「ポーランドに行こう」とたきがはに思わせたのは、『SHOAH』という映画でした。たきがはは当時『宝剣物語』という小説を書いておりましたが(まるで完結したような言い方をしとりますが第1部で止まってます。2006年6月20日現在)、そのなかに「古森」というのが出てきます(まだ出てません)。『SHOAH』に出てきたトレブリンカ絶滅収容所の近くの森は、たきがはのイメージしていた「古森」にぴったりだったのでした。それがいちばん最初の動機。同人馬鹿もここまでくるとなんというか「馬鹿につける薬はない」すね。
早速、たきがはは『地球の歩き方 チェコ・スロバキア・ポーランド編』を買い求めました。「トレブリンカ、トレブリンカ〜」地図で探したところ、残念ながらトレブリンカは大きな町ではなく、交通の便もかなり悪いことがわかりました。当然ポーランド語なんて勉強したこともありませんし、なにより海外旅行に行ったこともないし、もちろん英語もろくに話せません(こういう姿勢で海外へ行くのが失礼であるのかどうかはこの際脇にのけておいてください)。『地球の歩き方』を隅々まで読んだたきがはは、もっと有名なところに行くことにしました。それが、ポーランドでも有数の観光地、クラクフでした。なぜ首都のワルシャワを観光する前にクラクフに行ったのかと言えば、近くにアウシュビッツ・ビルケナウ絶滅収容所跡があるからなのでした。海外に行くのなら、必ず行ってみたいところです。行って、なにがあったのか、見てこないとならないところです。広島・長崎、南京、ベトナム、カンボジアという人類に共通の犯罪痕を見ることが、たきがははずいぶん長い間の夢でした。根がみーはーにできておりますのでもちろん観光もしたいけれど、海外行くなら絶対に見たいところ。まずは基本からね。というか、森はどーしたんだ、ぢぶん。
クラクフ。14〜17世紀までポーランド王国の首都でした。ヨーロッパでいちばん古い広場である織物広場は10世紀から残されている歴史的な町で、ポーランド最古の大学もあります。町全体がユネスコの世界文化遺産に登録されていて、中世ヨーロッパの雰囲気を楽しむことができます。
日本からはポーランドへの直行便がありませんのでアエロフロート航空(ロシア)、ルフトハンザ航空(ドイツ)、オーストリア航空などなどのヨーロッパ系各社の便でヨーロッパに入り、そこで乗り換えてポーランド入りします。しかし時は折しも9月の4連休の真っ最中。H.I.Sに勇んでチケットを買いに行ったたきがはには、連休初日の9月11日出発の便は空きがなく、12日も同様、13日ならキャンセル待ちでとれるかも、という無情な宣告がくだりました。自分が休みたければ他人様も休みたいのが連休というもの、ヨーロッパまで行ってしまえば、その先のポーランドへの便は余裕で手に入るというのに、人気の高いヨーロッパの首都経由のトランジット便は、ことごとくふさがっていたのです。
結局、仕事の都合で13日まで出発日はずれ、幸いなことにアエロフロート航空の空きが発生、初めての海外旅行がポーランドで、一人旅、飛行機やホテルの予約も自前、リコンファームも自力という、どなたに言っても「無謀だね」と片づけられた旅行はスタートしたのでした。
しかし、最初にこんな経験しちまったから言うのではありませんが、甘く見なければ、海外旅行というのは案外無謀なものではありません。元来「なんとかなるさ」が信条のたきがは、おかげでかなり思い出深い旅行をさせてもらいました。ポーランドの人たち、ありがとう。