散華

散華

煙都は、醜い有り様でした
酒場や娯楽場の明かりは消え…
尽く破壊しつくされた研究施設に
叩き割られた螢水管が鈍く
ぼんやりと瞬いておりました
厳戒令の敷かれた街に人影はなく
蒸気炉の唸りは
まるで地獄の底から響くかの様でした
私達はそこで
ルシアンと、再会したのです
彼は…
彼の裡でも、また…
何かが、大きく
変わりはじめていました
 
ルシアン
何という変わり様だ。
これが以前の煙都と
同じ街だとは思えない。
スリム
ルシアンさん、キャロルさん。
ルシアン
スリム、それにヴェルベット、
ケミカル!
こんな所でどうしたんだ。
ケミカル
実は煙都で公演中にガーディアンの
大軍がやってきまして、
あっという間に街を占拠し、
戒厳令がひかれたのです。
街の出入りもままなりません。
ヴェルベット
久しぶりね、みなさん。
ルシアン
ヴェルベット……元気そうだな。
ヴェルベット
あなたも、立派な騎士になれた
みたいね。
ルシアン
いや、まだだ。
この戦いが終われば
答えが出るかもしれない……
その想いが俺をここまで
引っ張ってきたんだ。
デュレン
久しぶりの再会を楽しみたい
ところだろうが、
今はレオーメの身が心配なのだ。
先を急ごう。
ヴェルベット
ルシアン、気をつけて。
そして、必ず見つけて下さい。
あなた自身の答えを。
ルシアン
ああ……じゃあな。

煙都 レオーメ宮「監獄区」

デュレン
レオーメ!
貴様ら、剣帝を拉致するとは
何者だ。
直ちに放さぬと容赦せぬぞ。
 
オレンジ
しかし、凄い雷子結界だな。
こんな雷子結界に正面から
突っ込んでいったら、一発で
真っ黒焦げになっちまう。
スモール
じゃあ、どうすんのよ?
オレンジ
四隅を見てみろ!
スイッチを四隅にあるだろ。
俺のカンだと、たぶんあれが
雷子結界の制御スイッチだと思う。
あのスイッチを四つともオフに
すれば、きっと雷子結界を
止めることができるはずだ。
タイタス
よし、そうとわかれば
早速スイッチを止めようぜ。
デュレン
うむ。

Battle 23 レオーメ救出(煙都)

デュレン
レオーメ、大丈夫か。
どうしてこんな事に?
レオーメ
ヘルダーがなぜ……
信じられない。
キャロル
レオーメ、落ち着いて話して。
レオーメ
ヴラドの命令で突然ガーディアンが
私を拘束したんだ。
私にもわからない。
どうしてヴラドは突然煙都を
襲ったのか?
どうしてヘルダーは何も
言ってくれないのか……
キャロル
レオーメ……
レオーメ
何故なの、ヘルダー。
ヘルダーはいつも孤独で、誰にも
心を開こうとはしなかった。
私も幼くして天才科学者などと
呼ばれていたけれど、実際は異端者
扱い。……いつも孤独だった。
同じ寂しさに心を閉ざした者同士
として、私だけが彼の心を理解
できると信じた。
そして、彼だけが私の心を
理解してくれると信じた……。
(突然現れ、レオーメを拘束するガーディアン)
タイタス
何だ、何だ……
やべ、軍隊だぜ。
デュレン
みんな、油断するな!
(ヘルダー、登場する)
レオーメ
ヘルダー!
一体どうしたっていうの!
答えて!
ヘルダー
レオーメ、煙都の動力制御室に
案内してくれ。
(ヘルダー、レオーメに剣をつきつける)
タイタス
おい、ちょっと待てよ。
何言ってやがる!
お前の思い通りにはさせないぞ。
ヘルダー
口をきくな。おとなしく
動力制御室まで来てもらおう。
タイタス
このやろう、
好き勝手な真似しやがって。
デュレン
止めろ、タイタス。
そんな隙のある奴ではない。
(去っていくヘルダーとレオーメ)

煙都 レオーメ宮「制御室」

ガーディアン
ヘルダー様!
ヘルダー
ガーディアン!
何をもたもたしている。
こいつらをやっつけろ。

Battle 24 制御室2(煙都)

