされていたの?
ルシアン
いや、違う。
ちょっと様子が変だ。
タイタス
どうやら、ガーディアンは
ここの村人に用があるらしい。
下手に関わらないほうがいいぞ。
せっかくキャロルが体を張って
つかんだ情報だ。
一刻も早く蒼都へ行こうぜ!
デュレンが逃げちまう。
スリム
ここは僕たちの
生まれ育った村なんです。
アイドルは村の長たちの
危機をいち早く察知したんです。
村の人たちはみんな、
僕たちの家族同然なんです。
あのガーディアンたちの行動に
大義があるとは思えません。
村長たちを助けるため、
どうか手をお貸し下さい。
タイタス
そうはいってもなあ、
こっちだって無駄な消耗戦は
避けるべきだろ。
なあ、ルシアン。
イワザル
何をそこで
ゴチャゴチャいっている、
怪しい奴等だな〜。
こいつらも捕まえて尋問だ。
ルシアン
結局こうなるか……
まあいい……。
今はケミカルたちにも
やっかいになってるんだ。
我らのアイドルを
助けてやろうぜ。
キャロル
ルシアン……。

Battle 8 ジュアム村広場

村長
本当にどうも
ありがとうございました。
おかげで助かりました。
アイドル、スリムも
元気そうでなによりじゃ。
アイドル
よかったぁ、無事で。
ホントになんでもない?
村長
ああ。
(タイタス、偵察より戻ってくる)
タイタス
どうやら、もうガーディアンは
いないみたいだぜ。
子供1
あいどるおねーちゃん!
アイドル
みんな元気だった?
スリム
僕もいるんだけどなあ〜
アイドル
やっだー、スリムってば
やきもちさんなんだから。
子供2
あ〜
ぷくぷくもいるー。
スリム
違うだろ。僕の名前はスリム。
ファットボーイ(ぷくぷく)は
芸名だよ。
もう、
アイドルが変なこと教えるから。
子供1
ねー、げーめいってなに?
おしえて〜。
タイタス
おおっと、
感動のご対面のところ悪いな。
村長さんよ、
命を助けてやったお礼に一つ
教えてくれないか。
村長
はい、なんでしょうか。
タイタス
この村を剣帝デュレンが通って
いかなかったか?
村長
…………
タイタス
どうなんだい? 俺達はデュレン
の敵じゃねえ、味方なんだ。
アイドル
私からも頼むわ。この人たち
悪い人じゃないから。
いまはその人を
みんなで探してるの。
村長
ああ、わかっておるって。
はい……一週間程前、確かに。
そして、蒼都へ向かわれました。
キャロル
やっぱりレオノーラの言った通り
だったわ。
ありがとう、村長さん。
村長
いえいえ、どういたしまして。
それより団長さん、これからも
アイドルとスリムを
よろしくお願い致します。
ケミカル
わかりました。
それでは私たちはこれにて。
さあ、出発しましょう。
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