盗賊

盗賊

道中を急ぐルシアンらの前に
やがて鬱蒼と茂る、豊かな森が
現れます
瑞々しく、滴るような緑
うねりながら、すべてを包み込む
静かな、恐ろしい、緑…
大いなる畏敬をこめて
人々はその森をこう呼びました
神聖なりし、古の森
杜人の住む緑の都…
ドラゴンアシュー、と
ルシアン
なあ……おい。
この森には杜人が出るって
言うじゃねぇか。
狩られるぜ。引き返そう。
キャロル
何度、同じ事を言わせれば
気が済むの?
杜人は、あなたが思っているほど
野蛮ではないわ!
大体、帰るってどこに帰るのよ!
絶対に霧都へ行って、
デュレン剣帝と話をするのよ。
ルシアン
お前、本気で言ってるのか?
キャロル
何が?
ルシアン
デュレン?
あの剣帝デュレンに
お前みたいな世間知らず娘が?
何か、コネでもあるのかよ?
キャロル
ん……まあね。
詳しくは言えないけど。
ルシアン
……へぇ、だったら、
俺もぜひ会ってみたいもんだな。
キャロル
なんで?
サインでも欲しいの?
ルシアン
いや……
あの重水処理施設を
造ったやつに……
どうしても言っておきたい事が
あるんだ。
(大きな檻に閉じ込められた4人)
盗賊1
へへへ……
イカサマ芸人のわりにゃあ
いいモン持ってやがる。
盗賊2
おまけに、いい男じゃねぇか。
ええ?
盗賊1
へへへへ……
スリム
ち、近寄るなぁ!
(ルシアンとキャロル、通りがかる)
キャロル
ルシアン!
ルシアン
見たところ、旅芸人か。
キャロル
助けてあげなきゃ。
ルシアン
ほっとけ。
先を急ぐぞ!
キャロル
いくわよ! ルシアン。
手伝って!
ルシアン
おいおい。
ホントわがままな奴だな。
 
ルシアン
しかし助けるといったって
いったいどうするつもりだ?
キャロル
ルシアン、あそこを見て!
あのスイッチを押せば、
助けられるんじゃないかしら?
ルシアン
そうだな……
たぶんあのスイッチを押せば、
どうにかなるかもしれないな。
ただ、牢屋を解放しても
山賊どもに邪魔をされる
かもしれない。
どうせなら山賊も全部
追っ払っちまおう。
キャロル
わかったわ、ルシアン。
そうしましょう。

Battle 3 ドラゴンアシュー1

(檻の中から助けを求める4人)
ケミカル
た〜す〜け〜て〜。
スリム
ひぃ〜、こっ、殺される〜、
助けて〜。
アイドル
うにぃ〜、たすけて〜。
ヴェルベット
助けてください。
お願いします。
 
ケミカル
助けていただいて、
お礼の言葉もございません。
スリム
ほっ、本当に助かったんですか?
アイドル〜、助かったよぉ〜。
アイドル
うにぃ〜、助かった〜。
助けてください。
ヴェルベット
ありがとうございます。
 
(檻の中でヴェルベットに手を差し出すルシアン)
ルシアン
出口、こっちだぜ。
キャロル
なによ、
突然紳士になっちゃって!
ルシアン
仕方ないだろ、
こういう場合。
キャロル
こういう場合って?
ヴェルベット
……ありがとう。
でも、大丈夫です。
確かに、私の目は光を失って
久しいけれど、
風が、この世界に満ちている
小さな気配の粒たちを
いつも私の元へ運んできてくれる
のですから。
キャロル
その人、まさか目が……?
ヴェルベット
はじめまして、
ヴェルベットと申します。
ケミカル
左様で。
この娘、小夜風の歌姫ヴェルベットは、幼くしてその両の目の光を失いました。
申し遅れました。私は座長の
ケミカルと申します。私共は
旅芸人の一座でございます。
お陰様で助かりました。
お礼の言葉もございません。
キャロル
ご無事でなによりでした。
私はキャロル。
ルシアン
俺はルシアン。
ヴェルベット
私達の為に……
本当にありがとうございます。
スリム
私はファットボーイ・スリム。
よろしく。
キャロル
はじめまして、スリム。
でも、ファットボーイって、
なんだか面白いお名前ね。
スリム
まあ、芸名なんですけどね。
ちなみに得意技はナイフ投げ
でして……。
(アイドルに殴られて膨らむスリム)
スリム
ア、アイドル、やめてくれぇ〜。
ああ〜ん、こんな格好
みせたくなかったのに〜。
アイドル
きゃははっ!
これがスリムの本当の芸。
強い刺激を受けたりすると
ぽよんってふくらんで
ぷくぷくになっちゃうの。
あたしは変幻自在の
アイドル・レースって
呼ばれてるわ。
よろしくね。
キャロル
こちらこそ。
スリム
私達も悪かったのです。
先を急ぐばかりに、
普段、通り慣れぬこの森に
踏み込んでしまったのです。
ケミカル
まさか、あのような盗賊が
巣食っているとは知りませんでした。
まったくの不覚でございます。
 
ルシアン
囲まれてる。
さっきの奴等より手強そうだ。
キャロル
何か音がするわ。
ルシアン
かなりの数だな……とりあえず
生き延びる事だけを考えろ。
ケミカル
わ、わたしたちだけでは……
とにかく、に、にげ……。
(慌てふためくケミカル)
ルシアン
死にたきゃ逃げろ。
この森は奴等の領分だ。
圧倒的に分が悪い。
スリム
来たぞ!
 