ヘルダー
レオーメ、カーペッツエリアへ
動力を配分しろ。
レオーメ
カーペッツエリア?
あそこは現在閉鎖されている
筈では?
ヘルダー
いいから言う通りにしろ。
(剣をつきつけられ、言われるままに操作するレオーメ)
レオーメ
まさか、何が動いている?
カーペッツには何があるんだ?
(制御を破壊するヘルダー)
レオーメ
ヘルダー、何をするの!
止めて!
ヘルダー
ふふ、これでもう動力を止める
事はできない。
レオーメ
どういうつもり?
ヘルダー
レオーメ、君の役目は終わった。
ご苦労。
(ヘルダーが去った後、ルシアンらが現れる)
オレンジ
奴はどこへ行くつもりなんだ?
何をやろうとしている?
見ろ! 非常用ドアロックが
次々解除されてゆく。
多分、ヘルダーの仕業だ。
デュレン
どこへ向かっている?
オレンジ
わからない、このまま進むと
β7地区……
レオーメ
第一七倉庫だ!
ルシアン
よし、俺達も後を追おう。
レオーメ
だめだ!!
後を追っていくと
ガーディアンが山のようにいる。
彼らの相手をしていては
間に合うはずがない!
方法はただ一つ。
緊急用の秘密通路を抜けて
飛行艇で追いかければ……
そうすればきっと先回り
できるはずだ。
オレンジ
飛行艇!!!
まさか、本当にあったのか!
機鉄空アル・アラーフ……
レオーメ
しかし、飛行艇は杜人の
監視用連絡船。
果たして、私達を乗せてくれる
のかどうかは分からない……
ルシアン
飛行艇は杜人の船なのか!
ならば、チャンスはある。
いこう、レオーメ。
レオーメ
そうか……
デュレンがいるんだったな。
皮肉なものだな。
いくぞ! 案内する。
 
ガーディアン1
奴等はまだ見つからぬか。
ガーディアン2
ヘルダー様の許可は下りている。
見つけ次第皆殺しにしろ!
ルシアン
やばいな、あちこちに
ガーディアンがいやがる。
スリム
ルシアン、こっちこっち。
ルシアン
スリム、ケミカル、
それにヴェルベット!
どうしたんだ。
スリム
歌姫がどうしてもあんた達を
助けるって聞かないもんでね。
アイドル
早く早くぅ!
あの塔へ入るのなら
この穴から潜っていけば、
見つからないハズだよ!
ガーディアンのおじさんたちは、
まだこんな所には気がついて
ないからね。
デュレン
ここは……
地下設備の点検通路か!
ううむ、なるほど。
それはうまい考えだ。
すまない、感謝する。
ケミカル
いえいえ、そんな礼には
及びません。
ルシアン
ありがとう、ヴェルベット。
でも、なぜ。
ヴェルベット
あなたの助けに
なりたかったのです。
ルシアン
君にはいつも助けてもらって
ばかりいるな。
煙都は、醜い有り様でした
蛇のような配管の隙間を縫って
私達は飛行船接岸塔を
上ってゆきました
アイドルの教えてくれた抜路は
まったくもって、完璧でした
私達はその後…
一度も警備兵と出会うことなく
やがて飛行艇のハンガーへと
辿り着くことができたのです

煙都 飛行艇ハンガー

レオーメ
あれが飛行艇だ。
機鉄空アル・アラーフ。
……戒めの翼。
タイタス
よし、まずは目障りな
ガーディアン退治からだ。
レオーメ
そうだな。
まず、ガーディアンを退治
しなければアル・アラーフに
乗る為の橋の敷設スイッチが
入れられないからな。

Battle 25 飛行船ハンガー(煙都)

ルシアン
本当に一緒にくるつもり
なのかい?
ヴェルベット
今は何も考えないで
進みましょう。
夢を叶えるために。
さあ、
答えを見つけにいきましょう!

煙都 機鉄空アル・アラーフ「操縦室」

ルシアン
あんた達か!
ブルー
また逢いましたね、ルシアン。
美しき声の道化よ……。
ヴェルベット
どうか、この飛行艇に
私達を乗せて下さい。
ブルー
あなた達の事は、しばらくの間
見ておりました。
大方の目的も判っております。
こちらへ。
私達が力を貸しましょう。
レオーメ
あなた方が杜人、島の監視者。
あれほどの仕打ちをうけてなお、
われらに手を貸すというのか。
ブルー
当然の事です。
我々は未来永劫、この島で罪を
償っていく存在ですから。
もう、二度と悲劇は起こさせません。
あなたも科学者を名乗る者なら
わかるでしょう……
歪んだ技術で創られた世界に
未来の音は響かないのです。
さあ、みなさん
発進しますよ!
タイタス
助かったぜ。ありがとよ。
 
ブルー
現在位置
カーペッツ上空、β7地区
なんとか追い着いたみたいね。
あれが第一七倉庫なの?
レオーメ。
レオーメ
ああ……
だが、
いったい何があるというのだ?
あそこに……
(地響きに揺れるアル・アラーフ)
レオーメ
!!!
何だ!? この機械の音は!
怒りに満ちた機械の軋みの
ようなこの音は……
うう……
…来る…塊が
いけない…出てきては……
オレンジ
何か第一七倉庫から
出て来るぞ!
 
(倉庫をぶち破って現れるバルケンホフ)
インテリアル・カーペッツから皇都へ

機鉄走バルケンホフ「操舵室」

ヘルダー
全て無くしてしまうのも
悪くないな。
今度は後腐れがないように
しないとな。
走れ! 時の歯車を軋ませろ。
機鉄走バルケンホフ!
(山をうち崩すバルケンホフの砲台)
 
レオーメ
あんなものが…
建造されていたなんて!!
ヘルダー、なんてことを……
オレンジ
す、すげえ……
タイタス
なんだ、
奴は何のつもりなんだ?
ヘルダーはヴラドの部下だったん
じゃないのか。
どうして皇都を狙うんだ?
ルシアン
奴はヴラドを裏切ったのか?
デュレン
ともかく、このままでは
皇都が危険だ!
 