ジルベルト
ははははははははははははははは!
このジルベルト様の鋼の身体、
きさまら雑魚の攻撃など
痛くもかゆくもないぞ!
ははははははははははははははは!
ははははははははははははははは!
ははははははははははははははは!
(手下を大勢引き連れて、ジルベルトが参上する)
ヴェルベット
ルシアンさん!
今の私たちでは、
あの敵は倒せません!
戦ってはいけません!!
キャロル
ちょっとあなた、
何でそんなことがわかるの?
ヴェルベット
……いえ、なんとなく……。
キャロル
なんとなくって、あなた……。
アイドル
ヴェルベットの勘は
よく当たるんだよ!
ルシアン
…………
わかった! 君の言葉を信じよう。
しかし逃がしてくれそうにもないぜ。
どうするんだ?
ヴェルベット
……ありがとうルシアンさん。
とにかく守りに徹して、
しばらく持ちこたえてください。
何か……大きな力が近づいています。
大丈夫、敵意は感じられません。
神聖な光のような何かが……
きっと助けてくれると思います。
キャロル
思いますって……もう!
どうなっても知らないわよ、
ルシアン!!

Battle 4 ドラゴンアシュー2

ルシアン
あっ!!
敵の援軍だ!!!
 
ルシアン
ん……なんだ……いや、
これがヴェルベットの言ってた
大きな力か。
来るっ!!
盗賊1
な、なんだ!?
盗賊2
もりびと……
盗賊1
本物だ……
盗賊2
も、杜人だ……
ジルベルト
さすがに無敵の俺様でも
杜人なんぞを相手にしてたら、
命がいくつあっても
足りやしないぞ。
野郎ども!
殺される前に、逃げるぞ!!
キャロル
あれが……杜人……
ブルー・オイスター
森は戦を好みません。
そして、我らは戦を
選ぶ人々を好みません。
我が名はブルー・オイスター。
永遠の罪に生きる者。
この森を守護する者。
キャロル
私達は旅の者です。
訳あって人目を避ける理由があり
街道を避け、この森を抜ける道を
選んだのです。
ブルー
森は聖域です。
何人たりとも、この地を侵す事は
許されません。
キャロル
それは知らなかった事とはいえ
大変申し訳ありませんでした。
ブルー
道化者、あなた達は。
ケミカル
誠に申し訳ございません。
杜人の聖地とはつゆ知らず、
行く道を急くあまりに、森の深くへと踏み入った次第でございます。
誠に、誠に申し訳ございません。
ヴェルベット
私は、ここが閉ざされた森である
とは、思いません。
ケミカル
こ、こら! 何を言い出すんだ。
ヴェルベット!
ブルー
あなたは?
ヴェルベット
この旅芸団の歌姫にて、
名はヴェルベットと申します。
ブルー
ヴェルベット。続けなさい。
ヴェルベット
閉ざされた森は、
いずれ腐敗していきます。
しかし、この森の木々からは、
豊かな息遣いが聞こえます。
ブルー
ヴェルベットよ。
ヴェルベット
はい。
ブルー
美しき声の道化である
そなたよ。
あなたなら、森の標を見出す
事ができるでしょう。
早く森を抜けることです。
我が名はブルー・オイスター。
永遠の罪に生きる者。
この森を守護する者。
(ブルー・オイスター、姿を消す)
ヴェルベット
とにかく進みましょう。私達は、
この森にとって異端者なんです。
アイドル
もしかしてもーしかして、
あたしの尻尾がさっきから
うにうにうにぃってするのも、
そのせいなの?
ヴェルベット
ええ。
キャロル
さあ、行きましょ。
 
ヴェルベット
葉の匂いが変わりました。
まもなく森の出口だと思います。
スリム
森を出たぞ!
ルシアン
よかった、助かった。
ヴェルベット
あの、お二人はこれから……
キャロル
霧都よ。
南のデュレンシティへ行くの。
スリム
そうですか。では更にモナルコ川を
下らなければなりませんね。
どうかお気をつけて。
ルシアン
え? あんたらは?
ケミカル
私達は、次の公演を彩都(さいと)で
予定しておりますので、西へ。
ルシアン
……そうか。
ヴェルベット
本当に、お世話になりました。
助けていただいたご恩は、
決して忘れません。
ルシアン
いや、まあ……
ヴェルベット
道中、どうかご無事で。
キャロル様。
キャロル
やだ、やめてよ。
キャロル様だなんて。
ヴェルベット
私は光が見えません。お顔も
判らぬままでございます。
でも、
あなた様の生まれもった気品は、
私にもわかります。
キャロル
もう、そんなおだてないで。
私達こそ、あなたがいなければ、
森から出られなかったわ。
ありがとう。
ケミカル
さあ、それでは進もうか。
日の落ちる前に、街道の宿へ
落ち着こう。
明日には彩都へ入るぞ。
スリム
はい。
アイドル
じゃあね! また逢おうね!
ケミカル
それでは、また御縁の
あります事を!
ルシアン
じゃあな!
アイドル
ばいばーい!
ルシアン
……いっちまったな。
キャロル
さあ、私達も急ぎましょう!
頑張れば、今日中には都の城壁を
くぐれるわ。
ルシアン
へいへい。
……ヴェルベット、か。
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