オレンジ
やばいよ、もうすぐ皇都が
射程距離圏内に入るぜ。
デュレン
オイスター、飛行艇の
高度を下げてくれんか。
ギリギリまで列車砲に
近づけてくれ。
レオーメ
そうか!
列車砲に飛び移るんだな。
ブルー
わかりました。
なんとかやってみます。
スリム
こ、ここから
飛び移るんですか〜。
アイドル
じゃんぷ! じゃんぷ!
大丈夫だよ、スリム。
情けないこといってると
またぷくぷくだよ。
スリム
わ、わかったよ。
がんばるよ。
ルシアン
よし、そろそろだ!
みんな、いくぜ!

皇都直前 機鉄走バルケンホフ「機関室」

デュレン
なぜ、皇都を狙うのだ。
ヘルダー
デュレンか……
あんたは正しかったな。
双子島を沈めたのは
ヴラドだった。
…ヴラドこそが俺の敵だった。
俺にはもう
何も信じるものはない。
……何もかも壊してやる。
全ては終わったのだ。
デュレン
……
ヘルダー
いいことを教えてやろう。
この列車砲はまだ
未完成でな。
もちろん、
試験走行も試射もしていない。
しかし、先程行った非減速の
走行射撃では……
結果はご覧のとおりだ。
弾道はズレてしまい、
二撃目も打てなくなって
しまったよ。
多分、このまま走り続ければ
制御も効かなくなってくるはずだ。
ふふふっ。
だがな、
これでいいんだ……
列車砲の中には
まだ数発の砲弾が残っている。
列車砲の動力システムの
暴走によって誘爆して
くれればそれでいい……
皇都ぐらいは
吹き飛ばすことが
できるだろうからな。
列車砲をぶつけてヴラドの
息の根を止めてやるのだ。
ふふふ、ははは。
レオーメ
もう止めて!
……お願い……お願いだから、
これ以上自分を閉じ込めないで!
 
ルシアン
この列車砲を皇都に着くまでに
どうにか停止させなければ……
とにかく急いで先頭車両に行き
ヘルダーの凶行をどうにか
しないと大変なことになる。

Battle 26 列車砲内部A

ルシアン
ヘルダー!
もうこんなことはやめるんだ!
ヘルダー
ふふふ、ははは。
遅い、遅すぎたのだよ。
バルケンホフを止めることは、
もう誰にもできない。
超級装器式反応炉は、臨界点を
超えて暴走し始めた。
くっくっく。
ヴラドの息の根を止めてやる。
この機鉄走バルケンホフで!!!
ルシアン
ヘルダー!

Battle 27 列車砲内部B

デュレン
レオーメ、何とか列車砲を
止める事はできぬのか。
このままだと遠からず、皇都に
突っ込んでしまう。
レオーメ
やってみる。
しかし、こいつはやっかいだ。
間に合わないかもしれない。
オレンジ
俺も手伝うよ。
レオーメ
わかるのか?
オレンジ
ああ、なんとなく
構造はつかめた。
以前、同タイプに
乗った事がある。
いつからか分からないけど……
聞こえるんだ、その、何というか、
機械の声のようなものが、
その内部構造や機構が
頭にパッと浮かぶんだ。
俺は、こんな事ぐらいでしか
みんなの役に立てないからな。
なあ、親方。
(作業にかかるレオーメとオレンジ)
ヘルダー
ルシアン、
このスレッジをお前にやろう。
ルシアン
どうして、俺に?
ヘルダー
お前の腕ではこれがなけりゃ
ヴラドは倒せないさ。
それでもお前一人の
力じゃだめだ。
デュレンもいる、
レオーメもいる、
皆の力を借りろ、頼むぞ。
 
ヘルダー
レオーメ、後ろへ行け。
外に飛び降りろ。
レオーメ
もう少しで列車を止められるから
じっとしていてくれ。
動くんじゃない、
血が出てるじゃないか。
ヘルダー
さっさと言う事を聞け。
そこのお前、速度が二〇を切ったら、
レオーメを抱えて飛び降りろ。
ほかの奴等もいっしょだぞ。
レオーメ
ヘルダー! だめだ、
私がやる。
ヘルダー
女が手を出すな!
レオーメ
!?
……私を女と呼ぶのか?
 
ヘルダー
うぐっ!
レオーメ
ヘルダー!
(爆発するバルケンホフ)
(間一髪、退避するルシアンたち)
ヘルダー
俺は……
もう誰にも屈しはしない!
いつか再び……
この地に戻ってくる!!
その時まで大地に刻みこもう!
俺の血を! 俺のいえぬ傷痕を!
 
レオーメ
オレンジといったな。
オレンジ
ああ。
レオーメ
ありがとう、いい腕だ。
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